2025年3月14日付の「乗りものニュース」が、
『高速道路の「休日割引ナシ」大幅拡大 2025年度から“3連休ぜんぶダメ”に 一体なぜ?』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、考察しました。

《記事の要約》
NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)と本四高速、宮城県道路公社は、2025年度から3連休すべてで「高速道路の休日割引」を適用しないと発表した。
これは、政府の「オーバーツーリズム対策」に基づくもので、観光需要を平準化し、交通渋滞を抑制することが目的とされている。

もともと休日割引は土日や祝日に地方部の通行料金を3割引とする制度だったが、2020年春に新型コロナ感染拡大防止のため適用が制限され、その後もゴールデンウィークやお盆、年末年始などの交通混雑期には適用除外が拡大してきた。
2024年度からはシルバーウィークも対象外となり、さらに今回の決定で3連休もすべて除外されることになった。

国土交通省によると、休日割引を適用しなかった大型連休では渋滞の減少が見られたという。
一方で、3連休中の交通集中が依然として問題視されており、今回の措置はさらなる観光需要の平準化を目的としている。
加えて、ETC周遊パスの平日割引を拡充し、平日利用時の割引率を向上させる施策も導入される。

休日割引の適用除外は、もともとは一時的な措置とされていたが、「混雑を助長する要因」として見直される動きが強まり、恒久的な縮小に向かいつつある。今回の措置がどの程度オーバーツーリズム抑制に貢献するか、今後の動向が注目される。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<”高速道路の休日割引無し”のオーバーツーリズム対策、及び、他の休日割引制度への影響>

1. 「休日割引無し」がオーバーツーリズム対策に与える影響
今回の休日割引の適用除外が、どの程度オーバーツーリズム対策として機能するかは未知数である。
確かに、休日の交通量が抑制されることで、特定の観光地への集中が緩和される可能性はあるが、その影響は限定的と考えられる。

まず、休日割引がなくても旅行をする人は多い。
割引があったことで出かけるきっかけになった層は多少減るかもしれないが、もともと観光を計画していた人々にとっては、多少の料金差は大きな障害にはならない。
一方で、高速料金が高くなることで、短距離の観光や日帰り旅行を避ける人は増える可能性がある。
その結果、観光需要が特定の都市部に集中し、オーバーツーリズムの本来の課題解決にはならないかもしれない。

さらに、今回の施策ではETC周遊パスの平日利用促進が打ち出されているが、これはビジネス利用者には有益でも、一般の観光客がわざわざ平日に休みを取って旅行する動機にはなりにくい。
むしろ、「休日の割引がないなら行かない」と考える層が増えることで、観光地の収益に悪影響を及ぼす可能性もある。

また、オーバーツーリズム対策として高速料金を高くするならば、そもそもインバウンド観光の制限や、特定地域での観光税の導入など、他の対策の方がより効果的ではないかという意見もある。
外国人観光客が主な要因となっている地域(京都、鎌倉、富士山など)においては、国内旅行者の移動を抑制するよりも、訪問者数のコントロールや観光地ごとの課税措置を検討すべきではないかという議論が今後活発化する可能性がある。

2. 他の休日割引制度への影響
「休日割引」の縮小が進むことで、他の割引制度も見直しの対象となる可能性が高い。
具体的には以下のような影響が考えられる。

1)鉄道の休日割引の縮小
高速道路の休日割引が廃止される流れが強まると、鉄道の休日割引(例:JRの週末割引やフリーきっぷ)の見直しにも波及する可能性がある。
特に、新幹線などの特急料金の割引施策が縮小される可能性があり、鉄道利用者の負担増につながる。

2)飛行機の休日割引の減少
航空業界でも週末や連休のピーク時に運賃を抑える割引制度が存在するが、高速道路の割引撤廃と同様の動きが出る可能性がある。
特に国内線では、LCC(格安航空会社)の低価格競争が進んでおり、大手航空会社が「休日は需要が高いため割引を減らす」といった施策を取る可能性もある。

3)宿泊施設の料金体系の変化
休日の高速道路利用が減ることで、観光地の宿泊需要にも影響が出る可能性がある。
特に、温泉地やリゾート地の宿泊施設では、休日利用者の減少が懸念される。
その結果、平日料金を引き下げ、休日料金を引き上げるなど、価格戦略の見直しが行われる可能性がある。

4)新たな代替割引の登場
一方で、すべての割引を廃止するのではなく、新たな割引制度が登場する可能性もある。
例えば、「早割」「直前割」などの方式で、一定の条件を満たせば休日でも割引を適用する施策が考えられる。
特に、地方の観光振興を目的とした自治体主導の割引(ふるさと納税と組み合わせた高速料金の割引など)が導入される可能性もある。

<結論>
高速道路の休日割引の適用除外は、観光需要の分散には一定の効果を持つ可能性はあるが、オーバーツーリズム対策としての効果は限定的と考えられる。
特に、都市部への観光客集中が問題となっている地域では、外国人観光客への規制や宿泊税の導入など、より直接的な対策が必要ではないかという意見が強まる可能性がある。

また、休日割引の縮小が進めば、他の交通手段(鉄道、航空)の休日割引も見直される可能性があり、旅行者全体の負担増につながる懸念もある。
一方で、新たな割引施策(早割、自治体主導の割引)などが登場することで、観光業界全体のバランスが取られる可能性もある。今後の政策動向を注視する必要があるだろう。


 

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