2025年1月14日付の日テレNEWSが、
『三菱UFJ銀行がコメント 元行員の女性(46)逮捕うけ 顧客の資産盗んだ新たな手口も公表』
という見出しの記事を報じていました。
 

筆者は、銀行の貸金庫を利用したことがないので、この事件が報道された当初は、イメージがつかみにくかったですが、報道で色々と明らかにされ、やはり「業務を実質的にひとりに任かすことはリスクが高い」と感じました。

以下に、この記事を要約し、一般論ですが、銀行における貸金庫の管理方法のあるべき姿について、考察しました。

《記事の要約》
三菱UFJ銀行の元行員である今村由香理容疑者(46)が、顧客の貸金庫から現金などを盗んだ容疑で逮捕されました。
この事件を受け、三菱UFJ銀行は謝罪するとともに、窃取の手口や再発防止策について新たな情報を公表しました。

今村容疑者は、支店で保管されていた顧客の貸金庫用予備鍵を不正に利用。封筒を開封して鍵を使った後、再び封筒をのり付けして保管場所に戻すという手口でした。
さらに、顧客の資産を盗んだことが判明しないよう、他の貸金庫の資産を一時的に流用するなどの隠蔽工作を行っていたといいます。
また、貸金庫の利用者が予想外に来店した際には、システムの電源を切って故障を装い、窃盗の発覚を回避していました。

盗んだ資産は主にFX投資に流用されていたとのことです。三菱UFJ銀行は今回の事案を「信頼を揺るがすもの」と重く受け止め、再発防止策として予備鍵の本部一括管理や運用プロセスの見直しを進めています。

銀行は顧客の資産を守る責任があると強調し、被害者への補償と信頼回復に取り組む姿勢を示しています。
(記事の要約、ここまで)


《筆者の考察》
<銀行の貸金庫窃盗が発生した背景と再発防止策>
今回の貸金庫窃盗事件では、銀行内部の管理体制に多くの問題が浮き彫りになりました。
このような不祥事が起きた背景と、今後の防止策を以下に整理します。

<事件の背景>
1)予備鍵の管理不備 
今回の事案では、予備鍵が支店内で保管され、利用に際しての厳格な監視がなかったことが大きな要因です。
鍵の保管状況が不透明で、複数人による確認体制がなかったことが、不正利用を容易にしました。

2)システムと業務プロセスの欠陥 
貸金庫のシステムは、利用履歴の確認や異常検知の仕組みが不十分でした。
また、貸金庫の電源を故意に切ることで不正を隠せる状態にあったことも問題です。
このような業務プロセスの甘さが悪用されました。

3)内部監視体制の弱さ 
行員が大胆な手口を長期間にわたって実行していたにもかかわらず、不審な行動が発覚しなかったことは、内部監視の不備を示しています。
周囲が不正に気づける仕組みが整備されていなかったことも一因です。

4)組織的なチェック機能の不足 
貸金庫業務を一人に任せる構造自体が、不正を誘発するリスクを高めました。複数人で業務を分担し、相互に監視する仕組みが欠如していたと考えられます。

<再発防止策>
1)予備鍵の厳格管理 
予備鍵を支店内で保管せず、本部一括管理を徹底する必要があります。
また、鍵の利用時には、複数人による確認が必須である仕組みを構築すべきです。
例えば、利用時の電子ログ記録や、生体認証を組み合わせたシステムの導入が効果的です。

2)利用履歴の監視強化 
貸金庫システムに利用履歴を記録する機能を追加し、不審な操作が発生した場合には、即座にアラートが発生する仕組みを導入する必要があります。
また、利用履歴の定期的なチェックをルーティン化すべきです。

3)業務プロセスの見直し 
貸金庫業務を一人に任せるのではなく、複数人で業務を分担する体制を構築します。
例えば、入退室時に二人以上の確認を義務付ける「ダブルチェック」体制を徹底します。

4)内部監視と教育の強化 
定期的な内部監査を行い、不審な行動が早期に発見される仕組みを整えることが重要です。
また、全行員に対して倫理教育を実施し、不正の抑止を図ります。
加えて、管理職の休暇制度や異動の活用により、不正の発生リスクを下げる努力が求められます。

5)信頼回復のための透明性確保 
今回の事件を氷山の一角とみなし、全店舗の調査を行うなど、顧客に対する透明性を確保する必要があります。
さらに、不祥事が発生した場合には迅速な公表と補償対応を徹底し、信頼回復に努めるべきです。

<結論>
銀行の貸金庫は顧客にとって信頼の象徴であり、安全であることが絶対条件です。
しかし、今回の事案は、管理体制やシステムの不備が引き金となり、顧客の信頼を大きく損ねました。
銀行は、厳格な鍵管理、監視システムの強化、業務プロセスの見直しを徹底し、不正を防ぐ仕組みを構築する必要があります。
また、顧客との信頼関係を取り戻すための透明性確保も急務です。これらを実行することで、再発防止と信頼回復に繋げるべきでしょう。

 

 

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