2025年4月20日付のテレビ朝日が、
『深刻化する“ペイハラ”対策は 広末さん逮捕で関心高まる』
と題した記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、“ペイハラ”の発生が増えている背景と病院の対応策について、考察しました。

《以下、記事の要約》
俳優の広末涼子さんが看護師への暴力で逮捕された事件をきっかけに、患者から医療・福祉従事者へのハラスメント「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」に注目が集まっている。
ペイハラは、暴言や暴力、過度な要求などが含まれ、東京都が施行したカスタマーハラスメント防止条例でも問題視されている。

医療・福祉業界では約43%の従事者がハラスメントを経験しており、精神的・身体的被害が原因で離職するケースも多い。
特に認知症や終末期医療の現場では、患者の精神的な不安定さからくる暴力も少なくない。ある元看護師は「点滴棒を振り回された」「突発的に殴られた」と証言しており、現場の深刻さが浮き彫りになっている。

こうした事態に対し、一部の病院ではCS(カスタマーサービス)課を設置し、トラブル解決や暴力時の対応訓練を実施。また、職員の心のケアや認知症患者への専門的な対応体制も整備している。

高齢化が進む中、医療従事者の離職を防ぎ、持続可能な医療体制を構築するためにも、ペイハラへの組織的な対策が急務となっている。
(記事の要約、ここまで)

(筆者の考察)
医療現場での「ペイハラ(ペイシェントハラスメント)」が深刻化している。
これは、患者や家族による暴力、暴言、過剰な要求などが医療・福祉従事者に向けられる行為であり、現場では心身の負担だけでなく離職にもつながる大きな社会問題である。

ペイハラが増加している背景には、いくつかの要因がある。
まず一つは、患者の不安や苛立ちが、医療者に向けられやすい構造だ。
特に重病や認知症、終末期医療では感情のコントロールが難しい状況にあり、時に暴力や暴言という形で表出することがある。
また、「患者本位の医療」が強調されるなかで、一部の患者がその意味を誤解し、「顧客」として医療者に過剰な要求をする傾向も見られる。

さらに、SNSの普及や医療情報の氾濫により、患者側も知識を持ちつつあるが、それが誤解や不信を生み、医療者との関係がこじれる原因となっている。
医療の現場では、こうした関係の悪化が積み重なり、やがてハラスメントという形で表面化しているのが現状だ。

このような課題に対して、病院側の対応は急務である。先進的な医療機関では、CS(カスタマーサービス)推進課の設置により、迷惑行為に即応する体制を整えている。
警備の専門スタッフが緊急時に現場に駆けつけ、必要であれば“さすまた”を使って対応する訓練まで実施している。

加えて、心のケアセンターの常設や、認知症患者に対応する専門チームの設置など、スタッフの精神的・身体的負担を軽減する仕組みも広がっている。
暴力を未然に防ぐため、診察室横で警備員を待機させる対応も実践されており、現場の安全確保に注力している。

また、可視化対策として監視カメラの設置や、ハラスメント禁止ポスターの掲示といった「見える対策」も重要である。
病院全体が毅然とした態度で「ハラスメントは許さない」という方針を明示することが、抑止力につながる。

一方で、患者側にも病気の影響とは別の悪質なケースがあることから、警察や弁護士との連携を想定したマニュアル整備も進める必要がある。
医療者は何でも我慢すべきという風潮を見直し、「違法な行為は病院として対処する」という明確な姿勢を持つべきである。

最後に、病院内だけでなく、地域の警察・自治体・専門家と連携した包括的なペイハラ対策が求められる。
患者も医療者も安心して向き合える環境を整えることこそが、医療の信頼回復と持続可能な医療体制の構築につながるのだ。

 

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