私は、これまでに、「不祥事を止めるISO思考」（2007年）、「仕組みが無くてダメな会社仕組みがあってもダメな会社」（2008年）、「ISOの復権」（2019年）といったISOマネジメントシステムの組織経営への活用に関する書籍を発表しています。
今回は、「ISO思考による収益性向上とは何か」、そして、「取組み方のポイント」について、説明したいと思います。
《「ISO思考」による“収益性向上”とは》
「ISO思考」とは、ISOマネジメントシステムの原則を組織運営の核として活用するアプローチです。
収益性向上における「ISO思考」の応用は、組織が効率化、品質向上、顧客満足度の高め方を再考し、これらの要素を収益向上に直接結びつける戦略を形成することを意味します。
このアプローチでは、ISO 9001（品質マネジメント）、ISO 14001（環境マネジメント）、ISO 45001（労働安全衛生マネジメント）などの各種規格を活用して、全社的な改善活動を行います。
収益性向上では、製品やサービスの品質を高めることで顧客の信頼を得、リピート購入や新規顧客の獲得を促進します。また、プロセスの効率化によりコスト削減を実現し、全体の収益性を高めることが目指されます。さらに、持続可能な環境管理を通じて社会的責任を果たすことも、企業価値を向上させ顧客基盤を拡大する上で重要です。。
《収益性向上のための取り組み方のポイント》
1）品質管理の徹底：
ISO 9001などの品質マネジメントシステムを適用し、製品やサービスの品質保証プロセスを確立します。高品質は顧客満足を高め、市場での競争力を強化します。品質不良によるコスト、例えばリワークやリコールの発生を減らすことで、効率的な運営が可能となり収益向上に貢献します。
2）プロセスの最適化：
プロセスを標準化し、無駄を削減することで生産性を向上させます。ISO思考に基づくプロセス分析を通じて、時間とコストの削済みが可能な部分を特定し、改善策を実施します。効率的なプロセスは、低コストで高品質な商品やサービスを提供する基盤となります。
3）環境との調和を図る経営：
ISO 14001の規格に沿って、環境マネジメントシステムを構築します。エネルギー使用の最適化、資源の再利用、廃棄物の減量などを通じてコスト削減と環境負荷の低減を実現します。また、環境に配慮した企業姿勢は社会からの評価を高め、顧客からの信頼獲得につながります。
4）従業員の能力開発とモチベーションの向上：
従業員がそれぞれの役割において最大限のパフォーマンスを発揮できるように、継続的な教育とトレーニングを提供します。ISO 10018などの人材管理に関するガイドラインを参考に、モチベーションとエンゲージメントを高める環境を整えることが、生産性向上に寄与します。
5）顧客関係の深化：
顧客のニーズを深く理解し、それに応える製品開発やサービス改善を行うことで、顧客満足度を高めます。ISO 10002などの顧客満足に関する規格を参考に、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、それを事業改善に活かします。
6）定期的な評価とレビュー：
組織の各レベルで定期的にパフォーマンスを評価し、ISOマネジメントシステムの効果を測定します。PDCAサイクルを適用し、改善が必要なエリアに迅速に対応することで、継続的な収益向上を目指します。
「ISO思考」による収益性向上の取り組みは、品質、効率、環境との調和を核として、企業の持続可能な成長と収益性の向上を実現するための戦略的アプローチです。
これらの取り組みを通じて、企業は市場での競争優位を築き上げ、長期的な成功を確立することができるでしょう。
（※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ910号より）
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