2025年3月6日付けのスポニチアネックスが、
『駅伝の名門・大牟田高の部員18人が鳥取城北高へ集団転校 新入部員未知数でメンバー7人の確保も…』
と題した見出し記事を報じていました。
高校の駅伝部では、以前にも、東日本大震災の影響などによるチームの混乱を理由にした転校(仙台育英高校から豊川高校)や優秀な選手がチームに馴染めなかった等の理由で転校する事例が発生しています。
高校駅伝に限らず、学校スポーツの場合は、スカウトから指導に至るまで、「この指導者のもとで強くなりたい」といった人間関係で繋がっている面があるので、指導者の転籍や解任により、「転校」を希望する学生が発生するのは、ある意味、当然なのかもしれません。
近年は、大学駅伝(例:吉田響選手(東海大→創価大)やかつては移籍が難しかった実業団でも転校や転籍が多く発生しています。
以下に、この記事を引用し、スポーツ選手の転校や転籍について考察しました。
《記事の要約》
全国高校駅伝男子で5度の優勝を誇る名門の大牟田高(福岡)の部員19人中18人が、2025年4月に鳥取城北高へ集団転校することが5日までに分かった。
大牟田の赤池健ヘッドコーチ(52)の新年度からの鳥取城北監督就任に伴い、指導継続を求めた16人が既に転校願を提出、2人が口頭で意思表示している。
規定により転校後6カ月は高体連主催大会に出場できないが、秋以降の駅伝シーズンには間に合う。
大牟田の赤池氏は体罰問題で、2023年3月に退職したが、選手や保護者の希望でコーチとして再出発。実質的な監督だった2024年12月の全国高校駅伝では準優勝した。
2025年度から同校OBの磯松大輔氏(51)を新監督として迎えるため、留任となった赤池氏が1月に退職を学校側に伝えた。荒木信一副校長は「生徒たちに申し訳なかった。
大人の事情に振り回されてしまった」と話した。現時点で新入部員も未知数で駅伝メンバー7人すら集まらない可能性もある。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察》
<転校の背景とスポーツ選手の転校・転籍のメリット・デメリット>
◆転校に至った背景
今回の大牟田高校の駅伝部員18人の集団転校は、単なる進学・進路変更ではなく、指導者の異動が直接の要因となっている。
赤池ヘッドコーチは、過去に体罰問題で一度退職しているが、生徒や保護者の強い希望でコーチに復帰。
2024年の全国高校駅伝で準優勝という結果を残していることからも、指導力の高さが評価されていたことがうかがえる。
しかし、2025年度から新監督が就任することが決まり、赤池氏は再び学校を離れることに。
これに対し、「赤池氏の指導のもとで競技を続けたい」という生徒たちが、監督の移籍先である鳥取城北高校への転校を決断したと考えられる。
また、学校側の「大人の事情」によって生徒が振り回された形になっていることも、転校を決意する要因の一つになった可能性が高い。
さらに、選手と指導者の関係性の強さも、集団転校を引き起こした背景にある。
体罰問題があったにもかかわらず、生徒や保護者が赤池氏の指導を支持していることから、厳しい練習を求める駅伝部員にとっては「体罰」とは認識されていなかった可能性もある。
その一方で、体罰の有無に関わらず、「生徒が監督に依存しすぎる構造」が問題視されるべき点でもある。
◆スポーツ選手の転校・転籍のメリット
1)より良い指導環境の確保
スポーツにおいて、指導者との相性は極めて重要。今回のケースのように、実績ある指導者に引き続き学べることは、選手にとって大きなメリット。
2)競技成績の向上
実績のある指導者のもとで練習を継続できることで、選手の競技力の向上が期待できる。
強豪校に移ることで、全国レベルのライバルと切磋琢磨できる環境も整う。
3)進学・プロ入りの可能性の拡大
名門校に移籍することで、大学や実業団への推薦を得やすくなる。
競技実績を積むことで、将来的なキャリアアップにつながる可能性が高まる。
4)環境のリセット
チーム内のトラブルや、指導方針が合わない場合に、転校や転籍によって新たなスタートを切れる。
精神的なリフレッシュが可能になり、パフォーマンス向上につながることも。
◆スポーツ選手の転校・転籍のデメリット
1)転校・転籍による競技ブランク
高校スポーツでは、転校後6カ月間は公式戦に出場できないルールがあるため、主要な大会に出場できない可能性がある。
実業団でも移籍の際に「待機期間」が発生する場合があり、競技リズムを崩すリスクがある。
2)学業や生活面での負担
新しい環境に適応するのは簡単ではない。特に、高校生の場合は学習環境や寮生活の変化に適応するのが困難な場合も。
転校先のカリキュラムに違いがあり、学業面で遅れを取るリスクもある。
3)指導者との依存関係の問題
指導者を追って転校するケースは「選手の意志」ではなく「指導者への依存」になっている場合もある。
特定の監督のもとでしか競技できない環境が、長期的なキャリアにとってプラスかどうかは慎重に考える必要がある。
4)チーム・学校との関係悪化
転校や転籍が「チームの崩壊」につながることもある。
大牟田高校のように、駅伝部の存続が危うくなるケースもあり、残る選手や後輩にとってはデメリットが大きい。
<まとめ>
スポーツ選手の転校・転籍は、選手にとってより良い環境を求める手段の一つであり、多くのメリットがある。
しかし、一方で「指導者への依存」「競技ブランク」「学校・チームへの影響」といったデメリットも無視できない。
今回の大牟田高校のケースでは、監督の異動が直接の要因となり、多くの選手が「指導を継続して受けるため」に転校を決断した。
しかし、指導者の異動によって学校の競技部が大きく揺れる事態は、今後の高校スポーツのあり方にも影響を与えるだろう。
今後は、選手の成長を第一に考えつつ、特定の指導者への依存を防ぐ仕組みや、学校側の対応策が求められる。
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