2024年11月22日付のFNNプライムオンラインが、
『【速報】東京・世田谷で塗装の剥離作業をしていた作業員2人が倒れ1人意識不明の重体』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を引用し、事故原因と再発防止策について、考察しました。
《記事の引用》
東京・世田谷区で塗装の剥離作業をしていた作業員2人が倒れ、搬送されました。
1人は意識不明の状態です。
(2024年11月22日)午後4時30分ごろ、世田谷区砧で「塗装をしていた人が何かを吸って倒れた」と関係者から通報がありました。
警視庁などによりますと、現場では橋の塗装を剥がす作業が行われていて、4人のうち2人が突然倒れたということです。
少なくとも1人が意識不明となっています。
警視庁などが原因を調べています。
(記事の引用、ここまで)
《筆者の考察:予想される事故原因と再発防止策》
2024年11月22日、東京・世田谷区で橋の塗装剥離作業を行っていた作業員2人が倒れ、そのうち1人が意識不明の状態で搬送されました。
このような作業中の労災事故は、作業環境や安全管理の不備が原因であることが多く、国際労働安全衛生マネジメントシステム「ISO 45001」の観点からも再発防止のための適切な対策が必要です。
以下に、事故原因の予測と、それを踏まえた効果的な再発防止策について解説します。
1. 予想される事故原因
塗装剥離作業は、有害物質を扱うリスクが伴う作業です。この事故で予想される原因は以下の通りです。
(1) 有害ガスまたは粉塵の吸入
塗装剥離には、剥離剤(化学物質)や研磨機械が使用されることが一般的です。剥離剤には溶剤が含まれる場合があり、トルエンやキシレン、メタノールといった揮発性有機化合物(VOC)を含むケースがあります。
これらは、吸入すると神経系への毒性が強く、意識障害や呼吸困難を引き起こす可能性があります。
また、研磨による塗料片や粉塵の発生があり、それが吸引された場合、呼吸器系の障害や酸欠状態を引き起こすことも考えられます。
(2) 酸欠状態
事故現場が閉鎖空間や換気の悪い環境(例えば、橋の下部や構造物内部)であった場合、作業中に酸欠が発生した可能性があります。
剥離剤の揮発や塗膜の熱分解による有害ガス発生は、酸素濃度の低下を招くため、酸欠事故が起きるリスクがあります。
(3) 適切な個人防護具(PPE)の未使用または不備
有害物質を扱う作業では、防毒マスクや換気装置などの使用が不可欠です。
これらが適切に選定・使用されていなかった場合、有毒物質を直接吸引してしまう可能性があります。
また、作業員の防護具が作業内容や環境に合っていなかった可能性も考えられます。
(4) 作業員の健康管理の不備
作業員が健康診断を受けておらず、有害物質への耐性が低下していた可能性もあります。
有害物質を扱う作業では、特定の疾患や健康状態によりリスクが高まることが知られています。
(5) 安全教育および作業手順の不徹底
作業員が塗装剥離作業での有害物質の危険性や、適切な防護具の使用方法、緊急時の対応について十分な教育を受けていなかった可能性も否定できません。
2. 再発防止策
ISO 45001(労働安全衛生マネジメントシステム)の枠組みを活用することで、労災リスクを体系的に管理し、再発防止を図ることが可能です。
以下に、ISO 45001の視点を取り入れた具体的な対策を示します。
(1) リスクアセスメントの実施
ISO 45001では、労働安全衛生リスクの特定と評価が重要なプロセスとされています。
塗装剥離作業においては、有害ガスや粉塵、酸欠のリスクを事前に評価し、以下の対策を講じるべきです:
・使用する剥離剤や塗料の成分を確認し、有害物質の特性(揮発性、毒性など)を把握する。
・作業環境の酸素濃度や有害物質濃度を測定する。
・換気設備の設置や作業空間の開放による環境改善を行う。
(2) 適切な個人防護具(PPE)の導入と使用
ISO 45001では、危険源の除去や管理が困難な場合、適切なPPEの使用を推奨しています。
・防毒マスク(必要に応じて、有機ガス用カートリッジ付き)や防塵マスクの適切な選定と支給。
・作業内容に応じた防護服、手袋、ゴーグルの使用。
・PPEの使用方法に関する教育の徹底。
(3) 作業環境の改善
作業現場の安全性を高めるための環境管理が必要です。
・作業空間の換気設備を整備し、有害ガスや粉塵の蓄積を防ぐ。
・有害物質を扱う作業は屋外または十分な換気が可能な場所で行う。
(4) 作業手順書と安全教育の徹底
作業手順書を整備し、安全教育を行うことで、作業員がリスクを正しく認識し、適切に対応できるようにします。
・有害物質の取り扱いに関する具体的な手順を作成。
・緊急時対応(酸欠や有毒ガス吸入時の処置など)を含めた教育訓練の実施。
・作業開始前にリスクについて作業員と共有し、安全意識を高める。
(5) 健康管理と適性評価
作業員の健康管理はISO 45001の重要な要素です。有害物質を扱う作業員には以下を実施すべきです。
・定期的な健康診断を行い、有害物質への耐性が低い作業員を特定。
・作業前に健康状態を確認し、体調が不良な作業員を休ませる仕組みの導入。
(6) 緊急時対応の準備
緊急事態に備えた対応計画を整備し、実際の事故時に迅速かつ的確に対応できる体制を構築します。
・酸素濃度計やガス検知器を常備し、作業中に危険を早期発見する。
・AED(自動体外式除細動器)や酸素吸入装置の設置。
・緊急時の連絡体制を整備し、関係者全員に共有。
(7) 定期的な監査と改善
ISO 45001の継続的改善の原則に基づき、定期的に作業現場を監査し、リスクの特定と対策の見直しを行います。
3. 結論
今回の事故は、塗装剥離作業に伴う有害物質の暴露や酸欠のリスク管理が不十分だった可能性があります。
ISO 45001の枠組みを活用し、リスクアセスメントや安全教育、作業環境の改善を徹底することで、同様の事故を防ぐことができます。
労働安全衛生の基本を再確認し、作業員が安心して働ける環境を整備することが、企業の責任であり社会的な義務です。
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