2025年元日のテレビ朝日が、
『千葉・市川市の特養ホームの高齢女性 職員の入浴介助中に全身にやけど 搬送後に死亡』
という見出しの記事を報じていました。
記事では、やけどで亡くなった高齢女性は、意思の疎通が難しい介助者だったそうです。
以下に、この記事を引用し、一般論ですが、入浴介助中の浴槽温度が高温になってしまう事故の原因と再発防止策を以下に考察しました。

《記事の引用》※一部筆者が編集
千葉県市川市の特別養護老人ホームに入所する89歳の女性が職員による入浴介助中に全身にやけどをし、搬送先の病院で死亡しました。
警察によると、2024年12月31日午後2時すぎ、市川市にある特別養護老人ホーム「なごみ」に入所する89歳の女性が入浴中に全身にやけどをして、浦安市内の病院に搬送されました。

女性は、2025年1月1日午前1時ごろ、死亡しました。
 

女性は意思の疎通ができなかったとみられ、入浴時は介助のための職員が2人付いていました。
搬送先の病院から警察に「全身やけどの患者が搬送された」と通報があったということです。
警察は女性の入った風呂の温度が高温だったとみて、事件と事故の両面で捜査しています。
(記事の引用、ここまで)

《筆者の考察》
【事故の予想される原因と再発防止策】

<予想される事故原因>
今回の特別養護老人ホームでの入浴事故では、高齢女性が高温の風呂に入浴させられたことで全身に火傷を負い、最終的に死亡に至りました。
この事故の原因として、以下の点が考えられます。

1)湯温確認の不足
介護職員が入浴前に湯温を適切に確認しなかった可能性があります。
湯温確認は基本的な手順ですが、それが徹底されていなかったと考えられます。

2)給湯器の設定ミス
過去の類似事例から見ても、給湯器の温度が高温に設定されていた可能性があります。
複数の職員が給湯器の設定を操作していた場合、設定が適切に管理されていなかったことが要因となることもあります。

3)職員の不注意・確認不足
二人の職員が介助に当たっていたにも関わらず、二重チェックが機能していなかったと推察されます。
湯気や体感温度などで異常な高温に気づけなかった点は、現場での注意力不足を示唆します。

4)教育・訓練の不十分さ
意思疎通が難しい利用者に対する対応や危険の予測が、十分に訓練されていなかった可能性があります。
「見て覚える」といった曖昧な教育体制や新人職員への過度な早期実践が背景にある場合も考えられます。

5)施設運営上の過重負担
年末年始などで職員が不足する中、急いで業務をこなす「流れ作業」が原因の一つとなった可能性があります。
過密スケジュールの中で適切な確認が行われないまま事故が発生した可能性があります。

<再発防止策(一般論)>
このような事故を防ぐためには、以下の具体的な改善策を講じる必要があります。

1)基本的な確認手順の徹底
湯温を入浴前に必ず温度計で測定することを義務化し、その記録を残すシステムを導入します。
また、介助者全員が自分の手や肘で湯温を確認し、二重チェックを行うことを徹底します。

2)給湯器の温度管理の明確化
給湯器の温度設定は施設全体で一元管理し、基本設定を変更する際は上長や責任者の承認を必要とするルールを定めます。
また、高温設定が可能な給湯器の場合、操作にパスワードや専用キーを使用するなどの対策を講じます。

3)職員の教育・訓練の強化
新人職員や経験の浅い職員に対しては、入浴介助に関する徹底した座学と実地訓練を行い、判断力を養わせる必要があります。
特に、利用者が、意思疎通が困難な場合の観察や声掛けの重要性について指導を強化します。

4)入浴介助のガイドライン策定
入浴時の具体的な手順や注意点を詳細に記したガイドラインを策定し、職員全員がこれを熟知し遵守することを求めます。
例えば、「湯温を確認してから浴槽に入れる」「利用者から目を離さない」といった基本事項を徹底させます。

5)職場環境の改善
年末年始などの繁忙期には十分な人員配置を行い、流れ作業による事故を防ぎます。
職員の精神的・肉体的負担を軽減するため、シフト調整や臨時職員の補充を行い、余裕を持った運営体制を構築します。

6)定期的な監査と指導
外部の専門家や管理者による定期的な施設運営の監査を実施し、業務手順が守られているか確認します。
問題が発見された場合は早急に是正を行い、事故防止に努めます。

7)テクノロジーの活用
湯温管理を自動化するセンサー付きシステムや、異常温度を警告するアラーム装置の導入を検討します。
また、入浴中の利用者の状況をモニタリングできる機器を活用し、早期の異常発見を可能にします。

<まとめ>
今回の事故は、湯温確認の基本的な手順が徹底されていなかったことや、施設運営体制の問題が絡んだと考えられます。
このような事態を防ぐためには、職員の教育・訓練や業務手順の見直しだけでなく、施設全体での管理体制の強化が必要です。
特に、忙しい時期だからこそ安全確認を怠らない仕組み作りが重要です。
さらに、テクノロジーの導入や職場環境の改善を通じて、事故のリスクを最小限に抑えることが求められます。

介護施設では、利用者の安全を最優先にしながら、職員一人ひとりが責任を持って業務に取り組める環境を整備することが不可欠です。
この事故を教訓として、全国の介護現場で同様の悲劇が繰り返されないよう取り組む必要があります。


 

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