2025年4月17日付の読売新聞(オンライン)が、
『都内高級ホテルが価格カルテルか、公取委が警告へ…15社が宿泊料など情報共有・高騰に影響も』
と題した見出し記事を報じていました。

筆者は、出張族なので、ビジネスホテルの利用頻度が高いですが、地方都市を含め、通常の「出張旅費規程」の宿泊費用の限度額では、大方の国内の都市で、泊まれないほど高騰しています。


コロナ禍で宿泊業界は大打撃を受けましたが、その後の為替レートの円安で、外国人観光客は増え、日本より物価が高い外国人旅行者にとっては「手軽な料金」のようで、1ヶ月ぐらい日本に滞在する場合、我々日本人には、とても手がでない高額料金のホテルでも、「ロッカー代わり」にホテルを利用し、全国各地を旅する外国人も多いそうです。

コロナ禍前まで、7~8000円で宿泊できたホテルが、2万円を超え、しかも、連泊する場合は、「清掃なし」のホテルが多く、「サービス内容も低下しているのに価格だけ爆上がり」の状況は、日本人利用者を馬鹿にした価格設定だと個人的には感じています。
以下にこの記事を要約し、今後の状況について考察しました。

《記事の要約》
東京都内の高級ホテルが、宿泊料金や稼働率などの営業情報を定期的に共有していたとして、公正取引委員会は「帝国ホテル」や「オークラ東京」、「ホテルニューオータニ」など15社に対し、独占禁止法違反の恐れがあるとして再発防止を求める警告を行う方針を固めた。

これらのホテル担当者は、毎月開催される会合で、客室単価や今後の価格設定見通しを含む情報を交換していた。
公取委は明確な価格カルテルは確認できなかったものの、共有された情報をもとに価格設定を行った事例があったとして、今後カルテルに発展する可能性を懸念している。
すでに会合は中止されている。

背景には、コロナ禍を経た観光需要の急回復と、訪日外国人の増加による宿泊需要の高まりがある。
2024年には国内宿泊者数が過去最多の6億5000万人を超え、都内の宿泊料金は急騰した。
帝国ホテルは「不当な意図はなかったが、調査に協力する」としている。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<今後のホテル業界動向とその影響>
今回、公正取引委員会が都内の有名ホテル15社に対して警告を行った背景には、急激な宿泊料金の上昇と、それを支える需要構造の変化がある。
コロナ禍の終息以降、訪日外国人観光客(インバウンド)の急増に加え、国内旅行の復調が重なり、東京のホテル市場は一気に過熱した。
こうした中でホテル各社が価格情報を共有し合う行為が、競争を制限し価格を高止まりさせる“談合的”な結果を招いた可能性がある。

実際、帝国ホテルやオークラなどの高級ホテルが価格の引き上げを行えば、相場全体のベースラインが上昇し、ビジネスホテルや中堅ホテルも価格設定を追随せざるを得ない。
その影響は広範囲に及び、出張や観光を目的とする一般消費者にとっては宿泊コストの急騰という実感として現れる。

特にビジネスホテルの価格高騰は深刻だ。かつては1泊数千円台だった都内のビジネスホテルが、現在では1万5千円~2万円を超えることも珍しくない。
これは、もはやかつての「安価で手軽な宿泊手段」という存在から逸脱しており、国内の中間層や若年層には大きな経済的負担となっている。

今後の動向としては、価格調整圧力が一時的に強まる可能性がある。公取委の警告を受け、ホテル各社は外形的な情報交換を自粛し、価格設定の透明性や正当性を示す必要に迫られる。
しかし、インバウンド需要が引き続き堅調である限り、高価格帯が維持される可能性は高い。

一方で、消費者の反発や価格感覚の乖離も無視できない。すでに「価格に見合わないサービス」や「日本人顧客を軽視している」といった批判も出始めている。
こうした声に応える形で、今後は外国人と日本人で価格やサービスを差別化する「ダイナミックプライシング」や「国内優待プラン」の導入など、柔軟な価格政策が求められるかもしれない。

さらに、人手不足と物価高騰も業界全体に影を落としている。
料金が上がっても従業員の待遇が改善されないようであれば、サービス品質の低下を招き、顧客離れに直結する。
ホテル業界が持続的に発展していくには、高価格に見合う付加価値の創出と、価格形成プロセスの公正性が不可欠となる。

最終的に、今回の事案は単なる価格操作の問題にとどまらず、ホテル業界の信頼性、公正な競争、顧客満足という三位一体のバランスが問われる試金石となるだろう。
今後、東京のホテル市場は、価格だけでなく「誰に、どのような体験を、どの価値で提供するか」がより厳しく評価される時代へと移行していくのであろう。

 

 

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