2025年5月23日付の日テレNEWSが、
『施工不十分で架線断線…パンタグラフに当たったことが原因か JR山手線トラブル』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、一般論として考えられる、施工時に施工不良が見つけられなかった想定理由と再発防止策について、考察しました。
《以下、この記事の要約》
2025年5月22日夜、JR山手線の外回りで21本の列車のパンタグラフ(架線から電力を取り込む装置)の一部が曲がるトラブルが発生し、翌朝まで外回りと内回りの運転が見合わせとなりました。
この影響で約25万人に影響が出ました。
JR東日本の発表によると、原因は新橋駅付近の架線設備の施工不良にありました。
架線に電流を流す装置と架線との接続が不十分だったため、熱が発生して架線が断線し、垂れ下がった架線がパンタグラフに接触したとみられています。
問題の接続部は2024年11月に施工されたばかりで、同様の工事が直近1年で行われた約50か所をJR東日本は緊急点検する方針です。
国土交通省の中野大臣も23日の会見で、JR東日本に対し原因の徹底調査と再発防止策の策定を求めたと明かしました。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
今回のJR山手線での大規模運休は、インフラの根幹である架線設備の施工不良が原因でした。
2024年11月に施工されたにもかかわらず、半年足らずで事故に至った背景には、複数の構造的な課題が潜んでいたと考えられます。
第一の要因は現場の人材不足と技術継承の断絶です。鉄道業界では、定年退職などにより熟練技術者の数が減少し、現場には経験の浅い技術者が増えています。
その結果、施工時に接続不良のような基礎的なミスが見逃される可能性が高まっています。
従来なら職人の経験則で気付けた問題が、マニュアル依存の作業では発見されにくくなるのです。
第二の要因は、施工管理体制の脆弱さです。工事の多くが下請け・孫請け構造で行われ、発注者側(JR東日本)の監督が形式化している可能性があります。
新設設備であるにもかかわらず、十分な品質確認や耐久検証が行われなかったのは、管理体制が機能していなかった証左です。
第三に、運行設備に対するリアルタイム監視体制の欠如も指摘されます。
たとえばJR東海では過去の事故を機に、走行中の列車から架線状態を常時監視するシステムを導入しましたが、JR東日本ではそうした先進的な安全装置の本格運用は見送られているようです。
過去の教訓が反映されていない体質も問題でしょう。
<再発防止策>
再発防止策としては、以下の点が必要不可欠です。
1)技術者の育成と待遇改善
若手人材の教育と継続的なスキルアップ研修を義務化するとともに、技術職の処遇改善によって現場力を底上げすることが急務です。
2)施工のダブルチェック体制の構築
接続部など重大設備の施工後には、元請けと第三者機関による二重の品質確認を徹底し、形式的な検査を見直す必要があります。
3)リアルタイム監視システムの導入
パンタグラフと架線の状態を走行中に常時モニタリングできるシステムを早期に導入し、異常の早期検知と予防保全につなげるべきです。
4)過去の事故からの学びの徹底
自社・他社を問わず、過去の事故報告書や教訓を活用したリスク教育を全現場に共有し、組織的な安全文化を育てる必要があります。
鉄道という公共インフラの信頼性を支えるのは、人と技術、そして継続的な改善の意志です。単なる“作業”ではなく“使命”として安全を守る姿勢が、企業と社会に求められています。
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