2024年9月29日付の毎日新聞が、

『給食からモヤシが消えた 突然の食材変更 「家計の味方」に試練』

と言う見出しの記事を報じていました。

「価格の優等生」として庶民の味方である“もやし”が近年、入手が難しくなっているそうです。

以下に、この記事を要約し、この背景と生産者、政府、消費者が取組むべき対策を考察しました。

 

《記事の要約》

福岡市教育委員会(以下、福岡市教委)は、2024年9月26日、市立小学校の給食メニューからモヤシを除外すると保護者に通知しました。

これは、供給業者の予期せぬ廃業によるものです。例えば、甘酢あえではモヤシの代わりにニンジンを追加し、はるさめの量を増やす変更が行われました。

 

福岡市教委は、9月18日にモヤシを供給していた業者から「2日後に廃業する」との連絡を受けました。

これにより、福岡市教委は、10月の給食献立を急きょ変更せざるを得なくなりました。

現在、市外の業者からのモヤシ調達を検討中ですが、1日に約12万食の給食を提供する必要があるため、供給の見通しは立っていません。

 

この業者は家族経営の小規模企業で、資金繰りの問題から廃業に至ったと見られています。

全国的にもモヤシ生産者は減少しており、1995年の550社から現在は95社にまで減少しています。

モヤシの原料である緑豆の価格は20年前から4倍以上に高騰し、生産者は経済的な圧力を感じています。

 

物価高騰の影響で、モヤシの低価格は消費者にとって魅力的ですが、業界全体は厳しい状況に直面しています。

スーパーマーケットは引き続きモヤシを客寄せ商品として安く提供していますが、これが生産者の経済的負担を増やし、結果として学校給食のような公共のサービスにも影響を与えています。

 

この問題は、生産者の経済的困難と、公共の食糧供給の安定性の問題を浮き彫りにしています。

市教委は今後、食材の安定供給を確保するための新たな策を講じる必要があります。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察:もやし生産者の減少背景と対策》

〈背景〉

1)原料価格の高騰:

1995年以降、もやしの主要原料である緑豆の価格が20年で4倍以上に高騰しました。

これは主に国際市場での需要増加と、生産国の気候変動による影響が原因です。

 

2)市場価格の低迷:

スーパーマーケットなどの小売店での価格競争が激化し、もやしは低価格の目玉商品として位置づけられがちです。

その結果、生産者の利益率は著しく低下しました。

 

3)生産技術の変化と高齢化:

もやし生産は労働集約的であり、技術革新が少ないため、若年層の就業意欲が低い分野となっています。

加えて、既存の生産者の高齢化が進んでいるため、後継者不足が深刻化しています。

 

4)規制と管理の問題:

食品安全規制の厳格化に伴うコスト増加も、小規模生産者にとっては大きな負担となっています。

 

〈対策〉

1)生産者の支援策:

生産者に対する直接的な補助金の提供、低利の融資プログラム、または税制優遇措置を導入することで、経済的な支援を強化する必要があります。

また、技術改善や効率化を図るためのトレーニングプログラムの提供が有効です。

 

2)価格政策の見直し:

生産者と小売業者間での公正な価格設定を目指し、政府が調整役として介入することも一つの手段です。

これには、公正取引委員会などの規制機関が積極的に関与することが求められます。

 

3)消費者啓発:

もやしの生産背景や価値に関する消費者啓発活動を強化し、適正価格での購入が促されるようにする必要があります。

消費者が価格だけでなく、品質や生産者の労働条件を考慮した購買を行う文化を育成することが重要です。

 

4)政府の役割:

政府は国内外の市場動向を注視し、必要に応じて輸入政策を調整することで原料価格の安定を図るべきです。

また、国内生産者を保護するための規制や、新たな市場を開拓するための支援が求められます。

 

5)技術革新の推進:

生産プロセスの自動化や省力化技術の導入を支援することで、労働集約的な作業の負担を減少させ、若年層の参入を促すことができます。

 

〈結論〉

もやし生産者の減少は多面的な問題であり、その解決には生産者、消費者、政府の三方が協力して取り組む必要があります。

持続可能な生産システムの構築と、公正な市場環境の整備が急務です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ927号より)

 

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