2025年4月11日付の「テレ朝NEWS」が、
『「玄関に黒い影が」住人が語る恐怖…クマが“住宅侵入”3人負傷 長野』
と題した見出し記事を配信していました。
以下に、この記事を要約し、クマが住宅地に出没するようになった背景と地域に必要な対応策を考察しました。

《記事の要約》
2025年4月9日、長野県飯山市の住宅地でクマによる人身被害が相次ぎ、3人が負傷しました。
被害のうち1件では、クマがガラスを突き破って住宅内に侵入し、2階の部屋で96歳の高齢者を襲撃。被害者は重傷を負いました。
クマは成獣とみられ体長は1メートル前後。現場周辺ではこれまで目撃例が少なかった地域ですが、当日は他にも物置で男性が襲われるなど、1日で3件の被害が発生。
周辺小中学校は休校措置が取られました。

クマの出没理由としては、専門家によれば人里で遭遇した際のパニック行動が要因とされ、また前年の餌が豊富だったことで小グマの生存率が高く、個体数増加も背景にあると分析されています。
(記事の要約、ここまで)


《筆者の考察》
【クマ出没の背景と地域に求められる対応策】
近年、クマの住宅地出没が全国で頻発しています。
その背景には、自然環境の変化、クマの個体数増加、人間活動との距離の近接化といった複合的な要因があります。

<クマ出没の背景>
1)個体数の増加と生息域の拡大
多くの専門家が指摘していますが、近年は餌となる木の実(どんぐり、柿、栗など)が豊富だった年が続き、小グマの生存率が高まっています。
その結果、クマの個体数が増加し、競争を避けるために若い個体を中心に市街地へと移動するケースが増えています。

2)人間の生活圏の山間部への拡大
過疎化・高齢化によって里山の管理が行き届かなくなったことで、耕作放棄地や放置果樹が増加し、クマにとって魅力的な「餌場」となっています。
人間の生活空間が森林と接近しており、かつ人の気配が減った地域ではクマが容易に入り込めるのです。

3)猟師・駆除人の減少
クマ対策の最前線に立つ狩猟免許保持者(特に大型獣対応の「第一種銃猟免許」保有者)が高齢化と減少傾向にあり、地域の防衛力が落ちている現実も深刻です。
従来は「春グマ駆除」などで被害を未然に防いでいましたが、近年は環境保護の観点から駆除に慎重な声も強く、対策が後手に回りがちです。

<地域に求められる対応策>
1)クマが学習する「人里は危険な場所」という体験の強化
山から下りてくるクマに対しては、痛みや危険を認識させる「追い払い」の徹底が必要です。
空砲、爆竹、電気柵の設置、ペイント弾による威嚇など、被害がないうちに「学習」させる対策が効果的です。

2)「誘因物」の徹底的な排除
果樹や家庭ごみ、生ごみをクマが学習してしまうと再訪リスクが飛躍的に高まります。
個人任せでは限界があるため、自治体が条例で果樹管理やゴミ出しルールの徹底を行うと同時に、未管理の果樹伐採なども検討すべきです。

3)緊急時対応マニュアルの整備と訓練
市町村レベルで、クマの出没時の避難行動、連絡網、学校・公園の利用制限など、地域で共有すべき行動計画を整備し、定期的な訓練も必要です。
特に高齢者や子どもといった弱者を想定したシミュレーションが求められます。

4)駆除・狩猟人材の育成と報酬の適正化
猟友会や有害鳥獣駆除班の高齢化に対応するため、若い世代の担い手確保に向けて、報酬制度の見直しや免許取得支援制度の創設も検討すべきです。
安全教育と装備の充実も不可欠です。

5)自治体間の広域連携と監視体制の強化
クマの移動は広範囲にわたるため、単独の市町村では対応に限界があります。
ドローンや赤外線カメラの導入を含む監視体制の構築、県単位での情報共有ネットワークの整備が急務です

<まとめ>
クマの市街地出没は、もはや一過性の現象ではなく、構造的な問題です。
人命を最優先とする明確な方針のもと、「予防」「排除」「対処」の三段階で、地域・行政・専門家が一体となった戦略的な取り組みが求められています。
人と野生動物が共生できるためには、「距離」を維持するための知恵と覚悟が問われているのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ954号より)
 

 

 

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