2025年2月9日付の読売新聞(オンライン版)が、
『「昼間」に線路の保守作業…人手不足の中で作業員確保のため、利用者には戸惑いも』
と題した見出し記事を報じていました。

公共交通機関である鉄道は、よほどの大規模工事でない限り、「日中に運休する」ということは、「公共交通機関としての使命」として、これまでありえないことでした。
しかし、日中に保守せざるを得ない事態が起きていることに深刻な人手不足を感じます。
以下に、この記事を要約し、考察しました。

《記事の要約》
<JR各社、保守作業を日中に実施へ——人手不足と労働環境改善が背景>
JR各社で、従来は夜間や運行の合間に行われてきた線路の保守作業を、日中に運休を伴って実施するケースが増えている。
これは、作業員の人手不足や労働環境の改善を目的としたもので、ローカル線を中心に全国的に広がりつつある。

◆山口県の岩徳線で日中保守作業を実施
2024年12月26日、山口県周南市のJR徳山駅では、岩徳線(岩国―徳山間)の運休に戸惑う乗客の姿が見られた。
2024年11月から2025年2月7日までの平日15日間、午前9時半から午後4時までの間に、レールや枕木の交換作業が集中的に行われ、この時間帯の列車上下各2本が運休となった。

老人ホームにいる母親を訪ねる予定だった71歳の女性は、「保守工事で運休するとは思わなかった。バスを探すしかない」と戸惑いを見せた。

◆人手不足と労働環境の改善が背景
JR西日本によると、2019年頃から日中の保守作業が本格化している。
当初は中国地方を中心に実施されていたが、福井県の小浜線や京都府の関西線、滋賀県の草津線にも広がっている。
昼間の運休による影響が比較的少ないローカル線が中心だ。

背景にあるのは、深刻な人手不足だ。JR西日本の2024年度の社員数は2万4300人と、10年前の3万170人から約2割減少している。
特に、保守作業に従事する要員の減少が目立ち、作業の効率化が急務となっている。

日中に作業を行うことで、不規則な夜間勤務を減らし、作業員の労働環境を改善する狙いもある。
さらに、明るい時間帯の作業はミスや事故の防止にもつながるという。
沿線住民向けに作業の見学会を開催するなど、地域の理解を得るための取り組みも進められている。

◆全国に広がる日中保守作業の流れ
JR九州は2010年度頃から、JR北海道も2019年から同様の取り組みを始めている。
JR四国も2025年2月12日から愛媛県南部の予讃線(八幡浜―宇和島間)で初めて日中の保守作業を実施する予定だ。
平日の5日間、特急・普通列車計14本を運休し、敷石の交換や線路沿いの樹木伐採が行われる。

◆専門家の見解:最新技術の活用も必要
関西大学の安部誠治名誉教授(交通政策論)は、「線路設備の維持管理は鉄道の安全を守る上で極めて重要。
作業員の高齢化や人手不足が深刻化する中で、ロボットなどの最新技術を有効活用することが求められる」と指摘している。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
<鉄道の保守作業が日中に移行する中で私たちに求められること>
JR各社が進める日中の保守作業は、鉄道利用者にとって不便を強いる一方で、安全確保や労働環境の改善という重要な目的がある。
こうした状況を踏まえ、鉄道会社に期待することと、私たち利用者が心得ておくべき対策について考察する。

1. 鉄道会社に期待すること
1)事前の情報提供と代替手段の確保
鉄道会社には、保守作業による運休について、十分な事前告知と情報提供が求められる。利用者が予定を立てやすくするために、以下の対策が重要だ。

・駅や車内アナウンスでの早期告知
・公式ウェブサイトやアプリでのリアルタイム情報提供
・SNSを活用した迅速な情報発信

さらに、運休が発生する場合には、代替交通手段の案内や、バスや他路線との連携も不可欠である。

2)安全性と作業効率の向上
鉄道の安全性は何よりも重要であるため、保守作業の効率化と安全確保に向けた技術導入が期待される。

・ロボット技術やAIの導入:
人手不足を補うため、自動点検ドローンやAIによる故障予測システムを活用し、保守作業の自動化と効率化を進める。

・作業員の労働環境の改善:
夜間作業を減らすだけでなく、労働時間の適正化や給与体系の見直しによって、長期的な人材確保を図る。

3)地域住民とのコミュニケーション
鉄道会社は、沿線住民や利用者に対して積極的に情報を共有し、理解を得る努力が必要だ。

・作業見学会の開催:
地域住民が保守作業の重要性を理解できるよう、定期的な見学会を開催する。

・住民との意見交換会:
運休による影響や代替手段について、住民の声を反映する場を設けることが望ましい。

2. 私たち利用者が取るべき(心得ておくべき)対策
1)事前の情報収集と計画的な移動
日中の保守作業が広がる中で、私たち利用者も事前の情報収集と柔軟な移動計画を心がける必要がある。

・公式アプリやサイトを活用して、運休情報をチェックする習慣をつける。
・余裕を持った移動計画を立て、急な運休にも対応できるようにする。

2)代替交通手段の把握
普段利用する路線で運休が予想される場合、バス路線や他の鉄道路線などの代替手段を事前に確認しておくことが重要だ。

・バスの時刻表や経路を事前に確認し、代替ルートを把握する。
・シェアリングサービス(タクシーやカーシェア)を活用することも選択肢の一つ。

3)鉄道インフラの維持への理解と協力
私たち利用者は、鉄道の安全性を守るための保守作業が不可欠であることを理解し、一時的な不便を受け入れる姿勢が求められる。

・鉄道インフラ維持への理解を深めることで、社会全体での協力体制を築く。
・意見や要望を適切に伝えることで、鉄道会社との建設的なコミュニケーションを図る。

3. まとめ
JR各社による日中の保守作業の拡大は、鉄道インフラの維持と作業員の労働環境改善という重要な課題への対応である。
鉄道会社には情報提供の徹底と技術革新による作業効率の向上が求められる一方で、私たち利用者も柔軟な対応と理解が求められる。

今後、鉄道インフラの安全性と快適な利用環境を両立させるために、鉄道会社と利用者が共に協力し合う社会的な仕組みが必要となるだろう。
 

 

 

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