環境パフォーマンスとは、組織が設定した環境目標に対して、どれだけ効果的に取り組んでいるかを示す指標のことです。
運送業は特に二酸化炭素(CO2)排出量や大気汚染物質の排出などで環境に大きな影響を与える業界であり、環境パフォーマンスの向上が重要な課題となっています。
ここでは、運送業が取り組むべき具体例とその方法について説明します。
《具体例と取組み方》
1)CO2排出量の削減
運送業では、燃料を使って走行するため、CO2排出量の削減が最も重要な課題です。
このために多くの運送会社はエコドライブを推進しています。エコドライブは、急発進・急停止を避ける、アイドリングを減らす、適切なタイヤ空気圧の維持などにより、燃費効率を向上させる運転技術です。
さらに、燃費性能の高い車両や電動トラックの導入も有効です。例えば、電動トラックやハイブリッドトラックを使用することで、ガソリン車やディーゼル車に比べてCO2排出量を大幅に削減できます。
また、ルート最適化システムを用いて、燃料消費の少ないルートを選択することもCO2削減に効果的です。
2)大気汚染物質の排出削減
運送業では、二酸化窒素(NO2)や微小粒子状物質(PM2.5)などの大気汚染物質も排出されます。
これに対処するため、排出ガスの少ない車両や最新の排出基準を満たす車両を導入することが効果的です。
また、排出ガスを抑えるためのエンジンチューニングや、定期的な車両整備を行うことも重要です。
例えば、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)やSCR(選択触媒還元)技術などを搭載した車両を利用することで、NOxやPMの排出を大幅に抑えることが可能です。
3)燃料効率の改善
燃料の使用量を減らすことはCO2や大気汚染物質の排出削減に直結します。
運送業では、積載効率の向上も有効な手段です。
たとえば、帰りの便を空車にしないよう、積載効率を最大化するための荷物の集配計画を工夫したり、他社と協力して荷物の共同配送を行う方法が考えられます。
また、運行スケジュールを調整して、渋滞を避ける時間帯に走行することで、アイドリングや燃料消費を減少させることが可能です。
4)再生可能エネルギーの活用
倉庫や拠点のエネルギー消費も、運送業の環境パフォーマンスに影響を与える要素です。
拠点施設に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを活用して施設の電力を自給することで、化石燃料によるCO2排出を削減できます。
また、電気自動車(EV)の導入に伴い、これらの再生可能エネルギーを活用して車両に充電することで、持続可能な運営を実現することが可能です。
5)廃棄物管理
運送業では、車両整備やオイル交換時に発生する廃油や廃棄部品の適切な管理も重要です。
廃油や廃部品は適切に処理されないと環境に悪影響を与えるため、法規制に従って適切な方法でリサイクルや廃棄を行うことが求められます。
また、車両の廃棄物削減に向けて、消耗部品の長寿命化やリサイクル可能な資材の使用も奨励されています。。
《取り組みのポイント》
運送業の環境パフォーマンスを向上させるためには、環境マネジメントシステム(EMS)の導入が効果的です。
ISO 14001に基づくEMSを活用することで、環境方針と環境目標を明確にし、計画、実行、評価、改善(PDCA)サイクルに基づいた管理が可能となります。
また、環境負荷低減に向けた教育やトレーニングを従業員に提供することで、組織全体で環境意識を高め、持続可能な運営に向けた実効性のある取り組みが進められるようになります。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ933号より)
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