2025年2月6日付の北海道新聞が、
『北海道民の生涯がん罹患率、全国上回る 高い喫煙率一因 札医大准教授調べ』
と題した見出し記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、この札幌医大の先生が発表したがん罹患率に関する影響を考察しました。

《記事の要約》
~北海道民のがん罹患率、全国を上回る—札幌医大准教授の研究で判明~
北海道民が生涯でがんにかかる確率が、全国平均を上回ることが、札幌医科大学の加茂憲一准教授(数理統計学) の研究で明らかになった。
男性の罹患率は64.4%(全国より1.9ポイント高い)、女性は52.0%(全国より2.8ポイント高い) で、がんで死亡する確率も全国を上回る結果 となった。

加茂准教授は「男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになるというリスクを、具体的にイメージしやすくなったことで、がん予防の啓発に役立つ」と述べている。

◆研究の詳細
本研究は、厚生労働省の「全国がん登録」および「人口動態統計」を基に、2020年のがん罹患数、死亡数、人口データを統計学的に分析 し、生涯がんにかかる確率を算出した。
結果は、2024年12月発行の札幌がんセミナーの広報誌『THE WAY FORWARD』に掲載された。

道民が生涯でがんにかかる確率は、全国と比較して以下のような傾向があった。

・がん罹患率:男性64.4%(全国より1.9ポイント高い)、女性52.0%(全国より2.8ポイント高い)
・がん死亡率:男性30.9%(全国より2.6ポイント高い)、女性23.0%(全国より2.8ポイント高い)

◆北海道のがんリスク要因
北海道のがん罹患率・死亡率が全国平均より高い背景には、以下の要因が考えられる。

・喫煙率の高さ(2022年時点で20.1%、全国3位の高さ)
・がん検診の受診率が全国最低レベル
・寒冷地ならではの食生活や生活習慣(塩分・脂肪の摂取が多い、運動不足など)
これらのデータは、北海道民のがん予防対策の必要性を改めて示すものとなった。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
1. 北海道における医療・行政の対応強化
1)がん検診受診率の向上施策
北海道ではがん検診の受診率が全国最低レベルであり、早期発見・早期治療の機会が十分に活かされていない。今後、以下の施策が必要になるだろう。

・無料・低額での検診プログラムの充実(自治体が補助金を出し、受診率向上を促進)
・企業や学校との連携によるがん検診の義務化(特定年齢層への受診勧奨の強化)
・自宅で受けられる郵送型のがん検査キットの普及(特に忙しい世代向け)

北海道の広大な地理的条件を考慮し、オンライン予約や移動検診車を活用する ことで、受診しやすい環境を整えることが求められる。

2)喫煙率低下への対策
北海道の喫煙率は全国で3番目に高く、喫煙ががん発生の主要因であることは広く知られている。
今後、喫煙率の低下に向けた対策が強化される可能性がある。

・禁煙支援プログラムの充実(自治体や医療機関が無料相談を提供)
・タバコ価格の引き上げ・販売規制の強化(未成年や若年層の喫煙防止)
・飲食店・公共施設の禁煙エリアの拡大

これにより、長期的に道民の健康状態の改善が期待される。

2. 北海道民の健康意識の変化
今回の研究結果が報道されたことで、北海道民の健康リスクに対する意識が高まる可能性がある。
特に、「男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになる」という具体的な数値は、個人の危機意識を喚起する力を持つ。

今後、個人レベルで以下のような行動変容が期待される。

・生活習慣の改善(食生活の見直し、運動習慣の確立)
・喫煙・飲酒習慣の見直し(健康リスクを認識し、禁煙・節酒への動きが進む)
・がん検診の積極的な受診(これまで受けていなかった人の受診率が向上)

自治体や医療機関が適切な情報発信を行うことで、こうした行動の変化をさらに促進することができるだろう。

3. 医療機関への影響
北海道におけるがん患者の増加は、医療機関に対しても影響を与える。

1)がん治療体制の強化
罹患率・死亡率の高さを受けて、道内のがん診療体制の充実が求められる。

・最新治療の導入(免疫療法・遺伝子治療などの新技術の普及)
・緩和ケアの強化(終末期医療の選択肢を広げる)
・医療従事者の育成と確保(がん専門医や看護師の増員)

北海道の医療資源を考慮すると、地方都市の医療機関との連携や遠隔医療の強化 も重要な課題となる。

2)医療費の増加と財政負担
がん罹患率の増加は、医療費の増加にも直結する。

・高額ながん治療の負担増(患者・保険制度の双方への影響)
・自治体の医療財政への圧迫(医療費補助制度の見直しが必要)

これにより、予防医療の推進がさらに重要視される だろう。

4. まとめ
札幌医大の研究は、北海道のがんリスクの高さを明確に示し、道民の健康意識や行政の対応に大きな影響を与える可能性がある。今後は、

・がん検診の受診率向上
・喫煙率低下のための政策強化
・がん治療体制の充実
・医療費増加への対応

などが課題として浮上する。
北海道が「がん罹患率の高い地域」としての認識を改め、医療・行政・個人が一体となって対策を講じることが求められるだろう。

 

【好評発売中!】

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001