2025年4月6日に、東名高速道路や中央道など中日本高速道路が管轄するエリアの料金所のETC(自動料金授受システム)がシステムトラブルを発生し、多くの利用者に影響が出ました。
以下に、2025年4月6日付の読売新聞の記事を要約し、このシステムトラブルについて、考察しました。

《記事の要約》
2025年4月6日未明、中日本高速道路の管轄区域で、ETC(自動料金収受システム)に大規模な障害が発生した。
東京や神奈川、愛知など1都6県、計16路線・96カ所の料金所でETCが使えなくなり、最大約6キロの渋滞と事故も発生。
原因は、7月に予定されていた深夜割引制度の見直しに向けたシステム改修作業とみられ、同社は現在、改修前の状態への復旧を急いでいる。
なお、サイバー攻撃の形跡は確認されていない。

ETCが使えなくなった料金所では係員が手作業で対応したが、渋滞の悪化を受け、午後には通行料金を後日精算とする臨時措置が取られた。
利用者には専用サイトからの精算が呼びかけられている。ETC利用率は95%以上と高く、今回のトラブルは2005年の道路公団民営化以降で最大規模。国土交通省は中日本高速に早期復旧と原因究明を指示している。
(記事の引用、ここまで)

《筆者の考察》
<社会インフラの脆弱性に関する考察と警鐘>
今回のETC障害は、日常生活や経済活動に深く関わる社会インフラが、いかに「一点の障害」によって広範な混乱を招くかを痛感させる出来事だった。
とりわけETCは日本の高速道路網を支える心臓部ともいえるシステムであり、利用率が95%を超える今、その停止は即座に国民の移動の自由や安全、物流の効率に直結する。

このような社会インフラの脆弱性の背景には、「人材不足」と「過度な効率化・コスト削減」がある。
先進的な自動化やデジタル化は、運用コストの削減や業務効率の向上に貢献してきたが、その一方で、トラブル発生時の現場対応力や保守・復旧の技術力が追いついていない現状がある。
システムに精通した技術者が減少し、トラブル時のリカバリー能力が低下しているという指摘は見逃せない。

また、日本社会に顕著な問題として、リスク想定の甘さと冗長性の欠如がある。
「平常時を前提としたシステム設計」が多く、異常事態に備えたバックアップ体制が整っていないケースが目立つ。
今回のように、障害発生時に即座に料金無料化や一時通行許可などのマニュアルが発動されず、むしろ後手の対応が混乱を助長することになった。

さらに、システム障害そのものではなく、「障害発生後の初動対応」の不備も問題だった。
本来ならば、利用者の混乱と渋滞拡大を最小限に抑える「運用の柔軟性」が求められた場面で、通行料金の回収を優先した判断が、逆に渋滞や事故を助長したとの指摘もある。
こうした危機時にこそ、インフラ事業者の「優先順位」が問われるのだ。

また、システム改修という「内部要因」による障害は、外部からの攻撃によらずとも、内部管理と検証体制の不備で大規模障害が起こり得ることを示している。
システムの複雑化・多ベンダー化が進む中で、関係各所の責任が不明確になり、復旧の遅れを招くケースも少なくない。
現場では「人狼ゲーム」と揶揄されるような責任の押し付け合いが起きていることも、社会インフラ全体の信頼性を損ねる一因となっている。

今回のトラブルは、日本のインフラがもはや「無謬(むびゅう)」ではなくなっている現実を突きつけている。
システムの高度化とともに、「壊れることを前提にした設計」、そして「異常時に即応できる現場力とマネジメント体制」の確立が急務である。社会の信頼は、日常の円滑さだけでなく、異常時の対応の質によっても大きく左右される。
今回の教訓を無駄にしてはならない。
 

 

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