ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム規格)では、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」について、「労働安全衛生パフォーマンスの向上につながり得る状況または、一連の状況」と定義しています。

 

今回は、「地方自治体」の事例について、考察します。

 

《地方自治体の労働安全衛生機会》

地方自治体で働く従業員は多岐にわたる業務に従事しており、それぞれの職種に特有の安全および健康のリスクが存在します。

ここでは、「労働安全衛生機会(Occupational Health and Safety Opportunity)」として、地方自治体が従業員の安全と健康を保護し、改善するためにどのような機会を提供できるかを探求します。

 

1. 安全教育と継続的なトレーニングの強化

地方自治体の職員は、公共の安全、建設プロジェクト、市民サービス、公共施設の運営と保守など、多様な業務に関与します。

それぞれの業務に応じた安全教育と継続的なトレーニングを提供することは、労働安全衛生機会を最大限に活用する方法です。例えば、公共の安全を扱う職員には、危機管理トレーニングを提供し、建設プロジェクトに関わる職員には、建設現場での安全基準に関する研修を実施します。

 

2. 適切な作業装備と保護具の提供

特に公共事業や環境整備などの外での作業を行う職員に対して、適切な作業装備と保護具の提供は重要です。

例えば、作業員のための高視認性の安全服、耐候性のある服装、適切な安全靴、手袋、ヘルメット、耳栓などが必要とされます。

これらは、作業中の事故や怪我のリスクを大幅に軽減します。

 

3. 心理的なサポートとメンタルヘルスのプログラム

地方自治体の職員はしばしば高いストレス状況下で働くことがあります。

特に災害対応や社会福祉の分野で働く職員は、心理的なサポートが必要です。

ストレス管理セミナーやカウンセリングプログラムの提供、メンタルヘルスの問題に対する意識向上キャンペーンなどは、職場の精神衛生を向上させるために役立ちます。

 

4. 人間工学に配慮した職場環境の整備

デスクワークが主な職務である職員にとって、適切に設計された作業スペースは、長時間労働に伴う筋骨格系の問題を防ぐために重要です。

調整可能な椅子、適切な高さのデスク、足置き台、適切な照明、そして定期的な休憩を促す環境は、全体的な労働生産性を向上させると共に、労働者の健康を維持します。

 

5. 技術と自動化の導入

新しい技術と自動化の導入は、地方自治体の労働安全衛生機会を拡大する重要な要素です。例えば、紙ベースの記録保持からデジタル記録への移行や、市民とのコミュニケーションのためのオンラインプラットフォームの開発などは、労働効率を向上させるとともに、職員の作業負担を軽減します。

 

6. 健康促進活動の展開

地方自治体は、職員に対して健康促進活動を積極的に提供することが可能です。

健康診断、フィットネスクラブへの会員割引、健康に良い食事の提供、禁煙支援プログラムなどが含まれます。これにより、従業員の全体的な健康が向上し、病欠が減少します。

 

これらの労働安全衛生機会を通じて、地方自治体は職員の安全と健康を保護し、さらに職場の生産性と満足度を高めることができます。これらの取り組みはISO 45001の枠組みに基づいて体系的に実施されるべきであり、持続可能な職場環境の構築に寄与します。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ909号より)

 

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