2025年5月21日付の日テレニュースが、

『警察庁の「外免切替」見直し方針明らかに 住民票の写しの提出原則「知識確認」など厳格化へ』

と題した見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、「外免切替」の問題点を整理してみました。

 

《以下、記事の要約》

外国で取得した運転免許を日本のものに切り替える「外免切替」について、警察庁は制度の見直しに着手する。

これまで、「知識確認」が簡単すぎることや、ホテルなど一時的な滞在場所が住所として認められることに批判があった。

警察庁は、原則として住民票の写しによる住所確認を必須とし、「知識確認」の問題数増加や内容の厳格化も検討中である。

これは、自民党の委員会で明らかにされた方針で、国外在住の日本人や外交官など一部例外を除いて適用される見込み。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<主な外免切替の問題点と対応策>

 

現在の「外免切替」制度には、運転技能の担保と本人確認の点で複数の深刻な問題がある。

 

第一の問題は、「知識確認(筆記試験)」の内容が極めて簡易であることだ。10問程度の○×式問題で、日本の複雑な交通ルールを十分に理解しないまま合格できてしまう現状では、交通標識の誤認や危険運転、さらには逆走などの重大事故を招く恐れがある。

特に日本独自のルール、例えば踏切での一時停止や左側通行といった点の理解が浅いままでは、運転者本人だけでなく周囲の人々の命にも関わる。これはもはや制度上の「セキュリティホール」といえる。

 

第二に、住所要件の甘さがある。現行制度では短期滞在の外国人がホテルなどを住所として申請し免許を取得できるという極めて異例の措置が許容されていた。

これは、制度の公平性を欠くだけでなく、事故後の逃亡や所在不明のリスクを高め、被害者への補償にも悪影響を及ぼす。

日本人が住所変更に住民票が必要なのに、外免切替には不要という扱いは、制度の整合性を欠いており、住民票の写しを義務化する方針は極めて妥当である。

 

さらに第三の課題は、国籍や免許取得国の取り扱いに差がなかったことである。

ジュネーブ条約非加盟国の免許保持者や、日本の法制度との互換性が著しく低い国で取得した免許についても、形式上の切替えが可能であったことが問題を複雑にしてきた。

 

これらを踏まえ、今後に向けて以下の対応策が求められる。

 

1)試験の厳格化
知識確認の問題数を増やすだけでなく、内容自体を日本の交通事情に即したものにし、日本人と同程度の難易度にする。言語の多様性には配慮するが、一定の日本語理解力の確認も不可欠である。

 

2)技能確認の実質化
運転実技においても形骸化したチェックではなく、日本特有の交通環境(細い道、交差点構造、歩行者優先など)への対応能力を評価する。

 

3)住民票の義務化と所在の確保
住民票の写しを用いた住所確認は最低限であり、連絡手段や在留資格との照合も行い、事故時の責任追及や補償を確実にする体制整備が必要である。

 

4)対象国の見直し
条約非加盟国や交通規則の相違が著しい国については、外免切替ではなく、日本の通常の運転免許取得手続を義務付けるべきだ。

 

5)違反時の厳罰化
重大違反があった際には、運転免許の即時失効に加え、在留資格の取消しや強制送還も含めた厳格な措置を制度化する必要がある。

 

外免切替制度の適正化は、単なる運用の見直しにとどまらず、公共の安全と制度への信頼を守るための国家的課題である。

性善説に基づいた緩やかな制度は、国際化の進展に伴って限界を迎えている。今後は、法整備と技術の導入を並行して進めることで、外国人運転者と日本社会が互いに安全に共存できる交通環境を整えていくことが急務である。

 

 

【好評発売中!】

『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001