サービス業の組織がISO45001を構築する場合、「危険源の特定のイメージが湧かない」という方が意外と多いです。
そこで、今回は、「職業紹介・労働者派遣業」について、危険源や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《“職業紹介・労働者派遣業”における危険源の事例》
a. 多様な作業環境:
派遣労働者が異なる職場環境に頻繁に配属されるため、各職場の特有の危険やリスクに直面する可能性。
b. 長時間労働・過労:
派遣先の業務量や締め切りによる長時間労働や過労。
c. 精神的ストレス:
不安定な雇用状況や職場での適応に伴うストレス。
d. 職場内のコミュニケーションの問題:
派遣先の職場文化や同僚とのコミュニケーションの難しさ。
e. 職場の安全衛生教育の不足:
派遣先における適切な安全衛生教育の不足や情報の不足。。
《危険源に対する管理策の事例》
a. 作業環境の事前評価:
派遣先の作業環境を事前に評価し、派遣労働者に必要な安全情報を提供する。
b. 労働時間管理:
派遣労働者の労働時間を適切に管理し、過労を防止する。
c. ストレスマネジメントプログラム:
精神的健康をサポートするためのカウンセリングやストレスマネジメントプログラムの提供。
d. コミュニケーションスキルの強化:
派遣労働者に対するコミュニケーションスキルのトレーニングを提供し、職場適応をサポートする。
e. 安全衛生教育の強化:
派遣労働者に対して適切な安全衛生教育を実施し、派遣先での安全な作業を確保する。
《職業紹介・労働者派遣業に関連する法規制の事例》
a. 労働安全衛生法(労安法):
労働者の安全と健康を確保するための基本法律です。
職業紹介・労働者派遣業においては、派遣労働者の作業環境の安全性の確保、安全衛生教育の提供、適切な保護具の提供、緊急事態対応計画の策定が要求されます。
b.労働基準法:
労働時間、休憩、休日、残業などに関する労働条件の基準を定める法律です。
派遣業者は派遣労働者に対して、適切な労働時間の管理や休息の確保を行う必要があります。
c.派遣労働者保護法(労働者派遣法):
派遣労働者の保護と派遣業務の適正な運営を目的とした法律です。
派遣労働者の安全と健康に関する派遣元と派遣先の責任、義務が明確に規定されています。
d.健康保険法・厚生年金保険法:
派遣労働者を含む全ての労働者が健康保険や厚生年金保険の対象となります。
これにより、労働者の健康保険の適用や年金制度への加入が求められます。
e.ストレスチェック制度:
労働安全衛生法の改正に伴い導入された制度で、労働者の精神的負荷を軽減するための措置です。
職業紹介・労働者派遣業では、派遣労働者の精神的健康にも配慮し、定期的なストレスチェックの実施が求められます。
《職業紹介・労働者派遣業の緊急事態想定と対応手順の事例》
a. 異なる職場での事故:
事故が発生した場合、直ちに応急処置を行い、必要に応じて医療機関への連絡を行う。
b. 長時間労働による健康問題:
過労や健康問題が発生した場合、労働者に適切な休息を取らせ、医療機関での診察を勧める。
c. 精神的ストレスによる問題:
ストレスや精神的な問題が発生した場合、専門のカウンセリングサービスを提供する。
d. コミュニケーション問題:
職場内でのコミュニケーション問題が発生した場合、メディエーションや追加のコミュニケーションサポートを提供する。
e. 安全衛生教育の不足による事故:
派遣労働者が安全衛生教育の不足により事故を起こした場合、事故の原因を特定し、再発防止のための教育とトレーニングを実施する。また、必要に応じて派遣先の職場に対しても追加の安全衛生指導を行う。
以上が、「職業紹介・労働者派遣業」におけるISO45001に基づく危険源、危険源に対する管理策、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ891号より)
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