2025年2月15日付の写真週刊誌FLASHが、
『「独裁者を放逐するいい機会」フジ日枝久氏の “同世代OB” が引退勧告…「中居トラブル」の遠因となった「縁故採用」の悪影響』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、極端な縁故採用とイエスマンで固めた人事による組織への影響と教訓について、考察します。
《記事の要約》
<フジテレビの不祥事と組織問題——問われる日枝久氏の責任>
元「SMAP」中居正広氏と被害女性のトラブルにフジテレビ幹部社員が関与していた問題が波紋を広げている。
2025年1月17日の記者会見から約1カ月が経過したが、フジテレビのCM枠は今なお空白が目立つ。
この問題を受け、1月27日の臨時取締役会で港浩一前社長、嘉納修治会長が辞任。
さらに遠藤龍之介副会長も、第三者委員会の報告書が出た後に辞任すると表明した。
しかし、長年にわたりフジテレビの経営に関わってきた日枝久取締役相談役は辞任の意向を示していない。
これに対し、フジ・メディア・ホールディングスの株主である米国投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」からも辞任要求が突きつけられた。
◆フジテレビのガバナンス崩壊
フジテレビのコンプライアンス推進室長には本件に関する情報が共有されておらず、社内のガバナンスが正常に機能していないことが露呈した。
現在、第三者委員会が日枝氏も含めた内部調査を進めており、3月末に結果が公表される予定である。
◆OBの批判と「人事の弊害」
日枝氏と同世代のフジテレビOBも、「日枝氏は責任を取るべき」と強く批判。
OBたちは、日枝氏の人事権濫用によって実績よりも忠誠心が評価される社内文化が形成され、優秀な人材が次々と離脱したと指摘する。
特に「笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」を手掛けた横澤彪プロデューサーを排除したことが、フジテレビの凋落の始まりだったとみられている。
◆フジテレビの凋落——視聴率4位が定位置に
フジテレビは1982年から1993年まで12年連続で視聴率三冠王を獲得し、黄金期を築いた。
しかし、2015年に年間平均視聴率が民放4位に転落し、それ以降は低迷が続いている。
2000年代から優秀な人材の流出が進み、企画力の低下が顕著になった。
これにより、視聴率頼みのタレント中心番組が増え、番組制作の独自性が失われた。
◆「縁故採用」と組織の腐敗
フジテレビでは1999年以降、日枝氏の影響下で縁故採用が急増。OBたちは「不適格な人材が強引に採用され、組織の質が低下した」と指摘する。
こうした身内優先の人事が、社内の健全な競争を阻害し、創造性のある番組作りを妨げたとみられている。
フジテレビの問題は、単なる不祥事にとどまらず、長年の人事制度の歪みが招いた組織崩壊の象徴である。
日枝氏の辞任が避けられない状況となる中、フジテレビがどのように再生を図るのかが問われている。
《筆者の考察》
<極端な縁故採用とイエスマン組織の弊害>
フジテレビの事例は、極端な縁故採用やトップの意向に従うイエスマンで固めた人事が、組織にどれほどの悪影響を与えるかを如実に示している。このような体制が続くと、組織の健全性が損なわれ、長期的な衰退を招くことは明らかである。
1. 組織に及ぼす悪影響
1)人材の多様性が失われる
縁故採用が増えると、本来の能力や適性ではなく、「誰の紹介か」が評価基準となる。その結果、能力の低い社員が要職に就き、組織の活力が低下する。
さらに、優秀な人材が評価されずに不満を抱き、転職や離職を選ぶことになり、長期的に組織の人材基盤が弱体化する。
2)批判や改革の機能が喪失する
イエスマンで固められた組織では、上層部の意向に反する意見が出にくくなる。
これにより、意思決定の多様性が失われ、問題のある施策が修正されないまま進行する。
フジテレビのように、外部環境の変化に適応できずに低迷する組織が生まれる要因となる。
3)創造性や革新性の低下
組織の強みは、多様な視点からの発想や自由な議論によって新しいアイデアが生まれることにある。
しかし、縁故採用やイエスマン人事が横行すると、挑戦的な企画やリスクを取る姿勢が失われ、安全策ばかりが選択される。
その結果、組織は停滞し、新しい価値を生み出せなくなる。
フジテレビが視聴率競争に敗れた背景には、独創的な番組作りの文化が失われ、タレント頼みの企画ばかりになったことがある。
これは、長年にわたる人事の歪みが生んだ弊害と言える。
2. この問題から学ぶべき教訓
1)公正な採用と人材評価の徹底
組織の健全な成長には、縁故ではなく実力主義による採用と人材登用が不可欠である。
特に、経営層や人事部門が、「身内の利益」ではなく「組織全体の利益」を重視する姿勢を持つことが重要だ。
2)意見を言える組織文化の醸成
組織が発展し続けるためには、多様な意見が尊重される環境が必要だ。
上層部に対しても、異なる意見を述べられる文化を作り、従業員が安心して提言できる体制を整えることが求められる。
3)変化に対応できる柔軟な経営
市場環境や技術革新のスピードが加速する現代では、トップダウンの硬直的な経営では競争力を維持できない。
フジテレビのような長期低迷を防ぐためには、外部環境の変化に敏感に対応できる体制の構築が不可欠である。
3. まとめ
フジテレビの問題は、縁故採用やイエスマン人事が組織の競争力を損なう典型例である。
この事例から、企業や組織は実力主義の人事制度、自由な意見交換、環境適応力の向上といった改革の必要性を学ぶべきである。
これらを怠れば、いずれの組織も「かつての名門」へと転落するリスクを抱えることになる。
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