2025年7月11日付の「女子SPA!」が、
『カレー店倒産が過去最多。コメ高騰だけではない“本当の原因”とは?人気スーパーの驚きの進化も』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、過去最多のカレー店倒産について、考察しました。
《記事の要約》
2024年度、カレー店の倒産が13件に達し、2年連続で過去最多となった。
この背景には米の価格高騰があると見られているが、実際にはそれ以上の要因が絡んでいる。
近年、すき家や松屋、吉野家といった大手チェーンが提供する“こだわりカレー”は、味に妥協せず価格も1000円以下と手頃。
これにより、専門店が高価格で勝負するには、味やサービスで突出する必要がある。厨房で手作りせずとも美味しいカレーが調達できる時代になり、専門店以外の参入障壁も下がっている。
また、スーパーマーケットの躍進も見逃せない。関東・関西に展開する「肉のハナマサ」や群馬の「ベイシア」では、安価で質の高いルウやレトルトカレーが人気。
特にベイシアのセルフ式カレーライスは322円で提供され、話題を呼んでいる。無印良品でも本格インドカレーが1食190円で販売されるなど、価格破壊が進む。
このように、飲食業界・小売業界双方からの競争が激化し、カレー専門店にとって極めて厳しい環境が続いている。
倒産は米価だけの問題ではなく、過当競争にさらされている構造的な問題が根底にあるのだ。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<カレー店の防衛策と他の業態への波及>
カレー店の倒産が続く背景には、単なる原材料費の高騰にとどまらない、競争の激化という構造的な問題が横たわっている。
大手外食チェーンやスーパーの進化、そして消費者の節約志向が、個人経営や中小カレー店にとってかつてないほどの脅威となっている。
まず、カレー店が取りうる防衛策としては以下のようなポイントが挙げられる。
・差別化戦略の徹底
1000円未満でそこそこの味が提供される時代に、価格やボリュームでは大手に勝てない。
地域食材の使用や特定スパイスへのこだわり、健康志向メニューなど、専門性とストーリーを武器にするべきである。
・高付加価値の提供
飲食空間の演出や接客サービス、ペアリングドリンクの提案など、単なる「食事提供」にとどまらない体験型ビジネスの設計が求められる。
・テイクアウト・冷凍食品展開
外食のハードルが上がる中、自宅でも店舗の味が楽しめる仕組みづくり(通販・冷凍品など)は、売上の複線化として有効。
・IT導入と効率化
仕入れや人員管理の最適化、キャッシュレス対応、SNS集客の徹底など、業務の無駄を見直す視点も重要だ。
カレー業界の現象は、他の飲食業態にも容易に波及し得る。
特に以下のような業態は今後、同様の構造的苦境に直面する可能性が高い。
・ラーメン店
価格上昇と競争過多。地方や駅前の個人店はチェーンに押され、差別化が困難。
・唐揚げ専門店
コロナ禍で急増したが、供給過多により市場が飽和。食材価格の変動リスクも大きい。
・高級パン専門店
ブーム終息に加え、価格が購買力に合わず客離れ。似た味の商品がスーパーに広がっている。
・焼肉店
輸入肉価格の高騰と、外食控えによりコスト回収が難化。ファミリー層の利用減も影響。
こうした業態に共通するのは「一時のブーム依存」「価格に見合う価値提供の困難さ」「大手参入による過当競争」である。
行政の支援も必要だが、単なる補助金では焼け石に水だ。むしろ、地域密着型の事業開発支援や、スモールビジネスの経営スキル強化、人材育成への投資が有効だろう。
飲食業界が生き残るには、消費者の価値観の変化に敏感でありつつ、価格以外で選ばれる理由を創り出す覚悟が求められている。カレー店の倒産はその象徴的な一例にすぎない。
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