2025年7月3日付の読売新聞が、

『ローソンあえての過疎地積極出店、稚内市では3店同時オープン…実は全国平均より高い客単価』

と題した見出し記事を報じていました。

ローソンに限らず、現在、各コンビニエンスストアは、「過疎地への出店」を増やしていると言われています。

以下にこの記事を要約し、過疎地に出店することのコンビニのメリットと地域への影響、および課題と今後の展望について、考察しました。

 

《以下、記事の要約》

2025年6月、コンビニ大手のローソンは北海道稚内市に3店舗を同時オープンさせ、同市内の店舗数は計7店となった。

稚内では2年前に初出店して以来、急速な店舗展開を進めており、人口減によるスーパー撤退などに対応する先行モデルとして注目されている。

今回開店した「声問店」は、地元スーパーの跡地に出店され、地元住民からは買い物環境の改善に対する感謝の声が上がっている。オーナーの是川氏は、地域のニーズに応じて商品ラインアップを充実させる考えを示した。

 

今回の3店舗のうち他の2店は、国道沿いの「萩見五丁目店」と住宅街の「宝来五丁目店」である。

2023年から稚内で開業したローソン4店では、1人あたりの購入額が全国平均(799円)を大きく上回る1000円以上となり、生鮮品やホットスナック、ATM、チケット端末のLoppiの利用も好評。

多くの顧客がスーパー代替として利用していることがうかがえる。

 

通常ローソンの商圏は半径350メートルだが、稚内のように車移動が前提の地域では、20km離れた場所からの来店もある。

また、大雪など物流途絶を想定し、一部店舗では通常の3倍の在庫スペースを確保している。

18店舗を構えるセイコーマートに比べると規模は小さいが、ローソンは「ドミナント戦略」によって地域での存在感を高めている。

 

ローソンは、稚内での実績を基に長野や和歌山などの過疎地に「地域共生コンビニ」を広げている。

例えば、2024年に開店した北海道厚真町の「上厚真店」では、想定を3割上回る売り上げを記録。

今後は枝幸町や浜頓別町でも新店舗を予定し、物流網の効率化も図っている。広報部は「今後も人口減少エリアで住民ニーズに応えていく」と強調している。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

過疎地におけるコンビニの出店は、単なる小売拠点の拡大にとどまらず、地域社会の維持において重要な役割を果たしている。

ローソンが稚内市で展開している「地域共生コンビニ」は、その好例である。

 

第一に、過疎地ではスーパーや個人商店が撤退し、高齢者や交通弱者が「買い物難民」となるケースが増加している。

こうした状況下で、少ない商圏人口でも成り立ち、冷凍・生鮮・日用品を扱えるコンビニは、生活インフラの代替機能を果たし得る。さらにATMや公共料金の支払い、宅配便受取など、行政サービス的な役割も一部担っている。

 

第二に、地域との共生モデルにおいて重要なのは、店舗側が地元のニーズに即した商品構成を意識的に取り入れている点だ。

稚内の例では、仏花や子ども用玩具、地元野菜などが導入されている。これは、単なる「都市型フォーマットの移植」ではなく、地域住民との対話を通じた「地産地消的コンビニ化」ともいえる。

 

三点目のメリットとして、地域経済への波及効果もある。地元出身者による経営、地域雇用の創出、さらには交流の場としての機能は、まちの活性化につながる。

特にローソンのように「ドミナント戦略」で複数店舗を展開することで、物流効率の向上と安定供給も実現できる。

 

一方で課題も多い。

まず配送負担が大きく、積雪や地理的遠隔性が業務効率を圧迫する。

また、都市部と比べて販売単価は高くなる傾向があり、価格面での住民負担も無視できない。

さらに、全国的には都市部での飽和状態による「市場の頭打ち」を過疎地に転嫁している面も否定できない。

 

今後の展望としては、まず地方自治体との連携強化が不可欠である。

例えば、移動販売車の運用や空き店舗・空き家活用による出店支援、さらには災害時のライフライン機能強化など、多様な協働モデルが模索されるべきである。

 

また、地域の社会課題を取り込んだ新業態の創出も期待される。例えば高齢者見守りサービス、処方薬の配達協力、リモート診療の拠点など、「福祉+小売」の融合モデルは人口減少社会のインフラとなり得る。

 

結論として、過疎地へのコンビニ出店は、企業の成長戦略であると同時に、地域の生活基盤維持を支える社会的意義を帯びた取り組みである。

行政、住民、企業が三位一体となって「地域共生モデル」を深化させていくことが求められている。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ966号より)

 

 

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