2025年2月8日付の日刊ゲンダイデジタルが、
『“かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に』
と題した見出し記事を報じていました。

この記事は、激化する中学受験のなかで、かつて「御三家」(開成、麻布、武蔵)といわれた武蔵の低迷についてのレポートです。
私自身は、小中高と公立で、「中学受験」に関しては無縁でした。
また、私が小学生の当時は、中学受験する同級生は、クラスに1人いるかどうかという時代でした。
私の小学校の同級生に、武蔵から東大に進学した友人がいますが、いまの小学生のように塾に通うことなく、放課後は、僕らと一緒に遊んでいました。きっと、もともとの地頭がすぐれていて(父親も東大出身)、勉強の仕方や要領が良かったのでしょう。

以下にこの記事を要約し、進学校と言われる中高一貫校への影響や今後について考察しました。

《記事の要約》
~「御三家」の一角・武蔵中学・高校の苦境と再生への挑戦~
かつて東大合格者数で常にトップ10に名を連ね、「御三家」と称される開成、麻布、武蔵の中でも一際輝いていた武蔵中学・高校。
しかし、現在の武蔵はその栄光から遠ざかりつつある。
学校関係者も「いまだに御三家と呼ばれるのはおこがましい」と語るほど、現状は厳しいものとなっている。

武蔵は**1999年(東大合格者67人・全国7位)を最後に東大合格者数のトップ10から姿を消した。
その後、合格者数は低迷を続け、OBや関係者の間には「かつての名門がどうしてしまったのか」**という不安と失望の声が広がっている。

◆少数精鋭の伝統と現在の課題
武蔵は生徒数約170人という少数精鋭の教育を実践してきた。
これは麻布(約300人)や開成(約400人)と比べても圧倒的に少ない。
しかし、戦前には国内最難関の名門として知られ、東大進学が約束されたエリートコースとされていた。

◆かつての名門が陥った低迷の要因
関係者は、武蔵の低迷の要因として、「進学指導への消極姿勢」を指摘する。
かつては「東大進学は当たり前」といった空気が支配的で、生徒募集にも特別な努力を必要としなかった。
しかし、その安定した地位にあぐらをかき、学習塾との連携を避ける姿勢を貫いたことが、近年の競争激化に対応できなかった原因とされている。

特に衝撃だったのは、11年前に学習塾「鉄緑会」から指定校から外されたことだ。
筑駒や開成、麻布、桜蔭といった名門校が指定校として扱われる中で、武蔵はその地位を失った。元講師によれば、「塾内での成績が伸びなかった」ことが理由とされる。

◆再生への挑戦:新校長の試み
2019年春、武蔵は再生を図るべく、OBであり埼玉県立浦和高校の元校長杉山剛士氏を新校長に迎えた。
杉山校長は、これまで武蔵が拒んできた受験指導への積極的なアプローチを取り入れ、詰め込み教育も辞さない構えで取り組んでいる。

彼の就任以降、東大合格者数は21人、28人、19人、21人、26人と増減はあるものの、目覚ましい成果とは言い難い。
しかし、関係者は「彼が校長に就任してから入学した生徒が今年初めて卒業する。真の結果はこれから」と期待を寄せている。武蔵の再生は、まさに正念場を迎えている。

《筆者の考察》
<武蔵の取り組みが中高一貫校に与える影響と今後の展開>
武蔵中学・高校の取り組みと現状は、進学校と呼ばれる中高一貫校にとって多くの示唆を含んでいる。
かつての名門が直面した低迷と再生への挑戦は、他の中高一貫校にも影響を与え、教育方針や進学戦略の見直しを促す可能性がある。

1. 進学校への影響
1)中高一貫校の進学実績至上主義への再評価
武蔵の事例は、進学実績だけに依存しない学校運営の重要性を浮き彫りにしている。
かつて武蔵は、東大進学が当たり前とされる環境に甘んじてきたが、それが生徒募集や進学実績の低下を招いた。

他の中高一貫校も、進学実績だけでなく、個々の生徒の成長や学びの質を重視する方向性を模索するきっかけとなる可能性がある。
特に近年は、総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試の増加に伴い、学力偏重ではない多様な教育方針が求められている。

2)学習塾との連携強化の重要性
武蔵が低迷した要因の一つに、学習塾との連携の欠如が挙げられる。
現在、進学校の多くは大手学習塾と情報交換を行い、入試対策を強化している。
開成や麻布のように、塾と密接な関係を築くことで優秀な生徒を引き寄せる仕組みができている。

武蔵の再生への試みが成功すれば、他の中高一貫校も塾との連携を見直し、進学実績の向上を目指す動きが広がる可能性が高い。

3)進学校ブランドの維持と再構築
武蔵の事例は、進学校ブランドの維持がいかに難しいかを示している。
かつての名声があっても、変化に対応できなければ、ブランド力は低下する。

中高一貫校にとって、時代に応じた柔軟な教育方針の見直しや、保護者や受験生のニーズへの適応が不可欠となる。
武蔵の再生が成功すれば、他の学校も同様にブランド再構築のための改革を進めることが予想される。

2. 今後の展開
1)武蔵の再生は成功するか?
杉山校長のもとで武蔵がどのように変化していくかが注目される。
今後の鍵となるのは、進学実績の向上だけでなく、生徒の多様な成長を支える教育体制の構築である。

もし武蔵が、従来の「自由な校風」と「進学実績」の両立に成功すれば、それは多くの中高一貫校にとってモデルケースとなるだろう。

2)中高一貫教育の多様化
武蔵の取り組みは、進学校全体における教育の多様化を促進する可能性がある。
進学実績だけでなく、探究学習やキャリア教育といった新たな学びの形が重視されるようになっている。

進学校も、単なる進学実績を超えた**「総合的な人間力の育成」を掲げることで、武蔵のような変革を求める動きが広がるだろう。

3. まとめ
武蔵中学・高校の取り組みは、進学校における進学実績と教育方針のバランスについて深い示唆を与えている。
かつての名門が再生に向けてどのように変革を遂げるかは、他の中高一貫校にも影響を与え、進学校の在り方を再定義する重要な契機となるだろう。
今後の武蔵の動向は、日本の中高一貫教育全体の方向性を占う試金石となるに違いない。


 

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