2024年10月14日付のFNNプライムオンラインが、

『廃校になった都の所有地…10年以上“塩漬け”状態が判明 旧都立芸術高校跡地 年間約140万円の維持費かかる』

という見出し記事を報じていました。

個人的意見ですが、表層的に「年間140万円の維持費用」と捉えると、「税金の無駄遣い」に映ります。

しかし、元々、2012年に閉校した都立芸術高校は、隣接する駒場高校の芸術科が、1972年に独立して誕生した高校なので、敷地が細長く、素人目には、跡地利用は容易ではありません。

また、「年間維持料140万円」も356日で割れば、「約3800円強/日」なので、無駄は無駄ですが、仮に格安で民間に売却することを考えれば、都民の財産のあり方を長期的に捉えれば「無駄の垂れ流し」という感じでは、あまりしません。

・・・と言うことで、以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

~廃校の旧都立芸術高校、活用法未決定で“塩漬け”状態続く~

東京・目黒区に位置する旧都立芸術高校が閉校してから10年以上が経過し、6200平方メートルに及ぶ広大な敷地と校舎が未活用のまま放置されています。
2012年の閉校以降、校舎や体育館を含む3棟の建物は使用されず、延べ床面積は約8900平方メートルにのぼりますが、外観は依然として良好な状態を保っています。

 

大塚隆広記者によると、この校舎は壁にひび一つ見当たらず、まだ十分に利用可能な状態です。しかし、東京都はこの跡地の具体的な再活用計画をまだ策定していません。

 

この敷地の維持には、清掃などを含め年間約140万円のコストがかかっており、東京都としても早急な活用策を見つける必要に迫られています。
今後、この場所がどのように活用されるか、都市計画において注目される問題となっています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

1. マスメディアのあるべき報道内容のあり方

廃校となった旧都立芸術高校の跡地が10年以上「塩漬け」状態にあることに対して、メディアがどのように報道するべきかについては、表面的な情報を繰り返し伝えるだけでは不十分です。

現状では、敷地と校舎が未活用のまま10年間維持されており、年間140万円のコストが発生しているという点を強調し、東京都の対応を焦らせるような報道にとどまっていますが、これでは問題の本質には迫れていません。

 

本来、マスメディアは単なる「塩漬け状態」の報告だけでなく、以下の視点からより深掘りした報道を行うべきです。

 

1)塩漬けの背景:
なぜこの敷地が長期間未活用となっているのかを明らかにすることが重要です。
跡地利用に関してどのような議論がなされ、どのような課題が存在しているのかを具体的に示すことで、視聴者や読者が状況を理解しやすくなります。


2)議論の進捗と今後の計画:
東京都や地域コミュニティでの議論がどの程度進んでいるのか、具体的な利用案があるのかを報道することも求められます。
住民や利害関係者からの意見の収集状況や検討の進展具合など、跡地の今後に関する道筋を示すことで、情報の透明性を確保します。

 

3)利用の可能性と課題:
旧校舎の周辺地域の特性や地理的条件を基に、どういった利用方法が考えられているのかについて報道すべきです。
例えば、学校跡地の再利用の方法としては公共施設、商業施設、集合住宅、公園などの選択肢が考えられますが、それぞれに対するメリット・デメリットや地域住民のニーズも伝えることが大切です。

 

報道は単に問題点を煽り、視聴者に焦りを与えるのではなく、問題の本質に踏み込み、解決に向けた可能性や具体的な提案を視聴者に伝える役割を持つべきです。
これは、地域の未来に関わる重要な課題に対して、建設的な議論を促進するための基盤となるでしょう。

 

2. 東京都が跡地に対して取るべき対策

東京都は、この旧校舎の跡地を今後どう活用するのかを早急に決める必要があります。
しかし、焦りによる短期的な解決策に走るのではなく、慎重に検討したうえで実行することが望ましいです。以下に、東京都が実施すべき具体的な対策を示します。

 

1)長期的なビジョンに基づいた計画立案

まず、東京都は跡地に関して明確な長期的ビジョンを持つ必要があります。
地域の人口動態や都市計画、地域住民のニーズを踏まえて、跡地の有効活用方法を検討するべきです。例えば、目黒区は住宅需要が高いため、跡地を住宅用地として活用する選択肢もありますし、教育や文化施設として再活用することも検討に値します。
旧都立芸術高校であったという歴史も踏まえ、地域の芸術文化を促進する拠点として利用することも考えられます。

 

2)住民の意見を取り入れるプロセス

旧校舎跡地の活用に関しては、地域住民の意見を取り入れるプロセスが不可欠です。
アンケートや公聴会などを通じて、住民が求める施設やサービスについて把握し、それを計画に反映させることが必要です。
住民からの意見としてよく挙がる「公園の整備」に関しても、コストの問題や維持管理の負担を含めて住民と透明な議論を行うことが大切です。特に、東京の人口は将来的に減少する局面に向かうため、慎重に公共施設の整備を進めるべきです。

 

3)コスト効率を重視した対策

跡地の維持には年間140万円のコストが発生しており、この金額自体は他の公共事業に比べて大きな負担ではないものの、将来的な負担増を避けるために維持コストの見直しも行うべきです。
また、仮に跡地を解体する場合の費用が膨大であることも考慮し、現状での売却や民間への貸し出しも選択肢として検討することが現実的です。
無計画に解体するよりは、140万円の維持費を支払い続けてでも、適切なタイミングでの売却を待つ方が財政的に賢明な場合もあります。

 

4)民間企業や教育機関との連携

跡地の活用方法として、民間企業や教育機関との連携を考えることも有効です。
例えば、オフィスやコワーキングスペースとして貸し出すことで、地域の経済活動を促進することができます。また、大学や専門学校などと連携し、教育・研究拠点として再利用することも可能です。
このように、官民連携による有効活用を進めることで、都民にとって有益な資源に変えることができます。

 

〈まとめ〉

旧都立芸術高校の跡地が10年以上「塩漬け」状態にあるという現状に対し、東京都は長期的なビジョンを持ち、地域住民や利害関係者と連携しながら、慎重に利用方法を検討する必要があります。
また、マスメディアはこの問題を単なる批判的な視点から取り上げるのではなく、背景にある課題や今後の道筋を示すことで、地域に建設的な議論をもたらすべきです。

 

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