2025年5月29日付の産経新聞が、
『相次ぐ冠水、老朽水道管の「破損」見逃すアナログ点検の限界 精度は担当者の経験値が左右』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、“老朽水道管の破損”を見逃さないために今後、国交省や各自治体が取組むべきことを考察しました。
《以下、記事の要約》
老朽化した水道管の破損により、京都市や大阪市などで相次いで道路冠水が発生し、従来の点検方法の限界が明らかになった。
上水道の管は下水道と違って内部に入ることが難しく、基本的に目視と音調調査に依存しており、点検精度は担当者の経験に左右される。
大阪市では、破損したのが従来より耐久性が高いとされる「ダクタイル鋳鉄管」であったため、点検対象を独自に拡大。点検済みだったにもかかわらず破損が発生した背景には、外側から進行する腐食や点検手法の限界がある。
上水道の破損は、圧力の影響で漏水が噴き出すなどの被害につながるが、多くは路面に染み出す程度で発見が難しい。
大阪市では今後、国交省の要請分に加え、独自調査分も含めて合計約56キロの管路を順次調査予定だが、時間・人員の制約が課題となっている。
専門家は、効率的に危険箇所を特定するためにAIなどの先端技術の活用を強調している。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<老朽水道管破損を見逃さないための国交省・自治体の取組に関する提言>
老朽化した水道管の破損は、近年深刻化するインフラ問題の象徴であり、冠水被害や断水といった市民生活への直接的な影響をもたらしています。
こうしたトラブルを未然に防ぐには、国交省や各自治体が点検・更新体制の抜本的見直しと技術革新への対応を同時に進める必要があります。
1)点検手法の限界認識と技術革新の導入
従来の点検は、消火栓や弁室からの目視、異音確認などに依存しており、特に基幹管路では騒音や構造上の制約により検出が困難です。
今後は、地中レーダー探査、AIによる劣化度推定、非破壊検査(NDT)、管内カメラ、ドローン技術の活用が不可欠です。たとえば、衛星データを用いて地盤の変動や漏水兆候を広域に検出するなど、物理的な点検の限界を補完する新手法の導入が現実的な選択肢となります。
2)リスクベースの優先順位づけ
「すべてを一斉に点検・更新することは不可能」という制約の中で、腐食の進行が早い地盤(酸性土壌や地下水位が高い地域)、交通量が多く事故の影響が甚大な緊急輸送道路下、設置から50年以上が経過した鋳鉄管等について、優先的に点検・更新する必要があります。
このために、AIとGIS(地理情報システム)を組み合わせたリスクマップの作成が急務です。
3)技術人材の育成と知見の集約
水道事業者や委託先の民間企業では慢性的な人材不足が続き、現場の知見が属人化しており、技術の継承も困難な状況です。
頻繁な人事異動(ジョブローテーション)を見直し、水道インフラに精通した技術者の専門職制度化が必要です。
また、外注に頼らず内部に中核人材を育成・配置し、調査技術や設備更新の判断を担える体制を構築することが求められます。
4)調査・施工の迅速化と制度整備
点検後に不良箇所が見つかっても、道路管理者との調整や申請手続きが障害となって迅速な工事が難航する例が多く見られます。
国交省は、水道管修繕に関する優先施工枠の制度化や、迅速な許可取得を可能とする手続きの簡素化を検討すべきです。
5)予算の確保と財政支援
点検・更新の実施には多額の予算が必要であり、特に小規模自治体では財政負担が大きくなります。
国交省は、老朽管路対策に特化した交付金や地方債制度の拡充を通じて、自治体間の対応格差を是正すべきです。
インフラの老朽化は待ったなしの課題です。これを機に、点検手法の高度化と人材・制度面の支援を一体的に進めることが、水道事業の持続可能性を担保する唯一の道といえるでしょう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ961号より)
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