2024年11月14日付の北海道放送が、
『北海道猟友会がヒグマ駆除要請を拒否検討「今の状況ではハンターに全責任」発砲をめぐる裁判で“違法”判決「もうどこでも撃てない」』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、自治体と猟友会は、どのような関係を構築するべきか、考察しました。
《記事の要約》
北海道では、クマの人里への出没が相次いでおり、クマ駆除を担う北海道猟友会が自治体や警察との体制整備が整っていない自治体からの駆除要請を拒否する可能性が浮上しています。
背景には、猟友会の池上治男氏(75歳)が2018年に砂川市の要請でクマを駆除した際、北海道公安委員会から「銃弾が住宅に届く可能性があった」として猟銃所持許可を取り消されたことがあります。
池上氏は「銃弾が住民に当たる恐れはなかった」として処分の取り消しを求めました。
しかし、2024年10月、札幌高裁は「銃弾が建物に到達する恐れがあった」として発砲を違法と判断し、池上氏の訴えを棄却しました。
猟友会の堀江篤会長は、ハンターに全責任が押し付けられることに危機感を募らせ、駆除要請の拒否検討に踏み切りました。
今後、猟友会は年内に方針を決定し、対応を明確にする予定です。
北海道ではクマの出没が続いており、住民の安全を守るために、猟友会と自治体がどのように協力するかが問われています。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
~自治体と猟友会の関係構築と札幌高裁判決の是非について~
北海道では、クマの出没が頻繁に発生し、住民の安全が脅かされる状況が続いています。
こうした危険に対処するため、地域の猟友会が自治体からの要請を受け、クマの駆除活動を行っています。
しかし、今回、猟友会のハンターである池上治男氏が2018年に行った駆除活動に関して、発砲が違法とされ、猟銃所持の免許が取り消されるという判決が札幌高等裁判所で下されました。
この判決は、地域住民の安全を守るために活動している猟友会にとって大きな問題を投げかけています。
以下、自治体と猟友会が構築すべき関係と、札幌高裁判決の是非について考察します。
<自治体と猟友会が構築すべき関係>
まず、地域住民の生活環境を守るために、自治体と猟友会が信頼関係と明確な協力体制を築くことが必要です。
具体的には、以下の点が重要です。
1)明確なガイドラインと責任分担
クマ駆除において、猟友会のハンターが負うリスクと責任は非常に大きいです。
現場で発砲せざるを得ない状況に追い込まれた場合、猟友会のハンターにすべての責任が押し付けられるのでは、活動が続けられなくなります。
自治体は、発砲が必要な状況や安全対策についてのガイドラインを明確に示し、猟友会が安心して活動できるような環境を整えるべきです。
例えば、発砲許可の基準や、発砲が正当化される条件を明文化し、猟友会が後から責任を問われないような仕組みが必要です。
2)警察との連携強化
クマ駆除には、警察の支援も不可欠です。駆除現場での安全確保や周辺住民への通報など、猟友会と警察が密接に連携することで、ハンターが一人で全責任を負う必要がなくなります。
また、警察も現場での対応やリスク管理について理解を深め、猟友会の活動を支援する姿勢を持つことが重要です。
3)報酬や制度面での支援強化
現在、猟友会の駆除活動は非常に低報酬で行われています。地域住民の安全を守るための重要な活動でありながら、報酬が十分でないと、多くのハンターが依頼を断る可能性が出てきます。
自治体は、猟友会に対して報酬や活動資金を適正に支給し、ハンターが負担なく活動できる環境を整えるべきです。
4)住民への情報提供と理解促進
クマの出没や駆除活動に関する情報を地域住民に適切に提供し、猟友会の活動に対する理解を深めてもらうことも重要です。
住民が猟友会の活動意義を理解し、支援する意識を持つことで、猟友会のハンターが地域に根差して活動しやすくなります。
<札幌高裁判決の是非について>
今回の札幌高裁の判決では、池上氏が行った発砲が違法とされ、猟銃所持の免許が取り消されました。
この判決に対しては、多くの意見が集まっていますが、その多くが判決の現実離れを指摘しています。
1)現実を無視した判断
池上氏の発砲は、自治体の要請を受けて行われたものであり、彼が一方的に発砲したわけではありません。
クマが住宅地近くに出没するという緊急事態であり、猟友会として地域住民の安全を守るための行動が求められていました。
現実を理解せずに理論だけで判断する裁判所の姿勢は、現場のハンターや地域住民にとって非常に理不尽に映ります。
2)猟友会の負担と責任の不均衡
猟友会の活動は低報酬でありながら、責任だけが重くのしかかる状況です。
警察が対応できない危険な状況でハンターが出動し、住民を守っているにもかかわらず、その活動に対する法的な理解や支援が不足していることが明らかです。
このような状況では、猟友会のハンターが依頼を拒否するのも無理はありません。
3)官僚的な判断と浮世離れ
裁判官や公安委員会が現場の厳しさを体験することなく判断を下すことは、現場を知らない「浮世離れ」したものであると批判されています。
クマとの対峙は恐怖を伴い、経験がなければ対応できない特殊な場面です。
こうした現場での活動を理解せずに一方的に免許を取り消すことは、今後の駆除活動全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
<結論>
札幌高裁の判決は、地域住民の生活を守るために活動している猟友会に対し、厳しすぎる判断を下したものといえます。
クマ駆除活動は、猟友会が地域住民の安全を守るために重要な役割を果たしていることを理解し、自治体や警察と猟友会の関係を見直す必要があります。
具体的には、明確なガイドラインと責任分担、警察との密な連携、報酬や制度面での支援、住民への情報提供を通じて、猟友会が安心して活動できる環境を整えるべきです。
また、司法も現場の状況に即した柔軟な判断を行うべきであり、理論や法律論だけでなく、現実のリスクと地域の安全を考慮した判断が求められます。
猟友会が活動を拒否するような事態を招かないためにも、地域社会全体で協力し、猟友会を支援する体制を整えることが急務です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ933号より)
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