2025年6月25日付の「めざましMedia」が、
『宅配ルール見直し「置き配」標準化検討 手渡しは有料化へ 現場は「効率4割アップ」の一方で不安の声も・・・』
と題した見出し記事を報じていました。
個人的見解ですが、原則論(※常温荷物や取扱いが特殊な高額荷物や精密荷物を除く)として、今の時代、やむを得ない判断ではないかと思います。
「やむを得ない」と考える理由ですが、
1)利便性からネット通販を日常的に利用する時代になった
2)共働き等、自宅を留守にする時間帯が増えた
3)1)、2)に伴いドライバーの負荷が増え、今後、ドライバー不足も懸念される
という時代背景から「置き配の標準化」は、やむを得ないです。
「原則論」としたのは、「自分で購入したもののお届け」であるならば、「対面での配達」を望むなら日時や時間帯指定をして「置き配は不可」とし、再配達になる場合は、追加料金を支払えば良いのです。
問題は、お中元などの先方からの贈り物ですが、これは、送付する側が「置き配不可」なら、追加料金を支払って送れば良いと思います。(追加料金を支払わない場合は、置き配)
以下に、この記事を要約し、「置き配標準化」に関して考察しました。
《以下、記事の要約》
再配達による宅配業者の負担増が深刻な社会課題となっており、政府は再配達率を6%以下に抑える目標を掲げていますが、2025年4月時点では8.4%にとどまっています。
この状況を受け、国土交通省は「置き配(玄関先などへの非対面配送)」の標準化を検討しています。これにより対面配達には追加料金がかかる仕組みも視野に入れられています。
都内の現場では、不在による再配達が多く、特に大型家電のような重い荷物では配達員への肉体的・精神的な負担が大きくなっています。
一方、置き配が可能になれば、作業効率は3〜4割向上するといった現場の声もあります。
戦略物流の専門家によると、アメリカなどでは置き配が標準で、対面配達には追加料金が発生することもあり、日本でもその方向性に進みつつあります。
コロナ禍以降、置き配利用者は急増し、全体の72.4%に達していますが、一方で、盗難・誤配・破損・個人情報漏洩などの懸念や課題も多く報告されています。
今後は、利用者の選択制を前提とした制度設計や、防犯・誤配対策をどう進めるかが重要とされています。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<「置き配の標準化」の今後と課題>
宅配便の再配達問題は、物流業界の人手不足やコスト増加といった構造的な課題と直結しています。
その対策として国土交通省が掲げた「置き配の標準化」は、業界の業務効率を高める合理的な施策として注目されています。
実際、置き配による業務効率の向上は3~4割にも及ぶとの現場の声もあり、導入による即効性は期待されています。
一方、課題も山積しています。
まず、置き配を標準とした場合、「盗難」「雨濡れ」「誤配」「破損」「個人情報漏洩」といったトラブルが懸念されます。とくに高額商品やクール便、食品などは置き配に適さず、配送品質の低下にもつながりかねません。
さらに、責任の所在も曖昧になりやすく、「誰が保証するのか」が事前に明確になっていないと、業者と消費者のトラブルに発展しかねません。この点を解決するためには、以下のような制度設計が必要とされます。
1)配達完了の確実な記録手段の整備
写真通知やアプリでの受領確認機能の義務化などが考えられます。
2)荷物保護インフラの整備
各戸に宅配ボックスの設置を促す施策(補助金制度や建築基準への組み込み)を進めることが不可欠です。
3)責任と補償の明確化
盗難・破損時の責任分担や、置き配保険などの導入も検討されるべきです。
4)再配達の有料化と日時指定義務化
再配達には追加料金を設定し、初回配達での日時指定を義務化することで、再配達自体を抑制する流れをつくる必要があります。
加えて、置き配を巡るトラブルを防ぐには、消費者側のリテラシーも求められます。
置き配が可能な商品かどうかの判断、置き場所の設定、通知機能の活用など、受け手の協力が不可欠です。
「置き配標準化」は、利便性と効率性の反面、防犯性や消費者満足度を犠牲にしかねない二面性を持っています。
ゆえに、一律の標準化ではなく、「条件付き標準化」や「選択制標準化」といった柔軟なアプローチが求められます。
加えて、将来的には郵便受けと同様に、宅配ボックスが住宅の標準設備となるよう、長期的視野に立った行政主導の推進も不可欠です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ965号より)
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