2025年4月1日付の日刊スポーツが、
『「ほっかほっか亭」エープリルフール「ライス販売停止」投稿に「時事的に…」「しゃれにならん」』
と題した見出し記事を報じていました。
以下にこの記事を要約し、この出来事について考察しました。

《記事の要約》
2025年4月1日、持ち帰り弁当チェーンの「ほっかほっか亭」がエイプリルフールにあわせて、「全国全店でライスの販売を停止する」と公式X(旧Twitter)に投稿した。
投稿にはマスコットが頭を下げるイラストも添えられ、「#エイプリルフール」と明記された。

さらに、ライス停止の理由として「米の価格高騰」をあげ、取締役名義の謝罪文風メッセージを掲載。
しかしこれが現実味を帯びていたことから、SNS上では「今の時代、シャレにならない」「顧客離れにつながる」など批判や困惑の声が相次いだ。

実際、2025年3月には米の価格が前年の2倍に達し、農水省が備蓄米の販売に踏み切るなど、コメ不足が深刻化している背景があった。
このため、「不安を煽るような嘘は良くない」「風刺のつもりかもしれないが笑えない」との反応も多く見られた。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<現代社会における企業のエイプリルフールネタのあり方>

エイプリルフールに企業がユーモアを交えた「嘘」を投稿するのは、今や一種の恒例行事となっている。
ブランディング、話題性の向上、親しみやすさの演出といった目的が込められており、SNSが普及した現代では特に影響力が大きい。だが今回の「ほっかほっか亭」の事例が物議を醸した背景には、情報の信憑性と社会的現実のギャップという問題が浮かび上がる。

まず、今回のネタは「ライスの販売停止」。つまり、看板商品である弁当の中核を担う「米」の提供をやめるという、ユーザーにとって死活的な内容であり、「冗談にしてはシャレにならない」との声が多数寄せられた。
しかも、実際に現在、米価高騰や供給不安といった社会的な不安が進行している中で、現実味がありすぎて笑えない内容だったことが、炎上の要因となった。

SNSでは「風刺だろう」「実情を反映したSOSでは」と擁護するSNSでの意見もあるが、消費者の多くはその深意よりも「食の不安」を触発されたことに不快感を抱いた。
つまり、どんなに風刺としての意図があっても、「今そこにある不安」に便乗したジョークは逆効果となりやすいということだ。

加えて、SNSでの企業の投稿は瞬時に全国に拡散され、冗談が誤解されて「事実」として広まるリスクもある。
今回も「本当に販売停止になるのか」と動揺する声が見られ、エイプリルフールというコンテキストが伝わらない人が一定数いた。情報社会では、受け手のリテラシーに依存したコミュニケーションは成立しにくく、炎上リスクが高い。

今後、企業がエイプリルフールを活用するのであれば、以下のような配慮が求められる:

1)社会情勢や不安とリンクさせない
現在進行中の問題(物価高、感染症、災害など)を題材にすると、ジョークではなく「煽り」「風評」と受け取られる。

2)ポジティブな驚きを提供する
「笑顔になれる嘘」を目指すべきで、限定商品の巨大化、非現実なコラボなどが好例。

3)見た瞬間に冗談と分かる演出
イラストやビジュアル、語調により「ネタです」と明示できる構成にし、誤認や拡散のリスクを抑える。

4)顧客との信頼を損なわない設計
ブランドイメージや顧客体験と乖離した内容は避け、むしろ親近感を持たれる工夫が望ましい。

エイプリルフールは本来、ユーモアで日常に彩りを与える文化的イベントだ。
だが企業にとっては、「遊び心」と「顧客との信頼」の間で、極めて繊細なバランスを要する取り組みでもある。
その線引きが曖昧なままでは、企業が本来得たいと願った「親しみやすさ」が、「炎上」という形で裏目に出るリスクをはらんでいる。

ゆえに、エイプリルフールは「笑って許される」内容でなければならない。
笑えない時代の笑えない冗談は、むしろ信頼を失う引き金となる。
この原則を見直すタイミングに、今回の一件はあるのではないか。
 

 

 

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