2025年6月21日付のスポニチアネックスが、
『国分太一、スタッフにセクハラ写真おねだりか コンプラ違反で無期限活動休止「慢心が原因」』
と題した見出し記事を報じていました。
2025年6月20日の午前中に、各メディアが「国分太一氏がレギュラー番組を全て降板し、無期限謹慎する」旨の報道が流れ、注目していた13時からの日本テレビ社長による記者会見は、「プライバシー保護」を理由に、全く、降板理由が「コンプライアンス違反が確認された」という事実以外は、語られず、多くの国民がモヤモヤした気分になったと思います。
国分太一氏や所属事務所ではなく、国分太一氏を番組に起用していた日本テレビ社長が会見を行なうということも「異例」ですが、大手メディアが主催した記者会見として、プライバシー保護を理由にするとしても、コンプライアンス違反の種類(例:パワハラ、セクハラ、違法カジノ、違法薬物、番組予算の私的流用、など)程度は、説明責任として明かして欲しかったと思います。
個人的には、「日本テレビ社長としての自己保身」にしか、この記者会見は映りませんでした。
先日、「中居氏問題」で、セクハラ行為の存在を知りながら番組に起用し続けたフジテレビの社長らが告訴されましたが、この「二の舞になることを防止」するための会見のようでした。
以下に、このスポニチアネックスの記事を要約し、日本テレビが説明すべきだった記者会見について、考察しました。
《以下、記事の要約》
2025年6月20日、TOKIOの国分太一が「複数のコンプライアンス違反」を理由に全活動を無期限休止し、日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』も降板した。
日本テレビの福田博之社長は同日会見し、5月27日の内部通報で問題を把握、弁護士調査を経て臨時取締役会で降板を決定したと説明。
ただし「プライバシー保護」を理由に違反内容は一切非公表とし、刑事告訴の予定もないと述べた。
国分は午後に謝罪文を出したが詳細は伏せたまま。関係者筋では、スタッフへの“写真要求”などセクシュアルハラスメントに類する行為との情報が流れ、事実確認を認めたうえでの迅速な処分とみられる。
番組は今後も継続予定で、国分の記者会見の予定はない。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
1)情報開示の原則と範囲の宣言
冒頭で「被害者保護を最優先としつつ、社会的説明責任を果たす」方針を明言すべきだった。
具体的には、
(1)違反行為の類型(セクハラ・パワハラ・金銭不正など)
(2)発生時期・件数
(3)社内通報から処分決定までの調査プロセス
の三点は個人を特定せずとも公開できる。
行為の実態を隠したままでは再発防止策の妥当性が評価できず、視聴者・スポンサーの不信だけが残る。
2)タイムラインと調査プロセスの透明化
2025年5月27日の通報受理から6月20日発表までの経緯を、
- 受理→即時ヒアリング
- 外部弁護士チーム設置
- 6月○日調査完了、本人に事実確認
- 6月18日本人通告
という形で、時系列で示す。
これにより「隠蔽期間がなかったか」「圧力はなかったか」を第三者が検証できる。
3)被害者支援体制の明示
被害を申し出たスタッフに対し、
(1)外部カウンセラーの手配
(2)配置換え・休業など就労上の配慮
(3)二次被害防止のガイドライン徹底
を説明し、テレビ業界に蔓延する「泣き寝入り文化」を払拭する姿勢を示すべきだった。
4)ガバナンス再点検と再発防止策
番組制作現場は制作会社・出演者・局員が入り交じる多層構造で責任が曖昧になりやすい。
- 全制作現場にハラスメント相談窓口を周知
・キャスト契約書に行動規範条項を明記し、違反時の即時措置を規定
・取材・ロケ帯同スタッフに対する匿名アンケートを定期実施
など、組織横断的な管理モデルを提示しなければ「個人の問題」で終わる。
5)メディア企業としての自戒
ジャニー喜多川問題をはじめ、業界は不祥事の初動対応の稚拙さで信頼を失ってきた。
社長自ら「プライバシー」と「公益」のバランスの取り方を学び直し、記者からの質問には「答えられない」ではなく「●●は捜査・被害者保護上の理由で非開示だが、類型は△△である」と区分回答する姿勢が必要であった。
6)今後のコミュニケーション計画
調査報告書の概要版を公開し、半年後にフォローアップ会見を実施すると宣言することで、問題を風化させず継続的な説明責任を果たせる。
これにより視聴者・スポンサー・取引先は改善状況を客観的に確認できる。
<まとめ>
上記を踏まえれば、日本テレビは「隠蔽体質」批判を避け、ハラスメント問題に真正面から取り組む先進事例を示せたはずだ。
今回の沈黙は、メディア企業が最も重視すべき“透明性”と“公共性”を自ら損ねたと言える。
【好評発売中!】
『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001