2025年5月16日付の「J CASTニュース ビジネス&メディアウォッチ」が、

『「天下一品」が首都圏で閉店ラッシュ 6月末で10店舗閉店、SNSで話題に「残念でしかない」』

と題した見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、天下一品の閉店ラッシュについて、想定される原因と今後の展開を考察しました。

 

《以下、記事の要約》

ラーメンチェーン「天下一品」が、2025年6月30日をもって首都圏の少なくとも10店舗を閉店することが明らかになりました。

対象となるのは、渋谷店、新宿西口店、池袋西口店、田町店、目黒店、吉祥寺店、蒲田店、川崎店、大船店、大宮東口店で、首都圏にある34店舗の約3割にあたります。

 

同チェーンは1971年、京都で創業。「こってりスープ」で根強いファンを持ち、2025年5月16日時点で全国に209店舗を展開しています。

中でも首都圏は都心立地が多く、今回の一斉閉店は利用者に大きな衝撃を与えました。

 

SNSでは5月初旬から閉店情報が拡散され、店頭に掲示された閉店告知の写真が次々に投稿される中、「残念」「信じられない」といった声が相次ぎました。

運営会社の天一食品商事(滋賀県大津市)は、J-CASTニュースの取材に「回答を差し控える」として、閉店の理由を明かしていません。

 

一部では、特定のフランチャイズオーナーによる経営判断による一括撤退ではないかとの見方もあり、今後の動向に注目が集まっています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

<天下一品“閉店ラッシュ”の背景と今後の展望>

天下一品の首都圏店舗が一斉に閉店する事態は、単なる経営整理という域を超え、外食チェーンの苦境と、フランチャイズモデルの課題を浮き彫りにしています。
以下、主な要因と今後の展望を整理します。

 

◆原因(1):急激な物価高と過度な価格転嫁

天下一品は、近年の原材料・人件費・光熱費の上昇を背景に、ラーメン1杯の価格がかつての700円台から1000円超にまで跳ね上がりました。
餃子セットや定食なども1200円前後に達し、日常食としての手頃さを失いつつあります。

 

多くの利用者が「以前は月に数回行っていたが、「1000円の壁」を超えた価格設定は、リピーター離れを招いたと見られます。
他チェーンや地元店との価格差が心理的なハードルとなり、客足の減少が慢性化していたと推察されます。

 

◆原因(2):FCモデルの限界と店舗バラつき

天下一品の多くはフランチャイズ(FC)方式で運営されており、味やサービスの品質にバラつきが出やすい体制となっています。
利用者の中には「昔の感動がない」「店舗ごとにスープの温度や濃度が違う」といった声もあり、ブランド価値の一貫性に対する疑問が出ていました。

 

今回の首都圏10店舗閉店も、同一オーナーによる一括撤退との見方が強く、フランチャイズオペレーションの柔軟性が、逆に急激な撤退リスクを生みやすい構造であることが浮き彫りになりました。

 

◆原因(3):市場の変化と競争の激化

昨今、ラーメン市場は「非外食志向」や「コスパ志向」が進んでいます。
スーパーや冷凍食品で高品質なラーメンが簡単に手に入る時代にあって、価格・接客・味の全てで「外食ならではの付加価値」が求められるようになっています。

 

天下一品の“こってり”という唯一無二の特徴は一定のファンを持つ反面、ライト層を惹きつける柔軟性に欠け、競合店との競争に不利な構造になっていたとも言えます。

 

◆今後の展開:縮小と再構築を経てブランド再定義へ

今後、天下一品が取るべき道は「無理な拡大路線の見直し」と「ブランドの再定義」です。

 

地方の直営店や堅調なエリアに集中する一方で、競争の激しい都市圏での撤退を進め、固定ファンを支える“スモール&ストロング”戦略への転換が求められます。

 

また、価格帯やメニュー構成の見直しに加え、店舗ごとの品質格差を是正する仕組みの導入や、ECや冷凍商品による収益多角化も有効でしょう。
かつての名店ブランドを守るためには、単なる価格転嫁ではない「顧客本位の価値提供」への回帰が不可欠です。

 

<まとめ>

天下一品の大量閉店は、ラーメン業界における経営戦略、価格設計、消費者との距離の取り方すべてに警鐘を鳴らす出来事です。

「こってり」は強みであり武器ですが、それを時代に合わせてどう磨き直すか。

老舗チェーンの再生は、今まさに正念場を迎えています。

 

 

【好評発売中!】

『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001