2025年6月23日付の共同通信社が、

「宿泊予約アゴダに改善要請 観光庁、部屋確保されずトラブル」

と題した見出し記事を報じていました。


私自身は、他の予約サイトを利用して宿泊先を探し、確保することが多いですが、アゴタも数回利用したことがあり、少し前に、仕事仲間が同じような部屋が確保出来ていないトラブル(結果的には、宿泊先側の対応で確保出来た)があったので、他人事ではありません。

 

以下に、この記事を引用し、想定される部屋が確保されていない原因やアゴタが取るべき対応策を考察しました。

 

《記事の引用》

観光庁がオンライン宿泊予約サイト「Agoda(アゴダ)」を運営する日本法人に対し、「予約した部屋が確保されていない」など旅行客とのトラブルが頻発しているとして、2025年3月に業務改善を要請していたことが、2025年6月23日分かった。

アゴダは、2025年4月に観光庁に対策を示したが、6月以降もトラブルはなくなっていない。

このまま抜本的な改善が見られなければ行政処分に発展する可能性もある。

 

大手ホテルなどによると、宿泊料金を支払って予約したインバウンド(訪日客)などがホテルや旅館に着いて初めて部屋が確保されていないことに気付くトラブルが多い。

ほかには予約日や部屋のタイプなどの宿泊情報がホテルが販売したものと異なっているといったケースが判明している。

 

観光庁はアゴダが旅行業法に基づき客と結ぶ約款を守っておらず、債務不履行に当たると判断した。

ホテル側がアゴダの要請で客室変更といった代替措置を取った場合も、アゴダの債務不履行に変わりはない。

業務改善要請は行政処分ではなく公表していなかった。

(引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

<アゴダの「部屋が確保できていなかった原因」の予想と「本来取るべき対応」>

 

アゴダで発生している「予約済みなのに部屋がなかった」トラブルの根本原因は、
1)非正規販売(転売)による情報伝達の断絶
2)サイトコントローラーを経由しない独自販売による在庫不一致
3)宿泊施設との直接契約の不在または確認不能状態
4)海外拠点主体による日本市場への不十分なサポート体制
にあると考えられる。

 

多くの宿泊施設はアゴダと直接契約を結んでおらず、他のOTA(オンライン旅行代理店)がアゴダに客室を再販売している。
この「二次販売」によって、宿側はアゴダを通じた予約を把握できない。
また、宿泊施設が導入する予約管理システム(サイトコントローラー)外で取引が行われるため、在庫の同期がなされず、満室日でも部屋が売られてしまう。
こうした構造的な問題により、ダブルブッキングや架空在庫の販売が常態化しているのが実態だ。

 

さらに、カスタマーサポートは海外拠点で運営され、日本語対応や緊急時の柔軟な対応力が著しく低い。
顧客からの苦情や施設側からの問い合わせも円滑に処理されず、不信感を招いている。

 

これらの問題に対して、アゴダが本来取るべき対応は以下のとおりである。

 

1)取扱い宿泊施設の契約の一本化と透明化

まず、アゴダは二次販売を廃止または厳格に制限し、全ての取扱宿泊施設と直接契約を結ぶべきである。
また、契約施設に限定して販売を行い、「勝手に販売されている」状況を解消する。
施設側に管理画面を提供し、リアルタイムで予約内容を確認・管理できる体制が不可欠である。

 

2)予約在庫のリアルタイム連携

正規契約施設との間で、サイトコントローラーとの在庫連動を義務化し、在庫の二重売りを防止する。
販売チャネルごとの在庫調整を自動化することで、在庫ズレによるダブルブッキングを根絶すべきである。

 

3)日本国内のサポート体制の強化

日本法人の体制強化と共に、日本語で即時対応可能なカスタマーサポートを整備し、24時間対応を基本とする。
特にインバウンド客のチェックイン時間帯に合わせた緊急対応要員を配置し、宿泊施設との連携体制を強化する必要がある。

 

4)決済と領収対応の改善

オンライン決済の信頼性を高め、インボイス制度に準拠した領収書発行機能の整備を急ぐ。
必要に応じて日本法人名義でのインボイス対応も検討し、ビジネス旅行者の不満を解消すべきだ。

 

5)苦情処理と再発防止のトラッキング制度の導入

発生したトラブルについては、すべてケース管理し、当該施設・顧客・原因・対応内容をデータベース化し、再発防止策に反映させる。
改善が見られない業者や施設には掲載停止などの処分も含めた措置を設けるべきである。

 

現在のアゴダの構造では、宿泊施設・顧客の双方にリスクが偏っており、その信頼は急速に損なわれている。
観光立国を目指す日本において、こうした不透明なプラットフォームのままでは、インバウンド需要を取り込む基盤すら失いかねない。
抜本的な構造改革と国内市場に即した対応体制の整備が、アゴダの信頼回復への唯一の道である。


 

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