2025年4月7日付の東海テレビが、
『500kg程の鉄製のカゴと壁に挟まれ…日本製鉄の工場で作業員の男性が意識不明の重体 クレーンが急上昇か』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、事故原因を予想し、再発防止策を検討してみました。

《記事の引用》
愛知県東海市にある日本製鉄の工場で、2025年4月7日、作業員の男性が挟まれる事故があり、意識不明の重体となっています。

警察と消防によりますと、4月7日午前7時半すぎ、東海市東海町にある日本製鉄 名古屋製鉄所の製鋼工場で、「男性が鉄材と壁に挟まれている」などと消防に通報がありました。

この工場で働く20代くらいの作業員の男性が、重さ500キロほどの鉄製のカゴと壁の間に体が挟まれていて、他の作業員が助け出しましたが、意識不明の状態で病院に搬送されました。

男性は当時、他の作業員とともに鉄製のカゴをクレーンの先のフックに取りつけていて、何らかの原因でクレーンが急上昇したとみられています。

警察は、業務上過失致傷の疑いも視野に当時の状況を調べています。
(記事の引用、ここまで)

《筆者の考察》
<予想される事故原因と再発防止策>
2025年4月7日、愛知県東海市の日本製鉄名古屋製鉄所で発生した「鉄材と壁に作業員が挟まれる事故」は、産業現場における典型的かつ重大な労働災害であり、その背景にはいくつかの構造的な要因があると考えられます。
安全工学の視点から、事故原因を多角的に検討し、再発防止策を以下に提案します。

◆予想される事故原因
まず、報道内容から読み取れるのは、「鉄製のカゴをクレーンに取りつけていた作業中に、何らかの原因でクレーンが急上昇し、作業員がカゴと壁の間に挟まれた」という構図です。

原因として考えられるのは以下の3点です。

1)誤操作(ヒューマンエラー)
オペレーターが誤ってクレーンの操作レバーを「上昇」に入れてしまった可能性があります。
とくに無線式リモコンを使っている場合、誤作動やボタン押し間違いのリスクが高まります。

2)操作中の連携不足
現場で複数人が関わる作業では、合図・確認が不十分だった可能性も否定できません。
作業員が吊り荷に近づいているにもかかわらず、クレーンが稼働してしまったことから、立ち入り禁止範囲の徹底や、作業中の声かけといった基本動作が省略されていた恐れがあります。

3)装置の不具合または安全装置の欠如
機械の誤作動やセンサーの故障、あるいは「死角」で作業員の存在を検知できなかったことも考えられます。
特に高温多湿、粉塵、鉄粉など過酷な製鉄現場では、電子制御機器の信頼性が低下することもありえます。

◆再発防止に向けた具体策
このような災害を防ぐためには、機械対策と人的対策の両面からの総合的なアプローチが必要です。

1)機械的安全対策の強化
a)誤作動防止装置の導入:
クレーン操作には「デッドマンクリッチ」や「インターロック機構」を設け、誤操作時に即停止できる仕組みを徹底。

B)エリアセンサー/人物検知センサーの活用:
吊り荷の周囲に人がいると稼働できない仕組みを導入。

C)二重確認の電子認証システム:
操作開始前に2人以上の同時確認を要する仕様に変更。

2)作業手順と教育訓練の見直し
A)「近接作業禁止ルール」の再徹底:
吊り荷の真下や横に作業員が入ることを原則禁止とする。

B)指差し呼称・声かけの徹底:
現場では安全確認の形式だけでなく、実質的な意思疎通を促進する訓練が必要。

C)事故シナリオを活用した実践型教育:
今回のような「急上昇による挟まれ事故」を事例として反復訓練を行うことで、現場の危険感受性を高める。

3)管理体制と安全文化の再構築
A)作業中の監督者配置の強化:
現場に管理責任者を常駐させ、手順違反やヒヤリハットを即時是正できる体制を整備。

B)「ヒヤリハット報告」の奨励制度:
未然のリスク情報を共有し、見過ごさない企業文化を育む。

C)安全第一の「見える化」:
単なる標語ではなく、実際のリスクと行動の関係を掲示・分析する可視化手法の導入。

<まとめ>
今回の事故は、作業員の命を危険にさらす「見落とされた基本」が生んだ災害の可能性があります。
大手企業であっても、「安全は誰かの担当ではなく、すべての作業員の責務である」という共通認識と行動規範が不可欠です。産業の根幹を支える現場においては、経済合理性よりも安全を最優先とする意思決定が求められています。
再発防止に向けて、現場に寄り添った徹底した対策を講じるべきです。
 

 

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