ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)では、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」について、「労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または、一連の状況」と定義しています。

 

今回は、「神社」の事例について、考察します。

 

《神社の労働安全衛生機会》

神社での労働には特有のリスクと課題が伴います。これらの環境での「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」を活用することで、従業員の安全と健康を保護し、労働環境を改善することが可能です。以下に、神社における具体的な労働安全衛生機会を詳細に説明します。

 

1. 人間工学(エルゴノミクス)の改善

神社の従業員は、境内の掃除、祭祀活動の準備、重い祭具の運搬など、身体的に負担の大きい作業を行うことが多いです。

エルゴノミクスに基づいた工具や設備の導入は、このような作業における負担を軽減し、労働者の筋骨格系障害のリスクを減少させる重要な機会です。

例えば、軽量化された掃除用具、適切な持ち手が付いた運搬用カート、作業効率を考慮した配置などが考えられます。

 

2. 滑り止め対策と歩行安全の向上

神社は屋外での作業が多く、雨天時には境内の石段や参道が滑りやすくなることがあります。

滑り止めマットの配置、手すりの設置、適切な屋外用足元保護具の提供は、転倒事故を防ぐための重要な労働安全衛生機会です。また、冬場の積雪や凍結に対しては、定期的な除雪や融雪剤の散布が必要です。

 

3. 気象条件への対策

神社の業務は屋外で行われることが多いため、夏季の熱中症や冬季の低体温症など、気象条件による健康リスクへの対策が求められます。熱中症対策としては、十分な水分補給を促すポスターや通知、休憩スペースの確保、軽装に適したユニフォームの提供が有効です。

また、冷たい気候下での保温対策として、保温性の高い服装の提供が重要です。

 

4. 保護具の使用

境内の清掃や樹木の剪定など、一部の作業では目や皮膚を保護する必要があります。適切な手袋、ゴーグル、防塵マスクの使用を徹底することは、職員を守るための労働安全衛生機会として非常に有効です。これにより、目に入るほこりや枝からの怪我を防ぐことができます。

 

5. ストレス管理とメンタルヘルスのサポート

神社の職員は、祭事の準備や大勢の参拝者対応など、精神的にストレスが高まる業務を担うことがあります。

職場内でのストレス管理プログラムの提供、定期的なメンタルヘルスのチェック、カウンセリングサービスへのアクセスの提供は、職員の心理的健康を支援する重要な労働安全衛生機会です。

 

6. 定期的な健康診断と予防接種

物理的、化学的、生物的リスクが存在する環境で働く神社職員に対して、定期的な健康診断の実施は、早期の健康問題発見と対処につながります。

また、感染症への予防接種も重要な労働安全衛生機会の一つです。これにより、インフルエンザや風疹など、職場での感染拡大を防ぐことが可能となります。

 

これらの労働安全衛生機会を積極的に活用することで、神社における職場の安全性と健康を向上させ、従業員の満足度と生産性の向上に寄与することができます。

ISO 45001などの労働安全衛生マネジメントシステムを基にこれらの活動を組織的に実施することが推奨されます。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ912号より)

 

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