私は、これまでに、「不祥事を止めるISO思考」(2007年)、「仕組みが無くてダメな会社仕組みがあってもダメな会社」(2008年)、「ISOの復権」(2019年)といったISOマネジメントシステムの組織経営への活用に関する書籍を発表しています。
今回は、「ISO思考による賃上げ対策とは何か」、そして、「取組み方のポイント」について、説明したいと思います。
《「ISO思考」による“賃上げ対策”とは》
「ISO思考」による賃上げ対策は、ISOマネジメントシステムの原則を用いて、組織の賃金構造の持続可能性を保ちつつ、従業員の満足度と生産性を向上させる戦略です。このアプローチでは、賃金の公平性と透明性を確保し、労働市場の動向に適応しながら、組織の財務健全性を維持します。ISO 9001(品質マネジメント)やISO 30415(人材マネジメント)、ISO 26000(社会的責任)などの規格がガイドラインとして活用され、従業員のモチベーション向上、人材の定着率改善、および全体的な組織効率の最適化を目指します。
賃上げ対策では、労働コストの管理だけでなく、従業員が企業の成功に貢献していると感じるような環境を整えることが重要です。これにより、従業員のエンゲージメントが高まり、生産性向上につながります。
《賃上げ対策のための取り組み方のポイント》
1)労働市場分析の実施:
労働市場のトレンドを理解し、競争力のある賃金体系を構築します。
業界標準や地域ごとの給与水準を分析し、公平かつ適正な賃金設定を目指します。
2)パフォーマンスと報酬の連動:
ISO 9001の原則に基づき、パフォーマンス管理システムを確立します。
目標達成度に応じたインセンティブやボーナス制度を設け、従業員の努力と成果が正当に評価されるようにします。
3)コスト効率の向上:
プロセスの効率化や自動化を進め、運営コストの削減を図ります。
コスト削減による余剰資金を労働コストのサポートに充て、賃上げに伴う財務への影響を軽減します。
4)従業員のスキル向上とキャリア開発:
ISO 30415などの人材開発規格に基づき、従業員のスキルアップとキャリア開発プログラムを提供します。
スキルの向上は、従業員自身の市場価値を高めるとともに、企業の生産性向上にも寄与します。
5)従業員エンゲージメントの強化:
従業員の意見を聞き、職場環境の改善に努めます。
ISO 26000の社会的責任の枠組みを用いて、労働条件の改善、ワークライフバランスの促進、労働安全の確保を行います。
6)透明性の確保とコミュニケーションの強化:
賃金体系の透明性を高め、どのように給与が決定されているかを従業員に明確に伝えます。
定期的なフィードバックとオープンなコミュニケーションを通じて、信頼関係を築きます。
「ISO思考」による賃上げ対策は、単に給与を上げること以上に、従業員のモチベーションと企業の持続可能性を両立させるための戦略的なアプローチです。
これにより、従業員は自らの貢献が公正に評価されていると感じ、その結果、企業全体のパフォーマンスが向上します。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ920号より)
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