ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)では、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」について、「労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または、一連の状況」と定義しています。

 

今回は、「警備業」の事例について、考察します。

 

《警備業の労働安全衛生機会》

警備業におけるこの概念の適用は、従業員の安全と健康を促進し、業務の効率を高める多くの機会を提供します。

 

1. 安全装備の向上

警備業における基本的な労働安全衛生機会の一つは、警備員の装備を改善することです。

高性能の防護服や靴、防刃ベスト、耐衝撃ヘルメットなどの導入は、警備員を物理的危険から守るため不可欠です。

特に、夜間や危険が伴う環境で働く警備員にとって、適切な装備は彼らの安全を大きく向上させることができます。

 

2. テクノロジーの活用

最新の技術を導入することは、警備業における重要な労働安全衛生機会です。

例えば、監視カメラ、ボディカメラ、GPSトラッキングシステムを使用することで、警備員の動きをリアルタイムで追跡し、緊急時に迅速に対応することが可能になります。

また、ドローンを用いて広範囲を監視することで、警備員自身が直接危険な場所に赴くリスクを減らすことができます。

 

3. 教育とトレーニングの強化

警備員に対する継続的な教育とトレーニングは、彼らの安全と健康を守るうえで極めて重要です。

自己防衛技術、緊急対応手順、適切なコミュニケーション方法など、専門的なトレーニングを提供することで、警備員が直面するかもしれない様々な状況に対処できる能力を向上させます。

これは、事故や事件時の対応を改善し、結果的に職場の安全性を高める機会となります。

 

4. 心理的サポートの提供

警備業務は高い精神的ストレスを伴うため、心理的サポートの提供も重要な労働安全衛生機会です。

カウンセリングサービスやストレス管理プログラムを導入することで、警備員のメンタルヘルスを保護し、職場での精神的負担を軽減します。

これにより、労働者の全体的な満足感が向上し、離職率の低下や生産性の向上につながります。

 

5. 健康促進プログラム

警備員の体力は職務遂行能力に直結するため、健康促進プログラムを実施することは大きな機会です。

定期的な健康診断、適切な栄養摂取のためのガイダンス、適度な運動プログラムの提供は、警備員の体調を整え、病気の発生リスクを低減します。

 

6. 緊急対応能力の向上

緊急対応計画を定期的に見直し、全スタッフが緊急時にどのように行動すべきかを明確にすることで、事故や事件発生時の損害を最小限に抑えることができます。

実際の緊急事態に備えて定期的なドリルやシミュレーションを行うことは、労働安全衛生機会を最大限に活用する方法の一つです。

 

これらの労働安全衛生機会を通じて、警備業における安全衛生パフォーマンスの向上を図り、より安全で健康的な職場環境を実現することが可能です。

ISO 45001の枠組みを活用することで、これらの機会が組織的にかつ効果的に管理され、持続可能な改善が達成されます。

 

以上が、警備業の労働安全衛生機会の事例です。

ISO45001の審査やコンサルティング、自社のマネジメントシステムへの導入の参考になれば幸いです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ903号より)

 


 

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