2025年3月21日付の共同通信社が、
『IOC新会長にコベントリー氏 初の女性トップ、ジンバブエから』
と題した見出し記事を報じていました。
コベントリー氏といえば、2004年のアテネ五輪、2008年の北京五輪の競泳女子200m背泳ぎで2連覇した名選手で、今年42歳と若い方です。
しかし、コベントリー氏の会長選出で、バッハ会長による「傀儡」(かいらい)運営が続くとも言われています。
以下にこの記事を要約し、今後のIOCの運営について考察しました。
《記事の要約》
2025年3月20日、国際オリンピック委員会(IOC)は、ギリシャ南部コスタナバリノで会長選挙を行い、カースティ・コベントリーIOC理事(41)=ジンバブエ=を第10代会長に選出した。
これにより、IOC史上初の女性会長かつアフリカ出身の会長が誕生した。
コベントリー氏は、競泳選手として5大会連続で五輪に出場し、2004年アテネ大会と2008年北京大会の200m背泳ぎで金メダルを獲得するなど、計7個のメダルを獲得した実績を持つ。
2013年にIOC委員に選出され、選手委員会委員長などを歴任。
母国ジンバブエではスポーツ担当大臣を務めるなど、政治的経験も積んできた。
今回の選挙では、12年にわたりIOCを率いたトーマス・バッハ会長(71)=ドイツ=の「意中の候補」とされ、後継指名とも言える形での当選となった。
選挙には、元IOC会長フアン・アントニオ・サマランチ氏の息子であるフアンアントニオ・サマランチ・ジュニアIOC副会長(65)=スペイン=をはじめ、7人が立候補したが、日本人初の候補である国際体操連盟の渡辺守成会長(66)は落選した。
バッハ氏は2025年6月に退任予定であり、コベントリー氏の新体制が今後のIOCの運営にどのような影響を与えるかが注目されている。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
<コベントリー氏の会長就任がIOCと五輪に与える影響>
1. 良い点
(1) 女性・アフリカ出身という象徴的意義
コベントリー氏はIOC初の女性会長であり、アフリカ出身という点でも画期的な存在である。
これにより、IOCのジェンダー平等やグローバル化の推進が期待される。特に女性アスリートの支援や女性のスポーツ参加促進に積極的に取り組む可能性が高い。
また、アフリカは五輪開催経験がなく、スポーツインフラの整備も遅れている。
コベントリー氏が会長になることで、アフリカ諸国のスポーツ発展に向けた投資が進む可能性がある。
2036年以降の五輪開催地として、南アフリカなどが候補に挙がるかもしれない。
(2) アスリート視点の改革
コベントリー氏は現役アスリートとしての経験が豊富であり、選手の視点を重視した運営が期待される。
例えば、選手の負担軽減や競技環境の改善、アスリートの権利保護に関する施策を強化する可能性がある。
(3) バッハ路線の継承による安定
バッハ氏が長年築いてきた商業化戦略やスポンサーシップの維持、五輪のブランド価値向上策をコベントリー氏が引き継ぐことで、IOCの経済基盤は比較的安定すると考えられる。
2. 悪い点
(1) バッハ氏の「院政」疑惑
コベントリー氏は、バッハ氏の「意中の候補」とされており、実質的にバッハ氏の影響下でIOCを運営する可能性がある。
これは、新たなリーダーシップの確立を阻害し、IOCの内部改革が進みにくくなる懸念がある。
バッハ氏の12年間の統治の間、五輪の商業化が進み、汚職や不透明な資金の流れが問題視されることもあった。
こうした課題に対し、コベントリー氏がどこまで独自色を出せるかが注目される。
(2) スポーツの政治利用の問題
近年の五輪では、ロシアのウクライナ侵攻問題やイスラエル・パレスチナ問題など、国際政治の影響が色濃く出るようになった。
バッハ氏は、ロシアの選手を「中立選手」として一部容認する一方、イスラエルに関しては特別な措置を取らなかった。
このような二重基準への批判は今後も続く可能性がある。
コベントリー氏はスポーツ大臣の経験があるが、国際政治における影響力は未知数であり、国際問題に対してどのようなスタンスを取るのかが試される。
(3) 五輪の人気低下への対応
近年、五輪の商業化が進む一方で、開催国の負担が増大し、開催意欲の低下が問題になっている。
特に東京2020、パリ2024、ロサンゼルス2028と続く五輪で開催コストや収益性が問われている。
コベントリー氏がこの問題にどのように対応するかによって、五輪の将来が大きく変わる可能性がある。
持続可能な五輪運営のために、開催都市の負担軽減や、開催方式の見直しが求められるが、IOCがこれまでの大型商業路線を転換するのは容易ではない。
3. まとめ
コベントリー氏の就任は、IOCにとって大きな転換点となる。
女性初・アフリカ初という象徴的な意義があり、アスリート視点を生かした改革や、新興地域のスポーツ振興が期待される。
一方で、バッハ氏の影響力が依然として残り、IOCの利権構造が変わるかどうかは不透明である。
スポーツの政治利用や五輪開催の持続可能性といった課題にも直面しており、コベントリー氏がどこまで独自のリーダーシップを発揮できるかが今後の焦点となる。
五輪の未来は、商業化と社会的責任のバランスをどう取るかにかかっており、コベントリー氏の手腕が試されることになる。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ951号より)
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