2025年7月25日付の共同通信社が、
『【独自】出国者住民税、実態調査へ 総務省、徴収漏れ対策を検討』
と題した見出し記事を報じていました。
住民税は、前年度の所得に応じて発生しますが、外国人労働者の場合、帰国すると連絡が取れなくなり、結果的に「未収」となるようです。
個人的には、帰国を前提とした外国人労働者は「予定納税制度」のように前払いしてもらうべきかと思います。
以下に、この記事を要約し、考察しました。
《記事の要約》
日本で働いた後に帰国した外国人による住民税の未払いが問題となる中、総務省はこの実態について調査を検討している。
2025年7月25日に明らかになった。住民税は前年度の所得に基づき、翌年6月から課税される仕組みだが、帰国のタイミングによっては徴収が難しくなる場合がある。
この問題は国会でも取り上げられており、総務省は一部の自治体に対し、徴収業務の実態や管理方法について聞き取りを進めている。
今後、調査結果を踏まえて制度の改善を図り、税収の確保につなげたいとしている。
住民税は1月1日時点で日本に住所がある者に課税され、前年に一定以上の所得があれば納税義務が生じる。
総務省は、外国人本人または企業に対し、帰国前に税金を一括で納めるか、代理人を「納税管理人」として指定するよう求めているが、制度の周知や実効性には課題が残る。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<住民税の支払制度の見直しの提案>
外国人労働者の住民税未納問題は、徴収タイミングと制度設計のギャップから生じており、放置すれば自治体の財政基盤を損なうおそれがある。
したがって、現行制度を前提とした一時的な対処ではなく、制度の抜本的な見直しが急務である。
第一に検討すべきは、住民税の「後課税(翌年課税)」方式そのものの見直しである。
住民税は前年所得に基づき、翌年6月から徴収されるが、短期滞在や転職・帰国が多い外国人にとっては、このタイミングではすでに日本を離れているケースが多い。
所得税と同様に「当年課税・即時徴収」に移行することで、実際の勤務期間中に税金を回収でき、徴収漏れを大幅に防げる。
第二に、帰国予定のある外国人に対しては「予定納税制度」や「前払い制度」の導入が効果的である。
企業の給与から源泉徴収で住民税を前倒しで確保し、過不足は確定申告で精算する方式とすれば、制度変更の混乱も抑えられる。
すでに退職所得に関してはそのような処理が行われているため、運用面のハードルも高くない。
第三に、既存の「納税管理人」制度の義務化も一案だが、現行では指定が任意であり、実効性に乏しい。
雇用主に納税管理人の届出義務を課し、仮にそれを怠った場合には罰則や課徴金を設けることで制度の実効性を高めるべきだ。
特に技能実習生や特定技能制度などで多数の外国人を受け入れている企業には、社会的責任としての納税支援が求められる。
第四に、外国人が帰国時に申請する「脱退一時金」(年金の一部返金)との相殺制度を導入することも有効である。
未納住民税がある場合は、脱退一時金から自動的に差し引く仕組みを制度化すれば、事実上の担保として機能する。
これにより、国の制度間連携を通じて未収金を減らすことができる。
最後に、外国人労働者本人への制度周知が極めて重要である。
契約時や在留資格更新時に、多言語で税制度を説明し、納税義務を明確に伝える仕組みを構築する必要がある。
これらの対策を総合的に講じることで、外国人労働者に対する公平な課税と、自治体財政の安定、そして日本社会における持続可能な共生が実現できるだろう。
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