2025年4月30日付の「弁護士JPニュース」が、
『「この職場にいたくない」東証プライム上場企業で2年目の新入社員が自死 繰り返された“強い叱責”に遺族らが損害賠償求め提訴』
と題した見出し記事を報じていました。
この裁判のニュースは、どこのテレビ局か覚えていませんが、テレビでも報道されており、確か、労働基準監督署は、いわゆる「パワハラがあったこと」(※強い心理的負荷によって精神障害を発症し自殺)を認定したはずですが、企業側はこの訴訟に対して、「弊社の認識と異なっている」旨を表明しているようです。
真実は、裁判を通じて明らかになっていくと思うので、今後を注視したいと思います。
以下は、この記事を要約し、現時点までの情報から、この裁判の行方と企業への影響についてうらなってみました。
《以下、記事の要約》
炭素製品大手「日本カーボン」の元社員(当時25歳)が、上司から達成困難なノルマや厳しい叱責を受けたことで精神的に追い詰められ、2021年に自殺した。遺族は同社と上司に対し、約9000万円の損害賠償を求め、2025年4月30日に東京地裁へ提訴した。
労働基準監督署はすでに「強い心理的負荷」による精神障害として労災を認定。
一方で、指導が業務の範囲内との判断からパワハラ認定はされていない。
遺族側は、上司の人格否定的な言動と会社の不十分な対応が原因だと主張。
被害者は精神科を受診し、人事にも相談していたが、会社の対応は遅く、職場環境の改善も不十分だったという。
会社側はコメントを控えている。
(以上、記事の要約)
《筆者の考察》
本件は、労災認定という公的判断が下されたうえでの提訴であり、被害者の精神疾患と職場環境の因果関係がすでに一部認められている点が大きい。
裁判では、上司の言動が「業務指導」か「パワハラ」かが主な争点になると見られる。
労基署は前者と判断したが、弁護士側は具体的指示なく再提出を繰り返させた点を「過大な要求」として、社会通念上パワハラに該当すると主張しており、判決次第では企業の管理責任が厳しく問われる可能性がある。
企業への影響は多方面に及ぶ。まず社会的イメージの悪化は避けられず、新卒採用や中途採用において敬遠されるリスクが高い。
特に若手研究者からの信頼失墜は深刻で、人材確保に大きな支障をきたす。
また、取引先企業もコンプライアンス意識の高まりを背景に、企業姿勢を見直す可能性がある。
さらに、株主からは説明責任や経営体質の改善を求められる可能性がある。
再発防止策を講じないまま訴訟に至った姿勢は、ガバナンス上の問題とも受け取られかねない。
今後企業側が社会的信頼を回復するには、速やかな再発防止策の公表、第三者委員会の設置、上司の責任追及を含めた社内処分などが求められる。
加えて、ハラスメント防止に向けた教育・研修の徹底と、労働者のメンタルヘルスを守る相談体制の構築が不可欠である。
企業は「失われた命」の重みを真摯に受け止め、透明性のある対応が必要になるだろう。
【好評発売中!】
『サービス業のISO(設計・環境側面・危険源・気候変動)』(令和出版)2025年4月30日発売
『~マーケット・クライアントの信頼を高めるマネジメントシステム~ サービス業のISO (設計・環境側面・危険源・気候変動の実践ガイド)』 著:有賀正彦 - 令和出版
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001