2025年4月13日付の共同通信社が、
『「マイナ保険証」、コピーは無効 修学旅行に別書類準備を』
と題した見出し記事を報じていました。
私自身の古い記憶をたどれば、小中高の修学旅行では、健康保険証のコピーを準備して持参した記憶があります。
以下にこの記事を要約し、考察しました。

《記事の要約》
政府が進める「マイナ保険証」について、修学旅行や保育施設でのけが・病気時に使用するための「保険証のコピー」としては使えないことが明らかになった。
これは、マイナンバーカードのコピーには健康保険の資格情報(どの保険者に所属しているか等)が記載されておらず、医療機関が確認できないためである。

従来の紙の保険証であればコピーでも医療機関での受診が可能だったが、マイナ保険証では本人の保険資格を証明するために、「資格情報のお知らせ」またはマイナポータルから印刷したPDFの提示が必要となる。
デジタル庁は進級・入学の時期を見据えて注意を呼びかけており、学校行事や園生活などで、保護者や学校が対応に追われる場面が想定される。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<マイナ保険証における修学旅行の健康保険対応の課題と注意点>
マイナンバーカードと健康保険証の一体化が進む中、修学旅行などの学校行事で想定される医療対応には新たな課題が生じている。
特に、医療機関への「保険証コピー」の提示によって迅速な受診が行われてきた従来の運用が、マイナ保険証の仕様では通用しない点に注意が必要である。

◆従来の運用とマイナ保険証の違い
これまで学校や保育施設では、保護者が提出した「保険証のコピー」により、急病やけがへの対応がスムーズに行われていた。
しかし、マイナ保険証には紙面上に健康保険の資格情報が記載されていない。
つまり、コピーではどの保険者に所属しているかが分からず、医療機関は保険適用処理ができない可能性がある。

◆修学旅行・合宿など学校行事での実務上の課題
修学旅行やスポーツ合宿では、現地での医療機関の受診が必要になるケースがある。
その際、保険資格が確認できなければ、全額自己負担となり、後日返金の手続きが必要になる可能性がある。
学校側や引率教員が対応に追われ、保護者の不安も増大するだろう。

また、マイナンバーカードを生徒に持たせることには、紛失リスクやプライバシー保護の観点からの懸念も根強い。
そのため、多くの保護者がカードのコピーを持たせようとするが、これが無効である現状では、保護者は「資格情報のお知らせ」またはマイナポータルでPDFを印刷して持参させる必要がある。
このプロセスはデジタル環境や印刷設備が整っていない家庭にとって大きな負担となる。

◆今後の課題と対応策
1)学校側の準備強化
校内での健康情報管理にマイナ保険証の運用を取り入れるためには、学校側が「資格情報のお知らせ」や印刷PDFの回収方法、保管方法などを明確に定める必要がある。

2)保護者への周知とサポート体制
デジタル庁や自治体は、保護者に対して制度の仕組みや代替書類の入手方法をわかりやすく説明するリーフレット配布や説明会を検討すべきである。
また、家庭でプリントが難しい世帯向けには、コンビニや学校で印刷支援を行う仕組みも重要となる。

3)制度設計の見直し
学校や医療機関での「緊急対応」が円滑に行えるよう、保険資格情報を最低限紙面に記載した「簡易カード」の発行や、学校行事向けの一時証明制度なども検討の余地がある。

<結論>
健康保険制度のデジタル化は医療費の効率化や本人確認の強化につながるが、実際の運用には多くの現場対応が求められる。
特に、子どもの教育現場や医療の現場では、制度の過渡期における不便さが顕在化している。
マイナ保険証の利便性を真に発揮させるには、紙とデジタルの両方を柔軟に活用する移行期対応が不可欠であり、「誰でも・いつでも・どこでも」安心して使える制度設計が求められている。
 

 

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