環境パフォーマンスとは、組織がその環境目標を達成する能力を示す指標のことを指します。
「建設業」においては、環境に与える影響が大きいため、その環境パフォーマンスを高めることが極めて重要です。
具体的には、CO2排出量の削減、廃棄物の削減、資源効率の向上、水質管理、生物多様性への配慮など、多方面にわたる取り組みが求められます。
以下にこれらの取組み方とそのポイントについて解説します。
《具体例と取組み方》
1)CO2排出量の削減
建設業は、重機やトラックの使用に伴い、大量の二酸化炭素を排出します。
これに対する取組みとしては、低排出ガス車両の使用、ハイブリッドや電動重機の導入、現場でのエネルギー効率を高める設備導入などがあります。
例えば、建設現場に再生可能エネルギー源(太陽光パネルやバイオマス燃料など)を導入し、現場内のエネルギー需要を一部自給することで、CO2排出を抑制する方法があります。
2)廃棄物の削減とリサイクル
建設現場では多くの廃棄物が発生しますが、これを管理・削減することは、環境パフォーマンスを向上させる重要な要素です。
資材の無駄を減らすために3R(リデュース、リユース、リサイクル)を推進し、使用済みの建材を再利用可能な形にして次のプロジェクトで使うなどの取り組みが効果的です。
また、廃棄物を分別し、適切なリサイクル業者と連携することで、リサイクル率の向上も期待できます。
3)資源効率の向上
建設業では資材の大量使用が避けられませんが、資源効率を高めることで環境パフォーマンスを向上させることが可能です。
たとえば、建材の効率的なカット方法を取り入れたり、再生材を積極的に使用することが有効です。
さらに、設計段階から省資源型のアプローチを採用することで、材料の消費を最小限に抑え、廃材を削減します。
4)水質管理
建設現場では水質汚染のリスクも存在します。
汚れた水が地下水や河川に流出するのを防ぐためには、排水処理設備の導入や、現場での水質管理プロトコルを厳守することが重要です。
例えば、仮設の沈殿池を設置して汚水をろ過し、汚染物質を除去してから排出することで、周辺環境への影響を低減することができます。
5)生物多様性への配慮
建設プロジェクトの多くは、自然環境の中で行われることが多く、生態系への影響が懸念されます。
生物多様性を保護するためには、事前に生態調査を行い、工事計画を調整して重要な生息地を避ける、施工中に影響を最小限に抑えるためのバリアを設置するなどの措置が必要です。また、緑化工事や植生の再導入を通じて、生態系の復元を図ることも有効です。
《取り組みのポイント》
これらの取り組みを効果的に実施するためには、環境マネジメントシステム(EMS)の導入が不可欠です。
ISO 14001規格に基づくEMSは、計画、実行、チェック、改善(PDCA)サイクルを通じて、継続的な改善を図るための枠組みを提供します。
建設会社は、これを活用して環境方針を明確にし、環境目標の設定、環境パフォーマンスの測定と報告を行うことで、持続可能な運営を実現することが可能です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ932号より)
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