2024年9月4日付の信濃毎日新聞(デジタル)が、
『「スケートできなくなる…」子どもから不安の声 金メダリスト小平奈緒さんら輩出したリンク「原則廃止」』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、公共スポーツ施設の未来について、考察しました。
《記事の要約》
茅野市の国際スケートセンター「ナオ・アイス・オーバル」についての運営の行方が大きな注目を集めています。
同センターは、オリンピック金メダリスト小平奈緒さんを輩出したことで知られ、長年にわたり諏訪地域のスケート文化の拠点として機能してきました。
しかし、財政的な負担と施設の老朽化が問題となり、「原則廃止」という答申が出される見込みです。
〈現状と今後の検討事項〉
1)運営の現状:
茅野市行財政審議会は、市の経済的負担と施設利用者の減少を理由にスケートセンターの廃止を提案しています。
具体的には、施設の改修に6億から11億円が必要であり、市の基金も枯渇しつつあるため、今後の維持が困難とされています。
2)地域への影響:
このスケートセンターは地域住民に親しまれ、多くの選手を輩出してきました。
市内の高校生など若い世代にとって、この施設の存廃は将来への大きな影響を及ぼす問題です。
〈今井敦市長の方針〉
今井市長は、答申を尊重する姿勢を示しつつも、諏訪地域6市町村での共同運営の可能性を探る意向を表明しています。
市長は2027年春の任期満了までに最終的な決断を下すとしており、それまでの間に地域の市町村や県と意見交換を進める計画です。
〈審議会の提案〉
審議会は、「原則廃止」の方針に加えて、市財政の負担を軽減できる場合は施設存続も可能とする付帯意見を提案しています。
このために、目的税の創設、クラウドファンディング、寄付の活用、地域自治体や国・県による支援などが検討されています。
〈地域文化と公共性の維持〉
スケートセンターの存廃は、単なる財政問題以上に、地域文化や公共性の維持という観点からも重要な意味を持ちます。
市長は「合理性だけでは語れない部分もある」と述べ、地域住民や関係者の意見を重視する姿勢を示しています。
この問題の行方は、地域社会にとって重要な指標となります。
茅野市及び関連する市町村は、地域の伝統と未来の両方を考慮した上で、慎重に対応を進める必要があります。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
「きれい事」と言われてしまうと思いますが、地方都市における公共スポーツ施設の維持管理に関して、特にメダリストを輩出したような施設の存在意義は、単純な「コストパフォーマンス」の観点からだけでなく、地域社会への広範な影響を考慮したうえで評価されるべきだと思います。
以下に、公共スポーツ施設の維持管理における適切なアプローチとその将来像について考察します。
〈公共スポーツ施設の社会的価値〉
公共スポーツ施設は、単なるレクリエーションの場を提供する以上の価値を持っています。
地域の子どもたちにスポーツを通じた健康的な生活を促し、地域のアイデンティティを形成し、国際的な競技で成功を収めたアスリートを通じて、地域に誇りをもたらすことができます。
例えば、スケートリンクがあることで、冬季スポーツの才能が発掘され、オリンピック選手が育つこともあり得ます。
このような施設は、地域文化の一部として保存される価値があります。
〈維持費用と公共性〉
確かに、スケートリンクなどの維持には高額なコストがかかります。
しかし、これを「公共性」と「公益性」の観点から評価することが重要です。地方都市においては、利用者数が多くないことから収益性は低いかもしれませんが、社会教育的な役割や地域コミュニティへの貢献を考慮に入れる必要があります。
〈多角的な資金調達〉
施設維持のための資金調達方法として、従来の市の予算に依存するだけでなく、クラウドファンディングや目的税の導入、地元企業や国・県の支援を求めることも考えられます。
これにより、市民一人ひとりが施設の価値を認識し、支援する文化が根付くかもしれません。
〈施設の多機能化〉
また、スケートリンクを単なる競技場としてではなく、コンサートや地域イベントの会場としても利用するなど、多機能化を図ることで、より多くの人々に利用してもらい、経済的な自立を図ることも一つの方法です。
〈地域との連携〉
地域の他の市町村と連携し、複数の自治体での共同運営を模索することも、コスト削減と効率的な運用の面で有効です。
このプロセスで、地域全体のニーズを反映させることが重要となります。
公共スポーツ施設の維持管理は、確かに経済的な負担が大きいとはいえ、その文化的・社会的価値を考慮に入れた場合、地方都市においても重要な役割を担うことが明らかです。
施設を維持するためには、創造的な資金調達方法と地域コミュニティとの連携が求められます。
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