ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)では、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」について、「労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または、一連の状況」と定義しています。
今回は、「スーパーマーケット」の事例について、考察します。
《スーパーマーケットの労働安全衛生機会》
「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」とは、職場環境の改善、技術の導入、教育や訓練の提供によって労働安全衛生のパフォーマンスを向上させるための機会を意味します。スーパーマーケットにおいて、こうした機会を有効に活用するためには、従業員の安全と健康に対するさまざまなリスクを正確に理解し、それに基づいた対策を取ることが必要です。具体的な例を以下に挙げます。
1. エルゴノミクスに基づいた職場環境の整備
スーパーマーケットでは、棚への商品補充、重い荷物の持ち運び、レジ作業といった肉体的な作業が多く存在します。これらの作業による筋骨格系の負傷リスクを減らすために、エルゴノミクスの視点から職場環境を整備することが重要です。例えば、商品棚の高さを適切に調整することで、過度な伸びやかがみの姿勢を避けることができます。また、荷物運搬用の台車やリフトの導入により、作業の効率を上げつつ腰痛などの怪我を防ぐことも効果的です。
2. 機械設備の適切な使用とメンテナンス
スーパーマーケット内で使われる機械、特に食品加工機やリフト、清掃機器などは、適切に使用されなければ重大な事故の原因となります。従業員全員がこれらの機械の安全な使い方を理解し、定期的なメンテナンスと安全確認を徹底することが重要です。また、機械を使用する際には保護具の着用を義務付け、安全装置が正常に作動するか定期的にチェックすることで、事故を未然に防ぐことが可能です。
3. 衛生管理の強化
食品を取り扱うスーパーマーケットでは、衛生管理も重要な労働安全衛生機会です。適切な清掃、従業員の衛生教育、冷蔵・冷凍設備の管理を徹底することで、食品汚染や感染症のリスクを低減できます。特に、カットフルーツやデリカテッセン、鮮魚・精肉コーナーなどで作業する従業員には、衛生手順を守るための定期的な訓練が必要です。
4. 心理的ストレスへの対応
スーパーマーケットで働く従業員は、顧客対応やチームでの作業により、心理的ストレスを受けることが多いです。これらの問題を緩和するために、定期的な面談で従業員の悩みや問題を聞き取り、必要な支援を行うことが重要です。また、シフトスケジュールを最適化し、休息時間の確保や過重労働の防止策を導入することで、精神的な負担を減らすことができます。
5. 緊急事態対応の訓練
火災、自然災害、食中毒、窃盗など、スーパーマーケットでは様々な緊急事態が発生する可能性があります。これらの緊急事態に迅速に対応するために、定期的な避難訓練や緊急時の対応手順の見直しを行い、従業員に周知することが重要です。また、初期消火設備や避難ルートの確保、緊急連絡網の整備なども欠かせません。
これらの対策を実施することで、スーパーマーケットで働く従業員の安全と健康が守られ、労働安全衛生機会が最大限に活用される環境が整います。これにより従業員の安心感や満足度が向上し、職場全体の生産性も高まることでしょう。
以上が、スーパーマーケットの労働安全衛生機会の事例です。
ISO45001の審査やコンサルティング、自社のマネジメントシステムへの導入の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ906号より)
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