2024年2月23日に発行されたISOマネジメントシステム規格の追補では、「気候変動」について、「気候変動に関するISOロンドン宣言」を支持し、以下の内容が《追加》されました。
（以下、規格の引用。注：「XXXX」は、ISO9001、14001など）
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
組織は，組織の目的に関連し，かつ，そのXXXXマネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える，外部及び内部の課題を決定しなければならない。
《追加》 組織は，気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
組織は，次の事項を決定しなければならない。
－XXXXマネジメントシステムに関連する利害関係者
－それらの利害関係者の，関連する要求事項
－それらの要求事項のうち，XXXXマネジメントシステムを通して取り組むもの
《追加》 注記：関連する利害関係者は，気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある。
（引用、ここまで）
今回は、「組織は，気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。」について、「酪農の場合」の「気候変動が関連する課題」の事例と「関連する利害関係者は，気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある。」の事例を解説します。
《酪農における気候変動が関連する課題》
1）ISO 9001（品質マネジメントシステム）の場合:
〈課題〉
乳製品の品質変動
〈詳細〉
気候変動による温度の変化や不規則な降雨パターンは、飼料の質や量に影響を与え、それが乳牛の健康と乳量に影響を及ぼします。
これにより、乳製品の品質が不安定になる可能性があります。
〈対策〉
改良された飼料管理、温度調節設備の導入、品質監視システムの強化。
2）ISO 14001（環境マネジメントシステム）の場合:
〈課題〉
温室効果ガス放出
〈詳細〉
酪農業はメタンなどの温室効果ガスを排出する主要な源です。
気候変動意識の高まりにより、環境への負担を減らす必要があります。
〈対策〉
メタン排出削減技術の導入、再生可能エネルギーの利用促進、持続可能な農業実践の適用。
3）ISO 45001（労働安全衛生マネジメントシステム）の場合:
〈課題〉
作業環境の悪化
〈詳細〉
気温の上昇や熱波は、屋外での酪農作業者の健康リスクを増加させます。熱中症などの健康問題が生じるリスクが高まります。
〈対策〉
適切な休憩の確保、作業員向けの健康監視システムの整備、熱中症対策教育の実施。
《酪農の気候変動における利害関係者の要求事項》
〈利害関係者〉
政府、地域コミュニティ、消費者、環境保護団体、従業員
1）ISO 9001の場合:
＜消費者＞
安定した品質の乳製品を求め、気候変動への対応も期待しています。
＜供給業者＞
飼料の品質を保持しながら、環境に配慮した方法での生産を求められることがあります。
2）ISO 14001の場合:
＜環境保護団体＞
環境影響の低減を強く求め、温室効果ガス排出削減に対するアクションを促します。
＜政府機関＞
環境規制の遵守を要求し、持続可能な酪農実践を奨励します。
3）ISO 45001の場合:
＜従業員＞
安全かつ健康的な作業環境を確保するための対策を求めます。
＜地域社会＞
地域の健康と安全に対する懸念から、適切な安全対策の実施を望むことが多いです。
これらの策は、酪農業が気候変動に対応しつつ、その影響を最小限に抑えるための持続可能な方法を模索する上で重要です。
（※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ934号より）
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