2025年4月23日付の毎日新聞が、
『300匹超の搬出決まらず 札幌市、無許可開設動物園に初の立ち入り』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、なぜ、札幌市に無許可で開設されていたのか、考察しました。

《以下、記事の要約》
◆無許可開設問題のノースサファリサッポロ、市が初の立ち入り検査
札幌市南区にある民間動物園「ノースサファリサッポロ」が、市街化調整区域に無許可で開設されていた問題で、札幌市は2025年4月23日、初めて園への立ち入り検査を実施した。
検査後、市保健所動物愛護管理センターの千葉司所長は、人に危害を加える特定動物を含む300匹以上の移送先が決まっていないと指摘し、「可能な限り急ぎつつ、慎重な搬出」を求めた。

園を運営する「サクセス観光」は、同園を2025年9月末で閉園し、飼育する640匹のうち210匹を3月末、さらに72匹を9月末までに園外施設へ搬出すると発表している。
検査では、3月以降モルモットやシマリスなど約40匹が追加で移送され、計画の前倒しが確認されたが、全体移送の完了時期は未定。

飼育状況に関して法令違反は確認されなかったものの、札幌市は引き続き監視を続け、動物の安全な移送を求めている。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
今回のノースサファリサッポロ問題は、民間事業者による長年の法令違反と、それを見過ごしてきた行政側の責任を浮き彫りにしました。

まず、無許可開設の原因は、運営会社「サクセス観光」の法令軽視と、行政側の長年の不作為にあります。
本来、市街化調整区域での建築や事業運営には都市計画法に基づく許可が必要ですが、同園はこれを無視して約20年にわたり156棟もの施設を建設し、動物を増やし続けてきました。
また、違法状態を札幌市が把握しながら、適切な是正指導や処分を行わなかったことも問題を深刻化させました。
事態を放置したことが、施設の拡大、動物の増加、さらには従業員の雇用拡大につながり、問題の規模を拡大させたのです。

この問題が地域にもたらす影響は大きいです。

第一に、動物福祉への深刻な懸念です。
300匹以上の動物の移送先が決まっていない現状では、適切な飼育環境が確保されないまま、不適切な処遇や最悪の場合、殺処分のリスクすらあります。
特に大型猛獣のような受け入れが難しい個体については、全国の動物園でも対応が困難です。

第二に、地域社会の安全リスクも無視できません。
猛獣類の搬出が遅れたり、移送時にトラブルが起これば、住民の安全にも直結する問題となります。慎重な作業が必要な一方で、迅速な対応も求められています。

第三に、地域経済と観光への悪影響です。
ノースサファリサッポロは定山渓温泉への観光動線上に位置しており、一定の集客効果を持っていました。この施設の閉園により、観光客の流れに影響が出る可能性もあり、地域経済への打撃が懸念されます。

今後、行政と運営会社が果たすべき責任は重いです。
まず、速やかに動物の受け入れ先を確保し、命を守ることが最優先です。
そして、施設の違法建築物の撤去を含めた完全な是正措置を進めなければなりません。
また、同様の事態を防ぐために、札幌市は市街化調整区域における監視体制の強化と、早期是正措置の実施体制の構築を急ぐべきです。

さらに、今回の教訓を活かし、民間事業者への許認可制度における周知徹底と、違反時の厳正な措置基準の策定・公表も必要でしょう。市民の安全と動物福祉を守るため、徹底した再発防止策が求められています。

 

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