2025年2月14日付のTBS NEWS DIGが、
『“消えた21万トン”放出でコメの「流通の停滞」解消なるか 備蓄米放出の背景に「官邸からの圧力」も』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、コメ不足の要因と今後の政府の対応策を考察しました。
《記事の要約》
コメの異常な高騰が続く中、農水省は備蓄米21万トンを市場に放出すると発表した。
これは、2025年3月下旬にも店頭に並ぶ見込みだが、価格がどの程度落ち着くかは不透明である。
コメ価格は2024年5月ごろには5キロ2400円程度だったが、2025年1月には4000円を超える異常な高騰を見せている。
この影響で「餃子の王将」など外食チェーンもライスや米料理の値上げを実施。こうした状況を受け、農水省はようやく備蓄米放出を決定した。
農水省は「流通の停滞」が高騰の要因と説明。2024年のコメの生産量は前年より18万トン増加したが、集荷業者が確保できたコメの量は21万トン減少しており、供給のボトルネックが発生しているとみている。
しかし、専門家はこの説明を否定。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「そもそもコメが不足している」「生産量を増やすべき」と指摘。
2022年の猛暑による不作の影響が続いており、需給バランスが崩れていると分析している。
放出される備蓄米の一部は市場に流通するため、コメ価格が一定程度下がる可能性はあるが、農水省は「価格にはコミットしない」としており、価格の行方は不透明だ。
《筆者の考察》
<コメ不足の要因と政府の対応策>
現在のコメ高騰は、単なる流通の停滞ではなく、構造的な供給不足が主な要因である。
そのため、一時的な備蓄米の放出だけでは根本的な解決にはならず、政府は長期的な視点で持続可能なコメ政策を進める必要がある。
1. コメ不足の要因
1)生産量の減少
農水省は2024年のコメ生産量が18万トン増えたと発表しているが、専門家によると、2022年の猛暑による不作以降、累積的な供給不足が続いている。
特に、農業の高齢化や離農の進行により、生産基盤そのものが縮小していることが問題だ。
2)集荷業者の調達量減少
2024年にはコメの集荷量が21万トン減少。これは農家が市場価格の上昇を見越して流通を絞った可能性もある。
農業経営の安定を考えれば、農家が高値で売れる機会を狙うのは当然だが、結果的に市場への流通量が減り、高騰を招いた。
3)備蓄米放出の遅れ
備蓄米は本来、価格が高騰する前に放出することで市場の安定を図る役割を持つ。
しかし、農水省は官邸からの圧力を受けるまで動かなかった。この遅れが、消費者や業者の負担を増大させる結果となった。
2. 政府が実施すべきコメ政策と対応策
1)コメの安定供給を確保する
単年の増産に頼るのではなく、長期的な視点で生産基盤を強化する政策が必要である。
・水田の有効活用:
コメの生産量を維持するため、水田を適切に管理し、過剰な転作政策を見直す。
・スマート農業の推進:
AIやドローンを活用した生産効率化で、農業の負担を減らし、持続可能な生産体制を構築する。
2)備蓄米の機動的な活用
備蓄米は、本来、需給のバランスを取るために機動的に放出すべきである。
・早期放出の仕組み強化:
市場価格が急騰する兆候が見られた段階で迅速に備蓄米を放出できる体制を整える。
・民間と連携した分配の最適化:
備蓄米の放出を、政府だけでなく流通業者と協力しながら調整することで、供給の偏りを防ぐ。
3)農業支援策の見直し
価格安定対策の強化:農家が価格変動を理由にコメの出荷を遅らせることを防ぐため、適切な価格補償制度を検討。
・新規就農者の支援:
農業の担い手不足を解消するため、若手農業者への補助金や技術支援を強化。
4)消費者負担軽減策
コメの価格高騰は、家庭だけでなく飲食業界にも大きな影響を及ぼしている。
今後、価格の安定まで時間がかかる場合、政府は一時的な消費者支援策も検討すべきだ。
・低所得者向けの食料支援制度の導入。
・外食業界向けの価格補助を行い、米料理の価格高騰を抑制。
3. まとめ
今回のコメ高騰は、単なる流通の問題ではなく、生産量の減少や農業の構造的な課題が背景にある。
そのため、政府は単なる備蓄米の放出にとどまらず、長期的な視点でのコメ生産基盤の強化や流通の最適化を進める必要がある。
また、備蓄米の放出を機動的に行うための仕組みを整備し、今後の価格高騰に迅速に対応できる体制を構築すべきである。
消費者負担を軽減しながら、持続可能な農業政策を推進することが、コメの安定供給には不可欠なのだろう。
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