2024年9月17日付の読売新聞が、

『回転ずしなのに「回らない」店舗が主流の時代、「選ぶ楽しさ」どうやって?…食品ロスも防げる工夫』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

◆「回らない寿司」が新たな主流へ

日本全国の寿司チェーン店では、食品ロス削減と衛生管理の強化を目指し、従来の回転レーンを廃止する動きが加速しています。

迷惑行為の防止もこの変更の一因です。

具体的には、スシローなどの大手がデジタルソリューションを採用し、顧客体験を向上させています。

 

2024年3月には、「スシロー」がデジタル端末「デジロー」を導入。

これにより、テーブルに設置された大型パネルから直接注文が可能となり、顧客に好評です。同社は9月末までに全国19店舗にこのシステムを展開する予定です。

この変更は、以前に顧客がしょうゆボトルの注ぎ口を舐めるなどの不適切な行為が問題となったことから、全店舗で回転レーンを撤去し、タッチパネル式の注文へと切り替えました。

 

他の寿司チェーンも同様の措置を講じており、「はま寿司」では90%の店舗が回転レーンを廃止。

代わりに直線型の高速レーンを導入し、注文された商品を素早く提供しています。

このシステムは年間で約1000トンの食品ロス削減に寄与しています。

 

一方で、「くら寿司」は、AIを活用して顧客の好みを分析し、効率的に寿司を提供することで廃棄率を3%に抑えつつ、回転レーンを維持しています。

これは特に外国人観光客に対して、日本の回転寿司文化を体験してもらうためです。

 

専門家は、回転寿司の魅力は「選ぶ楽しさ」にあると指摘しており、店舗が回転をやめてもこの楽しさを提供し続ける工夫が求められています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

 

「回らない寿司」の導入が増える中、回転寿司チェーンは新たな顧客体験の提供に挑戦しています。

この変革の主な理由は、迷惑行為の抑制と食品ロスの削減です。

しかし、この変更が顧客のリピート率にどのように影響を与えるかは、それぞれのチェーンがどれだけ創意工夫を凝らせるかにかかっています。

 

1. デジタル化とパーソナライゼーションの導入

「回らない寿司」店舗では、大型デジタルパネルやタブレットを利用した注文システムが普及しています。
この技術を活用して、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた体験を提供することができます。
例えば、顧客の過去の注文データを分析して、好みに合った寿司や新メニューの推薦を行うことができます。
このようなパーソナライゼーションは、顧客が自分だけの特別な体験を受けていると感じさせ、リピート率を高める可能性があります。

 

2. インタラクティブな体験の提供

デジタルパネルを活用して、顧客が寿司を選ぶ過程をゲーム化することも一つの方法です。
例えば、寿司の種類を当てるクイズや、短時間でどれだけ多くの寿司を「捕まえる」ことができるかというミニゲームを提供することが考えられます。
これにより、食事だけでなくエンターテインメントを提供することが可能となり、特にファミリーや若者層の顧客を引きつけることができます。

 

3. 高品質な料理とサービス

寿司チェーンが回転レーンをなくす最大のメリットの一つは、品質管理の向上です。
オーダーが入ってから握るシステムにより、常に新鮮な寿司を提供できるようになります。これを顧客に明確に伝えることで、食品の新鮮さと品質の高さをアピールし、顧客の満足度を向上させることが可能です。
また、スタッフの教育を徹底し、親切で迅速なサービスを提供することも重要です。

 

4. サステナビリティの強化

食品ロス削減の取り組みを顧客に積極的に伝え、環境への配慮をアピールすることで、環境意識が高い顧客層の支持を得ることができます。
店内でのリサイクルの取り組みや、持続可能な漁業から仕入れた魚を使用していることなど、エコフレンドリーな取り組みを前面に出すことが効果的です。

 

これらの対応案を通じて、「回らない寿司」店舗は顧客に新しい魅力を提供し、リピート顧客を増やすことができるでしょう。
技術と創造性を駆使した戦略が、伝統的な回転寿司の楽しさを補完し、さらには超える可能性を秘めています。

 

個人的には、先日、久々(訪問した店舗には約2年ぶり)に某回転寿司に行きました。
すると、オープン厨房の面積を減らし、店内の座席数を増やす内装の変更がされていました。

さらに、メニューを確認すると、価格が値上がりしているのは、原材料や人件費高騰からやむを得ないと感じたものの、「メニュー数自体がかなり減少」しているのです。

しかも、ネタの刺身が、以前より幾分、薄い。

メニューを絞るのは、食品ロス対策や原材料費の効率化だとは理解できますが、このお店の良さの魅力が薄れまくりです。

正直、スーパーで、「十貫1500円」程度のにぎり寿司のセットを購入して「自宅で食べても、満足度は変わらない」と思ったほどです。

 

ちなみに、この店舗があるエリアには、多くの回転寿司チェーンがあります。

経営効率優先に走ると、このお店の「強み」だった特徴が失われ、一気に、客のリピート回数が減るんじゃないかなぁ、と感じた次第です。

回転寿司業界の今後の動向に注視したいと思います。

 

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