2025年4月4日付の毎日新聞が、
『原爆資料館、入館者226万人で過去最多更新 核使用の危機感高まり』
と題した見出し記事を報じていました。


筆者は、2024年8月に原爆資料館を訪問しましたが、外国人観光客が多く、館内は、非常に混み合っていました。
 

以下に、この記事を引用し、原爆資料館の今後の課題を考察しました。

《記事の引用》
公益財団法人「広島平和文化センター」は、2025年4月4日、原爆資料館(広島市中区)の2024年度入館者数が226万4543人(前年度比14・3%増)だったと発表した。
1955年の開館以来、2年連続で過去最多を更新した。 

 原爆資料館は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢で世界的に核兵器使用の危機感が高まっていることに加え、円安による外国人観光客の増加が要因にあるとみている。

2025年4月4日にあった記者会見で石田芳文館長は「悲惨な被爆の実相について理解を深めてもらったことは大変有意義だ」と述べた。 
 さらに、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(同区)では2024年度の来館者数が46万6270人(前年度比17・9%増)となり、2002年の開館以来で最多を記録した。 

また、同センターは今年の広島原爆の日に、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のメリッサ・パーク事務局長や国連の中満泉事務次長らを招いてシンポジウムを開催することも明らかにした。
(記事の引用、ここまで)

《筆者の考察》
<今後の入館者数の見通しと課題>
原爆資料館の入館者数は今後も高水準で推移する可能性が高い。
国際情勢が不安定である限り、核兵器のリスクに対する関心は途切れることなく続き、原爆資料館は、「核の現実」を伝える象徴的な場として、国際社会の注目を集め続けるだろう。
特に外国人訪問者は、円安やビザの緩和、観光地としての広島の知名度上昇に伴い、一定の割合で継続的に来館が見込まれる。
また、修学旅行の回復や教育現場での平和学習の再評価も、国内からの来館者数を下支えする要因となる。

ただし、いくつかの課題も明らかになりつつある。
第一に、被爆体験を語れる当事者の高齢化である。
戦後80年を目前に、証言者の生の声を聞ける機会は急速に減っている。若い世代に体験をどう引き継ぎ、資料館としてどう展示や解説に工夫を加えるかが問われている。

第二に、外国人来館者への多言語対応の充実が不可欠である。
現在も音声ガイドや資料の翻訳は進められているが、文化背景の異なる訪問者に「原爆の実相」と「平和の意味」を効果的に伝えるには、ストーリーテリングの再構築やインタラクティブな展示、教育プログラムの強化が求められる。

第三に、政治的・倫理的な立場の多様性にどう向き合うかという難題もある。
原爆投下という歴史的事実を前に、来館者の受け止め方は様々であり、「加害と被害」「戦争責任」などの議論も避けては通れない。資料館の運営には、単なる悲惨な記録の展示にとどまらず、冷静かつ誠実な対話の場としての役割が求められている。

最後に、資料館の入館者数が増加する一方で、継続的な運営には資金面・人材面の強化も必要である。
展示の更新、施設の維持、語り部の継承、教育活動の充実など、多くのリソースを必要とする中で、行政支援と民間からの寄付・ボランティアの参加が重要な支えとなるだろう。

<結論>
原爆資料館は今後も、世界の「核の危機」を映す鏡として、多くの人々に必要とされる施設であり続ける。
一方で、その使命を果たし続けるためには、記憶の継承・多文化対応・国際対話・運営体制の4本柱を強化しなければならない。
広島の地から発信される平和のメッセージが、より多くの人々に届くような工夫と努力が、次の時代に問われている。


 

【好評発売中!】

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001