2024年12月3日付のFNNプライムオンラインが、
『“桃の香りがするイチゴ”「桃薫」の苗を無許可でネット販売か 男女12人を一斉検挙 “ブランド品種”海外流出が問題に』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、“農産物のブランド品種の海外流出問題”について、考察しました。

《この記事の要約》
国に品種登録されているブランドイチゴ「桃薫(とうくん)」の苗を、フリマアプリで無許可販売した疑いで12人が摘発されました。

岐阜県在住の60代と20代の男性2人は、国に品種登録されている「桃薫」の苗を許可なく販売した種苗法違反などの疑いが持たれています。
また、別の男女10人も同じく「桃薫」の苗をフリマアプリで販売した疑いで書類送検されました。

「桃薫」は、1株あたり150円から1200円の価格で販売されていたとみられます。
60代の男性は、違法性を隠すために品種名の漢字の一部を「伏せ字」にして出品していたとされています。

「桃薫」は農林水産省所管の「農研機構」が開発した品種で、桃のような香りと薄いピンク色が特徴の希少性が高いイチゴです。
種苗法では、新しい植物や農産物の育成者を保護するため、品種登録された苗の無許可増殖や販売は違法と定められています。

これまでも「シャインマスカット」などのブランド品種が海外へ流出し、生産者が利益を損失する問題が浮上しており、ネット販売の規制強化について議論が進められています。
(記事の要約、ここまで)

《筆者の考察》
ブランド農産物の流出は、日本の農業の競争力と育成者の利益を損ねる重大な問題です。
今回の「桃薫」のようなケースでは、国内での違法販売が流出の入り口になることも多いため、政府やネット通販運営会社には以下の対策が求められます。

1. 政府の取り組み
(1) 種苗法の強化と罰則の厳罰化
種苗法の改正により、無許可での苗や種子の販売が違法であることは明確化されましたが、さらなる強化が必要です。
具体的には、罰則を厳格化し、違法販売者への抑止力を高めるべきです。
また、違法販売を通報した場合にインセンティブを付与する仕組みを整えることで、監視網を強化できます。

(2) 国際的な流通監視システムの構築
ブランド品種の海外流出を防ぐために、輸出入の際に品種登録の確認を義務付けるシステムを導入することが重要です。
空港や港での農産物の検査体制を拡充し、不正流出を徹底的に取り締まる必要があります。

(3) 生産者への支援
品種登録された農産物の管理を徹底するために、生産者向けの教育プログラムを提供し、違法販売のリスクや管理方法について周知徹底することが重要です。
また、政府がブランド品種を守るための保険制度や補助金制度を提供することも効果的です。

2. ネット通販運営会社の取り組み
(1) 出品物の監視強化
ネット通販やフリマアプリの運営会社は、ブランド品種に該当する苗や種子が出品されていないかを監視するシステムを強化するべきです。
AIを活用して特定の品種名や伏せ字を検出する仕組みを導入することで、違法な出品を未然に防ぐことができます。

(2) 出品者の本人確認と品種証明の義務化
農産物の苗や種子を出品する際に、出品者の本人確認を徹底し、品種登録された農産物については許可証や証明書の提出を義務付けることで、不正な出品を減らすことが可能です。

(3) 違法販売の通報体制の整備
違法販売を発見したユーザーが通報しやすい仕組みを構築することも重要です。
例えば、通報者が匿名で報告できるフォームを設置したり、通報内容に基づいて迅速に出品を削除する体制を整えるべきです。

(4) ペナルティの明確化
違法な出品者に対して、アカウント停止や法的措置を講じることを明確にし、運営会社自らが厳格な対応を示すことで違法行為の抑止効果を高めます。

3. 広報活動の強化
政府や運営会社は、ブランド農産物の無許可販売が違法であることを広く周知する必要があります。
SNSやテレビ広告などを活用し、消費者や販売者に違法行為のリスクや、育成者保護の重要性を伝えることで、意識改革を促すことができます。

<結論>
ブランド農産物の流出を防ぐには、政府、ネット通販運営会社、生産者、消費者がそれぞれ責任を果たす必要があります。
厳格な法整備や監視体制の強化だけでなく、広報活動や教育によって、違法販売や流出が「許されない」という社会的認識を高めることが重要です。日本の農産物の価値を守り、育成者が正当な利益を得られるよう、官民一体となった取り組みが求められます。

 

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