2025年4月27日付の共同通信社が、
『赤旗苦境、10億円の寄付募る 共産機関紙「発行が危機」』
と題した見出し記事を報じていました。
「赤旗」といえば、筆者は、学生時代に、民青に参加していた高校時代の同級生から、「ノルマのための購読」を頼まれ、仕方なく、1年間だけ、定期購読していたことがあります。
当時は、購読者数が300万人を越えていた時代でした。
以下、この記事を引用し、購読者数激減の背景と赤旗の今後を考察しました。
《以下、記事の引用》
共産党が、機関紙「しんぶん赤旗」の購読者数減少で発行が危機に直面しているとして、10億円の寄付を募っている。
政党交付金を受け取らない共産にとって赤旗の購読料は収入源の柱。発行継続に向け異例の寄付要請に踏み切ったが、関係者は「応急措置に過ぎず、購読者数が増えなければ根本的な解決にならない」と指摘する。
赤旗は日刊紙と日曜版を発行。
二つを合わせた購読者は1980年の355万人がピークで、2024年1月時点で85万人まで落ち込んだ。
自民党派閥裏金事件などの調査報道で知られる日曜版は黒字を維持するが、日刊紙は年間十数億円の赤字を出している。
共産党は2024年1月の党大会で、2年間で購読者を100万人に回復させる目標を決めたものの、達成の見通しは立たず、2025年1月の第4回中央委員会総会で10億円寄付の呼びかけを始めた。
田村智子委員長は、2025年4月24日の記者会見で、現時点で約5億円が集まったと説明。「赤旗には信頼できる情報を伝える役割がある」と発行を続ける必要性を訴えた。
(以上、記事の引用)
《筆者の考察》
【赤旗の購読者数減少の要因と今後の打開策】
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、購読者数減少により発行継続の危機に直面し、10億円の寄付を呼びかける事態となりました。
発行部数は1980年に355万人だったのに対し、2024年にはわずか85万人と、40年以上で約4分の1に激減しています。この背景には、複数の構造的な要因が存在しています。
第一に、党勢の衰退と高齢化です。共産党自体の支持基盤が高齢化し、新規党員・支持者の獲得に苦戦していることが、赤旗の読者減にも直結しています。
若年層の関心を引く訴求力が弱く、組織の硬直化が進んでいることが指摘されています。かつての「大衆的前衛党」モデルから脱却できず、運動のスタイルや価値観が現代社会にそぐわなくなっていることが痛手となっています。
第二に、メディア環境の変化です。新聞離れが進む中、紙媒体自体の需要が低下しています。
特に若年層はニュースをオンラインで取得する傾向が強く、紙の機関紙に頼るモデル自体が時代に取り残されつつあります。
加えて、「コア支持層」向けに偏った情報発信に留まり、社会全体に訴える力が弱くなっているとの批判もあります。
第三に、組織内部の硬直化と外部評価の悪化です。
異論を認めず、内部での自由な議論や改革が進まない体質に対する失望が、党員離れ・読者離れを加速させています。また、党幹部の豪邸問題や古い価値観に基づく活動スタイルへの違和感も、若い世代の反発を招いています。
こうした中で、赤旗の今後の打開策として考えられるのは次のような取り組みです。
1)組織改革と価値観のアップデート
旧来型の「大衆運動」「革命」を強調するスタイルから、現代の若者が共感できる「生活支援型」「共生・多様性重視型」の価値観へシフトする必要があります。
気候変動対策、ジェンダー平等、地域活性化などの現代的テーマに軸足を移し、「現代版社会変革運動」を打ち出すべきでしょう。
2)デジタルメディアの本格展開
紙媒体にこだわらず、赤旗の内容をSNSや動画コンテンツで広く発信し、若年層への接触機会を増やすべきです。
時事問題への即応や、柔軟なトーンでの情報発信が求められます。
3)読者層の拡大と柔軟なコンテンツ展開
現在のコア読者層だけに依存せず、政治に関心はあるが政党支持を持たない層、リベラルな若者層にも届くコンテンツを開発すべきです。
硬直的な「機関紙」から、もっと多様な論点を扱う「社会派メディア」への脱皮も一案です。
4)組織内民主主義の再構築
党内部での自由な議論と異論の尊重を制度化し、時代に合った柔軟な意見形成を可能にすることが不可欠です。
党勢後退に責任を取らない現在の指導部体制を見直し、開かれたリーダーシップへの転換が求められます。
寄付による延命だけでは抜本的な解決になりません。
共産党と赤旗が未来に向かって再生できるかどうかは、「現実を直視する勇気」と「変化を受け入れる柔軟さ」にかかっています。
今こそ、過去の成功体験に固執せず、時代の要請に応える大胆な改革に踏み出すべきでしょう。
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