私は、これまでに、:「不祥事を止めるISO思考」(2007年)、「仕組みが無くてダメな会社仕組みがあってもダメな会社」(2008年)、「ISOの復権」(2019年)といったISOマネジメントシステムの組織経営への活用に関する書籍を発表しています。
今回は、「ISO思考による業務改善とは何か」、そして、「進め方のポイント」について、説明したいと思います。
《ISO思考による業務改善とは何か》
有賀正彦氏が提唱する「ISO思考」による業務改善は、ISOマネジメントシステムの原則を活用して、組織の業務プロセスを効率化し、品質を向上させることを目的としています。具体的には、組織全体で品質マネジメントシステム(QMS)や環境マネジメントシステム(EMS)などのISO基準に則ったアプローチを取り入れ、不祥事の予防や顧客満足度の向上、コスト削減、リスク管理の強化を図ります。
「ISO思考」に基づく業務改善は、形式的な遵守を超え、実際の業務プロセスにおいてISO基準を活かすことで、継続的な改善(Continuous Improvement)と自己評価を促進します。このアプローチは、企業が内部の効率を高めるだけでなく、市場での競争力を強化し、持続可能な成長を実現するためのものです。
《業務改善の進め方のポイント》
1)目的と目標の設定:
業務改善の第一歩は、明確な目的と目標の設定から始まります。ISO基準に沿った目標を設定し、それが組織のビジョンやミッションとどのように連動しているかを理解することが重要です。目標は、SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、時間的に限定される)基準に基づいて設定します。
2)プロセスのマッピングと分析:
現在の業務プロセスを詳細にマッピングし、プロセスごとの役割、責任、リソース、成果物を明確にします。その後、プロセスの効率性、品質、リスクを分析し、改善の機会を特定します。この段階で、不要なプロセスや非効率な部分を削減し、顧客にとっての価値を高めるプロセスに焦点を当てます。
3)リスクの評価と管理:
ISO思考では、リスクベースのアプローチを取ります。各プロセスに潜むリスクを評価し、それらを軽減するための戦略を策定します。リスク評価は、不確実性を管理し、予期せぬ問題に迅速に対応できるようにするための基礎となります。
4)関係者の参加とコミュニケーション:
効果的な業務改善には、組織内の全員の参加が不可欠です。従業員を巻き込み、改善の必要性と方法を共有し、彼らのフィードバックとアイデアを取り入れます。また、進捗状況や成果を定期的に全員に報告し、透明性を保ちます。
5)PDCAサイクルの適用:
計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、行動(Act)のPDCAサイクルを適用し、継続的な改善を促進します。計画段階で改善策を立案し、実行段階でそれを実施、確認段階で成果を評価し、必要に応じて次の行動計画を策定します。
6)訓練と教育:
従業員がISO基準と業務改善のアプローチを理解し、適切に適用できるように、定期的な訓練と教育を行います。これにより、従業員は自ら改善を提案し、業務効率化に積極的に取り組むことができます。
7)モニタリングとレビュー:
改善策の効果を定期的にモニタリングし、目標達成度を評価します。このフィードバックは、次のPDCAサイクルの計画段階で活用され、更なる改善の基盤となります。
「ISO思考」による業務改善は、形式的な規格遵守を超えて組織文化の変革を目指すものであり、全員が関与することで、組織全体のパフォーマンスと持続可能性を高めることができます。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ907号より)
【好評発売中!】
『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
Twitter:https://twitter.com/ariga9001