2025年7月13日付のFNNプライムオンラインが、
『クマに襲われ52歳男性が死亡 体長1.5mほどで付近に潜んでいる可能性 北海道・福島町』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、国や自治体が、法整備も含め、実施すべき対策を考察しました。
《記事の引用》
2025年7月12日未明、北海道・福島町で新聞配達員の52歳の男性がクマに襲われ、死亡しました。
目撃者は「(男性は)あそこで最初かまれて引っ張られて、そのままあっちの茂みにいった」「(男性は)うわ、うわと言って、腕をかまれてて引っ張られていた」などと話しました。
クマに襲われ死亡したのは新聞配達員・佐藤研樹さん(52)で、12日未明、福島町の住宅街で配達中にクマに襲われ、近くのやぶの中に引きずり込まれました。
その後、倒れているところを発見されましたが、全身を引っかかれ腹部を中心にかまれていて、その場で死亡が確認されました。
勤務先の社長は「休まず毎日かかさず来るまじめなところがあって、大事な配達員でした」と話しました。
町内では、10日も住宅街を徘徊するクマが目撃されていますが、今回と同一の個体かどうかは分かっていません。
佐藤さんを襲ったとみられるクマは体長1.5メートルほどで、付近に潜んでいるとみられており、発見次第、町は駆除する方針です。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察》
<国や自治体が今後取るべき対策について>
北海道福島町で新聞配達中の男性が熊に襲われ命を落とした事件は、人間の生活圏と野生動物の境界が急速に崩れつつある現状を突きつけた。
今回の事故は単なる自然災害や偶発的な不運ではなく、すでに予兆がありながら有効な対策が講じられなかった点で、行政の危機管理と法制度の限界が露呈している。
今後、同様の悲劇を防ぐため、国や自治体は以下のような包括的対策に早急に着手すべきである。
まず、熊出没のリスクが高い地域においては、法制度を整備し、人的被害の予防を最優先する方針を明示すべきである。
現行の鳥獣保護管理法では、野生動物の保護と適正管理がうたわれているが、今回のように明確に「人への危害」を及ぼす可能性が高い個体については、速やかに「有害捕獲」の対象とし、対応の機動性を高めるべきである。
環境省や道庁が一元的に管理できる「危険個体の指定制度」を導入し、自治体が駆除の判断に躊躇しないよう法的後押しを行う必要がある。
次に、地域ごとの「出没予測システム」やAIを用いた監視網の整備が求められる。
近年ではドローンや赤外線センサー、AI画像認識技術を用いた野生動物の監視技術が実用化されており、定点カメラや登山道・住宅街周辺の警戒エリアでリアルタイムに動きを把握するシステムを構築することが可能だ。
これにより、目撃情報に頼る曖昧なリスク評価から脱却し、科学的かつ予防的な警戒体制が実現できる。
また、有害鳥獣駆除に携わる専門人材の育成と支援体制の強化も喫緊の課題である。
ハンターの高齢化と後継者不足により、現場対応が困難になっている現状がある。
警察や自衛隊への依頼は現実的には困難との指摘もあり、自治体が責任を持って熊対策専門部隊の創設を検討する時期に来ている。
狩猟免許を持つ者への報奨金制度や訓練支援、公的雇用の整備などを含め、民間と行政が連携する新たな制度設計が必要だ。
加えて、市民への周知と避難マニュアルの整備も不可欠である。
熊鈴や音の出る装置が一般的に推奨されているが、今回の事件のように「人間を恐れない個体」には効果が薄い。
防犯カメラ映像やクマの出没履歴を地域アプリ等で配信し、住民が自衛できる情報環境を整備するべきである。
特に新聞配達員や高齢者など、早朝・深夜に外出する人への安全確保は優先的に考慮されるべきである。
最後に、野生動物の保護団体と行政との対話の枠組みも整える必要がある。
人命を脅かす個体への対応と生物多様性保全は本来対立すべきものではない。
感情論ではなく、科学的知見に基づく管理方針を広く社会で共有し、共存の限界と保全の線引きを社会全体で考える時期に来ている。
この事件が一過性の悲劇に終わらないためにも、国と自治体は、法整備・監視体制・人材育成・住民教育の四本柱を軸に、抜本的な熊対策を講じるべきである。
人の命と日常を守ることが、自然との共生の最低限の出発点である。
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